サーバー更改、クラウド移行、拠点閉鎖、データセンター統合などで不要になったサーバーを、すぐ廃棄する必要はありません。
ラックサーバー、タワーサーバー、ストレージ装置などは、メーカー、世代、CPU、メモリ、ストレージ構成、動作状態などによって中古機器として買取対象になる場合があります。
一方、法人サーバーは一般的なオフィス家具の売却とは違います。
業務システムや顧客情報を保存していた機器であれば、サービス移行、バックアップ、ストレージのデータ消去、機器管理番号・シリアル番号との照合を済ませてから手放す必要があります。
ラックに搭載されている場合は、電源停止、ケーブル撤去、アンラック、ラックレール、搬出経路なども査定・搬出条件に関係します。
法人サーバーの売却では「いくらで売れるか」だけでなく、「安全にサービスを停止できるか」「データを復元できない状態にできるか」「搬出費等を引いた後にいくら残るか」を同時に確認します。
法人サーバーは廃棄する前に買取査定できる
サーバーは、古くなっただけで直ちに価値がなくなるとは限りません。
中古市場では、サーバー本体だけでなく、CPU、メモリ、ストレージ、RAIDコントローラー、ネットワークカード、電源ユニットなどの構成部品にも需要がある場合があります。
そのため、不要になったサーバーは、
- 業務で再利用する
- 社内の別拠点へ移す
- 中古機器として売却する
- 部品・パーツとして売却する
- 適切に廃棄する
という選択肢を比較します。
最初から廃棄物として処理してしまうと、中古資産として売却できる可能性を失うことがあります。
一方、売却価格よりデータ消去・アンラック・搬出等の費用が大きい場合は、処分を選んだ方が実務的な案件もあります。
処分することが決まっている場合は、オフィスのサーバーを処分する方法で停止・データ消去・撤去工程を確認してください。
どのようなサーバーが買取対象になる?
買取会社によって対象範囲は異なりますが、法人向けのIT資産買取では、たとえば次のような機器が扱われています。
- ラックマウントサーバー
- タワーサーバー
- ブレードサーバー関連機器
- ストレージ装置
- NAS
- サーバー用HDD・SSD
- メモリ・CPU等のパーツ
- ラック関連機器
- ネットワーク機器
ただし、「サーバーなら何でも高く売れる」という意味ではありません。
査定では、メーカー・世代・構成・状態・中古需要などを確認します。
法人サーバーの買取前に確認する8項目
1.所有権と資産台帳を確認する
最初に、そのサーバーを自社が売却できるか確認します。
サーバーやストレージには、
- 自社購入
- リース
- レンタル
- 保守会社等からの貸与
- グループ会社所有
などが混在している場合があります。
自社所有でない機器を、不要になったという理由だけで買取へ出すことはできません。
固定資産台帳やIT資産管理台帳と現物を照合し、少なくとも次を整理します。
| 確認項目 | 記録例 |
|---|---|
| メーカー | Dell、HPE、富士通等 |
| モデル | PowerEdge、ProLiant等 |
| シリアル | Service Tag、製品シリアル等 |
| 資産管理番号 | 社内管理番号 |
| 所有者 | 自社・リース会社等 |
| 設置場所 | 本社、データセンター等 |
| 処理方法 | 移転・売却・廃棄等 |
複数台をまとめて売却する場合は、サーバー1台ごとに識別できる一覧を作っておくと、査定・回収・データ消去の証跡を照合しやすくなります。
2.サービス移行とバックアップを終えてから停止する
買取査定を依頼したからといって、すぐサーバーの電源を落としてよいとは限りません。
サーバー上で、
- 社内システム
- ファイル共有
- 認証
- データベース
- バックアップ
- 仮想マシン
- 監視システム
などが動いている可能性があります。
撤去前には、
- 稼働サービスを一覧化する
- 新環境への移行を完了する
- 必要なバックアップを取得する
- 新環境で正常稼働を確認する
- 旧サーバーへの依存が残っていないことを確認する
- 停止日時を決める
という順番で進めます。
「もう使っていないと思う」という状態で電源を切るのではなく、情シス・システム担当者側で停止承認を取ってから売却工程へ移します。
3.型番・CPU・メモリ・ストレージ構成を整理する
サーバーの査定では、本体型番だけでなく内部構成も重要です。
確認したい項目には、
- メーカー
- モデル・型番
- 製造世代
- CPUの種類・個数
- メモリ容量
- HDD・SSD・NVMeの種類と本数
- ストレージ容量
- RAIDコントローラー
- ネットワークカード
- GPU等の増設カード
- 電源ユニット
- ドライブトレイ
- ラックレール
- フロントベゼル
などがあります。
同じ製品名のサーバーでも、CPU、メモリ、ストレージ等の構成が違えば中古価値が変わる場合があります。
写真査定だけを依頼する場合でも、本体正面だけではなく型番・シリアルラベル、搭載ドライブ、付属品等も確認できる写真を用意すると査定しやすくなります。
4.シリアル番号とメーカーサポート状況を確認する
法人向けサーバーには、製品を識別する固有番号があります。
Dell製品であればService Tag、HPE製品ではシリアル番号・製品番号などを使って製品・保証・サポート情報を確認できます。
査定前に、
- 製品を正確に特定できるか
- 保証・サポート期間
- 保守契約の状況
- 現在の所有・管理情報
を整理します。
サポート期間が残っているから必ず高価買取になる、あるいは保守終了だから必ず売れないという意味ではありません。
中古価値を判断する材料の一つとして、型番・世代と合わせて買取会社へ伝えます。
5.ストレージのデータ消去方法を決める
法人サーバー売却で最も重要な作業の一つがデータ処理です。
サーバー内のHDD・SSD・NVMe等に個人データや機密情報が保存されている場合、売却前に復元できない状態へ処理する必要があります。
ここで、
「法人サーバーを売るなら必ずHDDを物理破壊する」
と一律に考える必要はありません。
代表的な方法には、
- 専用ソフトウェア等を使った論理消去
- 記憶媒体の物理破壊
- 媒体に応じたその他の適切な消去方法
があります。
再販するストレージまで物理破壊すれば、そのストレージの中古価値はなくなります。
一方、自社の情報セキュリティポリシーで物理破壊が必要な場合や、消去不能・故障した媒体では、再利用より破壊を優先する判断もあります。
そのため、売却前に、
- どの媒体にデータがあるか
- 再利用してよい媒体か
- 社内規程が求める消去方法
- 自社で消去するか業者へ委託するか
- どの証跡を残すか
を決めます。
6.サーバー本体とストレージを個体単位で照合する
サーバーを複数台処理する場合は、「サーバー10台を消去しました」という総数だけでなく、どの機器・どのドライブを処理したか照合できるようにします。
たとえば、
- サーバー本体シリアル
- 資産管理番号
- 搭載HDD・SSDのシリアル
- 消去方法
- 消去日時
- 処理結果
などを記録します。
データ消去を外部委託する場合は、対象機器と消去結果を確認できる証明書・作業記録等をどこまで発行できるか確認します。
なお、特定の形式の「データ消去証明書」がすべての法人売却で法律上必須という意味ではありません。
自社の監査・情報セキュリティ基準に応じて必要な証跡を決めます。
7.アンラック・搬出条件を査定時に伝える
ラックマウントサーバーは、本体の査定価格だけでは最終受取額が決まりません。
実際の回収には、
- 電源停止
- ケーブル抜線
- ラックからの取り外し
- レール取り外し
- ラック内機器の識別
- 搬出口までの運搬
- エレベーター・搬入口の利用
- 車両への積載
などが必要になります。
データセンターであれば、入館手続、作業申請、作業時間、セキュリティルールなども確認します。
自社スタッフが慣れていない重量機器を無理にラックから外すより、必要に応じてアンラックまで対応できる会社へ依頼します。
査定時には、
- サーバー台数
- 何Uの機器か
- ラック数
- 設置階
- 搬出経路
- アンラックの要否
- ラック自体の処理
- 希望撤去日
まで伝えてください。
8.査定額ではなく最終受取額で比較する
サーバーの買取価格が高くても、データ処理や搬出費が大きければ、最終的に手元へ残る金額は小さくなります。
比較する際は、
買取査定額 − データ消去費 − アンラック費 − 搬出・運搬費 − その他作業費 = 最終受取額
で考えます。
また、買取対象外の古い機器を同時に引き取ってもらう場合、その処分費が別途必要になることがあります。
そのため、見積書では、
- 買取対象
- 買取価格
- データ消去費
- 現地作業費
- アンラック費
- 運搬費
- 買取不可品の処理費
- 最終精算額
を分けて確認します。
サーバーの査定額を左右しやすい項目
法人サーバーに全国共通の固定買取相場はありません。
査定では、主に次のような要素が見られます。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| メーカー・モデル | 中古市場で需要のあるシリーズか |
| 世代 | 現行世代との距離、利用可能性 |
| CPU | 種類・世代・個数 |
| メモリ | 容量・構成 |
| ストレージ | HDD・SSD・NVMe、容量・本数 |
| 増設部品 | RAID、NIC、GPU等 |
| 状態 | 通電・POST・エラー・外観 |
| 付属品 | レール、ベゼル、トレイ等 |
| 数量 | 複数台・同一構成か |
| 搬出条件 | ラック、作業員、データセンター等 |
型番だけを伝えて「いくらですか」と聞くより、構成一覧を渡した方が査定条件をそろえやすくなります。
HDD・SSDなしでもサーバーは売れる?
ストレージを自社で保管・破壊したい場合、本体だけを売却できる会社があります。
サーバー本体、メモリ、CPU、電源、RAIDコントローラー等に中古需要があれば、HDD・SSDがない状態でも査定対象になる可能性があります。
ただし、ドライブを抜いた場合は、
- 何本抜いたか
- ドライブトレイを残すか
- ストレージ構成
- RAID状態
を査定会社へ伝えます。
ドライブトレイまで廃棄してしまうと、本体の再利用条件へ影響する場合があるため、データ媒体と付属部品を区別してください。
古い・故障したサーバーでも査定する価値はある?
動作しないサーバーや旧世代品でも、パーツ需要等によって買取対象になることがあります。
一方で、中古需要がなく、搬出・データ処理費の方が高くなる機器もあります。
そのため、
「古いから全部廃棄」
ではなく、型番・構成を一覧化して一度査定し、
- 買取対象
- 無償引取対象
- 有料処分対象
へ分ける方法があります。
売却できない機器の処分については、サーバー処分の記事へ工程を切り替えます。
Service Tag・シリアル番号は査定前に控えておく
DellではService Tag等から製品を識別し、サポートサービスの状態や期限を確認できます。
HPEでもシリアル番号・製品番号を使って標準保証・サポート登録情報を照会できます。
査定依頼前にこれらを一覧へ入れておけば、
- 正確な型番確認
- 世代確認
- 構成確認
- サポート状況確認
- 回収時の個体照合
へ利用できます。
複数台を扱う場合は写真だけに頼らず、資産台帳へ機器固有番号を記録しておく方が管理しやすくなります。
売却前に管理コントローラーや設定情報も確認する
サーバーではストレージ内の業務データだけでなく、管理用の設定も確認します。
たとえば、
- 管理アカウント
- 管理コントローラー設定
- IPアドレス
- ネットワーク設定
- 証明書
- 監視設定
などです。
iDRAC、iLO等の管理機能を使用していた場合も、自社のセキュリティ基準に沿って設定・アカウント情報を整理し、次の所有者へ不要な自社設定を残さないようにします。
データ消去を買取業者へ任せる場合の確認項目
自社でデータ消去を行わず、ITAD事業者や買取会社へ委託する方法もあります。
その場合は、価格だけでなく次を確認します。
- データ消去方法
- 対象となる媒体
- オンサイト対応の可否
- 作業場所
- 回収から消去までの保管方法
- 機器・媒体の個体管理
- 再委託の有無
- 証明書・ログ等の発行
- 再販・処分までのトレーサビリティ
日本ITAD協会には、サーバーを含む情報機器について、買取・引取、データ抹消等、販売・トレーサビリティなどを審査する認定制度があります。
認定取得がすべての買取会社に法律上必須という意味ではありませんが、委託先を比較するときの確認材料の一つにできます。
サーバーを売却するなら物理破壊と論理消去のどちら?
どちらが常に正しいというものではありません。
重要なのは、自社が保有していたデータを復元できない状態にすることです。
再利用を前提にする場合は、適切なデータ消去を行ったうえでドライブを再利用する選択肢があります。
一方、
- 故障してソフトウェア消去できない
- 社内規程で物理破壊を定めている
- 極めて機密性の高い用途で再利用しない
といった場合は物理破壊を選ぶことがあります。
売却額を最大化するためにセキュリティ基準を下げるのではなく、先に必要なデータ消去基準を決め、その条件で再販できる部分だけを売却します。
法人サーバー買取の見積で確認する項目
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 本体買取額 | 機器・構成別の価格 |
| ストレージ | 買取対象か、除外するか |
| データ消去 | 方法・費用・証跡 |
| アンラック | ラック取り外し作業の費用 |
| 搬出 | 作業員、台車、養生等 |
| 運搬 | 車両・移送 |
| 買取不可品 | 引取・廃棄費 |
| 最終精算額 | 実際に受け取る/支払う金額 |
「サーバー一式50万円」といった査定額だけではなく、現地作業・データ処理を含めた最終精算額を確認してください。
ラック・UPS・ネットワーク機器も同時に査定する
データセンター縮小やサーバールーム撤去では、サーバー本体だけでなく、
- サーバーラック
- UPS
- ネットワークスイッチ
- ルーター
- ファイアウォール
- KVM
- ストレージ
などが同時に不要になることがあります。
これらも買取対象になる場合があるため、サーバーだけを先に廃棄せず、IT資産全体を一覧化して査定を依頼する方法があります。
OA・IT機器全般を売却する場合は、オフィスのOA機器買取も確認してください。
法人サーバーを売却する流れ
- 資産台帳と現物を照合する
- 移行対象サービス・データを確認する
- 新環境への移行とバックアップを完了する
- 型番・シリアル・構成を一覧化する
- データ消去方針を決める
- 買取会社へ事前査定を依頼する
- サーバーを停止する
- データ消去・証跡を取得する
- アンラック・搬出する
- 機器一覧と搬出物を照合する
- 最終買取額・作業費を精算する
- 社内の資産台帳等を更新する
特に退去・移転案件では、サーバー売却だけを単独で進めず、オフィス退去全体の工程へ組み込んでください。
法人サーバー買取についてよくある質問
古いサーバーでも買取できますか?
メーカー、世代、構成、中古需要、状態によります。
旧世代でもパーツ需要等によって価格が付く場合があるため、型番を確認して査定します。
HDD・SSDを抜いたサーバーも売れますか?
対応する買取会社があります。
本体・CPU・メモリ等に価値があれば、ストレージなしでも査定対象になる場合があります。
ドライブトレイ等を残した方がよいかは、取り外す前に査定会社へ確認してください。
動かないサーバーでも売れますか?
故障状態やパーツ需要によっては対象になる場合があります。
電源が入らない、POSTエラーがあるなど、分かっている状態を査定時に伝えます。
サーバー売却ではデータ消去証明書が必須ですか?
すべての法人売却で特定形式の証明書が一律に必須というわけではありません。
ただし、外部へ消去を委託する場合、自社が求める方法で確実に処理されたことを確認できる証跡を残すことは重要です。
HDDは必ず物理破壊しないといけませんか?
一律に物理破壊が必須ではありません。
再利用を前提に適切なソフトウェア消去等を行う方法もあります。
自社のデータ分類・セキュリティ規程に沿って方法を選びます。
買取会社にデータ消去も任せられますか?
データ消去、証明書、オンサイト作業等まで対応するITAD・買取事業者があります。
委託する場合は、消去方法、個体管理、保管・輸送、再委託、証跡等を確認してください。
サーバーラックに入れたまま査定できますか?
ラック搭載状態で現地査定・アンラックまで対応する会社があります。
台数、ラック数、機器位置、データセンター・建物側の作業条件を先に伝えます。
サーバーラック自体も売れますか?
メーカー・サイズ・状態・需要等によって買取対象になる場合があります。
サーバー本体とは別に査定可否を確認してください。
処分と買取はどちらを選べばよいですか?
中古価値のある機器は買取査定を行い、買取不可品を処分へ分ける方法があります。
比較するときは買取額だけでなく、データ消去・アンラック・搬出・処分費を含めた最終差額で判断してください。
法人サーバーは「データを守りながら価値を残す」順番で売却する
不要になった法人サーバーは、電源を切ってそのまま買取会社へ渡すのではなく、次の順で整理します。
- 所有権と資産台帳を確認する
- サービス移行とバックアップを完了する
- 型番・構成・シリアルを整理する
- 保証・サポート状況を確認する
- データ消去方法を決める
- 本体とストレージを個体管理する
- アンラック・搬出条件を確認する
- すべての費用を引いた最終受取額で比較する
サーバーの中古価値を残すことと、情報セキュリティを守ることは両立できます。
物理破壊ありき、あるいは高価買取ありきで判断せず、自社が必要とするデータ消去基準を先に決め、その条件を満たしたうえで再利用できる機器を売却してください。
売れない機器は安全な処分ルートへ切り替え、買取対象と廃棄対象を混在させないよう管理します。
