飲食店を閉店・移転すると、店内には売れる厨房機器と、値段が付かない機器・壊れた備品・不用品が同時に残ることがあります。
例えば、業務用冷蔵庫や製氷機には買取価格が付く一方、古い棚や故障機器、細かな備品は処分費が必要になる、といったケースです。
このような場合、買取会社によっては、買取対象の査定と、買取できない物の撤去・回収を一度に相談できます。
ただし、「買取と処分をまとめて頼める」ことと「全部無料で持っていってもらえる」ことは同じではありません。
閉店時に見るべきなのは、表示された買取額ではなく、撤去・搬出・処分費まで差し引いた最終的な受取額・支払額です。
この記事では、厨房機器の買取と処分を同時に依頼するときの進め方、費用の確認方法、業務用冷凍冷蔵機器のフロン対応、原状回復との順番まで整理します。
厨房機器の買取と処分は同時に依頼できる
厨房機器買取会社の中には、閉店店舗へ出張し、
- 買取可能な厨房機器の査定
- 大型機器の取り外し
- 店舗からの搬出
- 買取不可品の回収
- 不要什器・備品の撤去
をまとめて相談できる会社があります。
実際に、閉店店舗で厨房機器・店舗什器の買取と不用品回収を同時に扱う事業者があります。
そのため、
「売れる物はA社、処分はB社、搬出はC社」
と必ず分けなければならないわけではありません。
同時依頼が向いているケース
例えば、次のような店舗です。
- 閉店期限が近い
- 厨房機器が多数ある
- 売れる物と処分品が混在している
- 大型機器を自分で搬出できない
- 原状回復前に店内を空にしたい
- 複数業者の日程調整を減らしたい
一社でまとめて対応できれば、店舗側の調整負担を減らせることがあります。
買取と処分を同時に頼むときの8つの確認
- 売る物と処分する物を分ける
- 所有権・リース品を確認する
- 査定額と処分費を分けて確認する
- 取り外し・搬出費を確認する
- 買取不可になった場合の費用を確認する
- 業務用冷凍冷蔵機器のフロン対応を確認する
- 廃棄物の処理方法・責任関係を確認する
- 原状回復・閉店工程と搬出日を合わせる
1.売る物と処分する物を分ける
最初に、店舗内の物を大きく分類します。
買取査定する物
例えば、
- 業務用冷蔵庫
- 冷凍庫
- 製氷機
- 食器洗浄機
- フライヤー
- ガスレンジ
- コールドテーブル
- ショーケース
などです。
処分候補
例えば、
- 故障機器
- 著しく古い機器
- 破損した棚
- 細かな備品
- 再販需要の低い機器
などがあります。
残す・持ち出す物
別店舗へ持っていく機器や、居抜きで残す設備は、買取・処分対象から外します。
最初から「全部処分」で見積を取らない
閉店を急いでいると、厨房一式をまとめて「撤去処分」として原状回復会社へ依頼しがちです。
しかし、中に売却できる機器があれば、
- 買取代金を失う
- 本来不要だった処分費を払う
可能性があります。
まず査定し、その後に処分対象を確定します。
閉店時の厨房機器買取全体については、飲食店の閉店で厨房機器は買取できる?をご覧ください。
2.所有権・リース品を確認する
厨房機器の中には、自社所有ではない物が混在している場合があります。
例えば、
- リース機器
- レンタル機器
- メーカー貸与品
- ビールサーバー等の貸与品
- 貸主設備
です。
自社所有でない機器は、勝手に買取・処分へ出せません。
契約書・リース契約・設備一覧を確認します。
3.査定額と処分費を分けて確認する
買取と処分を一括で頼む場合に最も重要なのが、金額の分け方です。
例えば、
買取額 250,000円
撤去・搬出費 50,000円
買取不可品処分費 120,000円
であれば、
最終受取額は80,000円
という考え方になります。
「30万円で買取」と「30万円支払われる」は違う
広告や初期査定で30万円と提示されても、
- 取り外し
- 搬出
- 車両
- 養生
- 処分品回収
が別料金なら、最終金額は変わります。
必ず、
最終的に店舗側が受け取る金額、または支払う金額
まで確認します。
買取額で処分費を相殺する方式もある
例えば、
買取品 +150,000円
不用品処分 −100,000円
として、差額50,000円を店舗側が受け取る方式も考えられます。
逆に、処分費の方が大きければ店舗側が差額を支払います。
買取と処分を同時に頼む最大のポイントは、この最終精算を明確にすることです。
4.取り外し・搬出費を確認する
厨房機器は大型で重く、設備へ接続されていることがあります。
例えば、
- 給排水
- ガス
- 電源
- 排気ダクト
につながっています。
そのため、機器価値とは別に、取り外し・搬出に費用がかかることがあります。
搬出条件によって金額が変わる
例えば、
- 地下店舗
- 階段しかない
- 大型冷蔵庫が扉を通らない
- クレーンが必要
- 夜間しか搬出できない
- 共用部養生が必要
といった条件です。
査定依頼時に店舗写真と搬出経路を伝えます。
出張買取の流れについては、厨房機器の出張買取とは?で整理しています。
5.買取不可になった場合の費用を確認する
写真査定では値段が付いていても、現地確認で、
- 故障している
- 年式が違う
- 腐食が大きい
- 部品が欠品している
ことが分かり、買取不可になる場合があります。
そのとき、
- 無料で置いていくのか
- 有料回収へ変更できるのか
- 回収費はいくらなのか
を事前に確認します。
「無料回収」の条件も確認する
一部の機器を買い取る代わりに、その他を無料で引き取るサービスも考えられます。
ただし、すべての不用品が無条件で無料になるとは限りません。
対象品、量、搬出条件を確認します。
6.業務用冷凍冷蔵機器のフロン対応を確認する
業務用冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵ショーケースなどにはフロン類を使用している機器があります。
これらは、売却するのか、廃棄するのかで扱いが変わります。
中古機器として本来用途で売却する場合
第一種特定製品に該当する業務用冷凍空調機器を、中古の冷凍空調機器としてそのまま使用する目的で売却する場合は、フロン排出抑制法上の「廃棄等」には該当しません。
ただし、機器の点検整備記録簿を売却先へ引き継ぐ必要があります。
廃棄する場合
一方、機器を廃棄する場合は、フロン類の回収などフロン排出抑制法に基づく対応が必要です。
廃棄時には、回収依頼や引取証明などの手続を確認します。
「金属として売る」場合は中古機器売却と同じではない
業務用冷蔵庫を中古冷蔵庫として再利用するのではなく、部品・金属など原材料として扱う場合は、同じ「売却」という言葉でもフロン排出抑制法上の扱いが変わることがあります。
買取会社へ、
- 中古機器として再販売するのか
- 廃棄・資源化扱いになるのか
を確認します。
7.廃棄物の処理方法・責任関係を確認する
厨房機器と一緒に、店舗の内装・造作・残置物まで撤去する場合は、廃棄物処理の関係も確認します。
内装解体などの建設工事で発生する建設廃棄物については、原則として発注者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者となります。
元請業者には、適正処理を確保する責任があります。
買取会社と解体会社を同じ扱いにしない
「厨房機器を買い取る会社」と「内装解体工事で発生した廃材を処理する会社」は、役割が同じとは限りません。
例えば、
- 中古品として買い取る
- 店舗残置物を回収する
- 内装を解体する
- 建設廃棄物を運搬・処分する
では必要な契約・許可・責任関係が異なります。
店舗丸ごとの片付けを依頼する場合は、誰がどの部分を担当するのか確認します。
事業者側も「全部持っていってくれるから」で終わらせない
安い・早いという理由だけで処理方法が不明な会社へ依頼するのは避けます。
特に、内装解体を伴う場合は、廃棄物の処理ルートを施工会社へ確認します。
撤去・廃棄全体については、撤去・廃棄ガイドをご覧ください。
8.原状回復・閉店工程と搬出日を合わせる
厨房機器買取と処分は、閉店全体の工程の中で進めます。
例えば、
- 営業終了
- 厨房機器の動作確認
- 査定
- 買取・処分対象決定
- 厨房機器搬出
- 残置物撤去
- 内装解体・原状回復
- 貸主検査
- 明渡し
という順番です。
電気・水道・ガスを止める前に動作確認する
厨房機器は稼働状態が査定材料になることがあります。
閉店したからといって、すぐ電気・水道等を停止すると動作確認できなくなる場合があります。
可能であれば、査定・動作確認が終わるまで利用できる状態を確保します。
原状回復業者と買取会社の作業範囲を分ける
例えば業務用冷蔵庫を買取会社が搬出するなら、原状回復見積からその機器の撤去・処分費を外せる可能性があります。
一方、
- 配管撤去
- 電源処理
- 床補修
などは原状回復工事側に残る場合があります。
「機器を持っていったから、その周囲の復旧も全部不要」とは限りません。
買取と処分を別会社へ依頼した方がよい場合もある
一社対応が便利でも、必ず最適とは限りません。
例えば、
- 高額機器が多数ある
- 専門性の高い機器がある
- 処分品が非常に多い
- 原状回復工事と一体で撤去した方が安い
場合は、専門会社を分けた方が合理的なことがあります。
高額機器は個別査定も検討する
大型の製氷機や高年式の業務用冷蔵庫など、価値が高そうな機器については、処分会社の一括査定だけでなく、厨房機器専門買取会社へ個別査定を取る方法があります。
一括依頼と分離依頼を比較する
比較するときは、次の金額を揃えます。
一括依頼
買取額 − 撤去・搬出費 − 処分費 = 最終精算
分離依頼
専門買取会社の買取額 − 買取側搬出費 − 別会社の処分費 − 調整コスト
で比較します。
表示買取額だけでなく、店舗が最終的に受け取る・支払う金額を見ます。
閉店期限が近い場合は「最高値」だけを追わない
複数の専門会社へ一点ずつ売れば、理論上高く売れる物もあります。
しかし、退去期限がある店舗では、
- 査定待ち
- 搬出待ち
- 売れ残り
によって原状回復開始が遅れると、賃料・工事工程へ影響します。
最高買取額と、期限内に確実に店を空にできることを両方考えます。
厨房機器の買取・処分を同時依頼するチェックリスト
- 売却する機器を一覧化した
- 処分候補を一覧化した
- リース・貸与品を除外した
- メーカー・型式・年式を確認した
- 稼働状態を確認した
- 写真を撮影した
- 搬出経路を伝えた
- 買取額を確認した
- 取り外し費を確認した
- 搬出費・車両費を確認した
- 処分費を確認した
- 買取不可時の扱いを確認した
- 最終精算額を確認した
- 冷凍冷蔵機器のフロン対応を確認した
- 原状回復業者との作業範囲を分けた
厨房機器の買取と処分についてよくある質問
厨房機器の買取と不用品処分を一緒にお願いできますか?
両方を扱う事業者があります。ただし、買取不可品は有料回収になる場合があるため、買取額と処分費を分けて確認してください。
売れる機器が1台だけでも残りを処分してもらえますか?
対応する会社はあります。地域・物量・搬出条件によって対応可否や料金が変わるため、事前に店舗全体の写真・機器一覧を伝えると確認しやすくなります。
買取額から処分費を差し引くことはありますか?
あります。買取品と処分品が混在する場合、買取額と撤去・処分費を相殺して最終精算するケースがあります。最終受取額・支払額を確認してください。
壊れた厨房機器も無料で引き取ってもらえますか?
必ず無料とは限りません。商品価値がなく、搬出・処理費がかかる場合は有料になることがあります。
業務用冷蔵庫を売る場合もフロン回収が必要ですか?
中古の業務用冷凍空調機器として本来用途で再使用する目的で売却する場合は、フロン排出抑制法上の「廃棄等」には該当しません。ただし、点検整備記録簿の引継ぎが必要です。
業務用冷蔵庫を廃棄する場合はどうなりますか?
第一種特定製品に該当する機器を廃棄する場合は、フロン回収等の手続が必要です。廃棄を依頼する会社へ対応方法を確認してください。
買取会社へ店舗内の内装廃材も全部処分してもらえますか?
厨房機器・残置物の回収と、建設工事で発生する建設廃棄物の処理は同じ扱いとは限りません。内装解体を伴う場合は、元請業者と廃棄物処理の責任範囲を確認してください。
一括業者と専門買取会社のどちらがよいですか?
高価値機器が多ければ専門買取会社の個別査定が有利な場合があります。一方、処分品が多く退去期限が近い場合は、一括対応による日程短縮が合理的なこともあります。最終精算額と工程の両方で比較してください。
厨房機器の買取と処分は「差額」と「工程」で判断する
閉店時の厨房機器は、
- 売却する物
- 再利用・移設する物
- 居抜きで残す物
- 処分する物
に分けます。
そのうえで、買取と処分を同時に依頼する場合は、
買取額 − 取り外し・搬出費 − 処分費
という最終精算額を確認します。
さらに、業務用冷凍冷蔵機器は、売却と廃棄でフロン排出抑制法上の扱いが異なります。
価格だけでなく、適正な処理と原状回復工程まで含めて決めることが重要です。
厨房機器買取全体については、飲食店の閉店で厨房機器は買取できる?をご覧ください。
査定額の見方については、厨房機器の査定は何を見る?で整理しています。
設備・什器の売却全体については、設備・什器買取ガイドをご覧ください。
売れる厨房機器と処分品が大量に混在し、どこまで買取会社へ任せ、どこから原状回復・撤去業者へ任せるべきか整理できない場合は、お問い合わせから店舗業態・退去期限・機器の概要をご連絡ください。
