店舗を閉店・移転するとき、商品棚やショーケース、ハンガーラック、ディスプレイ台などの什器が大量に残ることがあります。
原状回復を急いでいると、まとめて撤去・処分を依頼してしまいがちですが、まだ使用できる店舗什器であれば買取対象になる場合があります。
什器を売却できれば、買取代金を受け取れるだけでなく、処分する物量が減るため、閉店・退去全体の支出を減らせる可能性があります。
ただし、店舗にある什器なら何でも値段が付くわけではありません。
什器の種類、状態、サイズ、数量、再販しやすさ、取り外しや搬出にかかる費用などを含めて査定されます。
閉店時は、原状回復業者へ一括で撤去処分を発注する前に、売却できる什器と処分する什器を分けておくことが重要です。
この記事では、店舗什器の買取対象になりやすい物、査定前に確認したい8項目、搬出・原状回復との順番、買取できなかった什器の扱いまで整理します。
店舗什器とは
店舗什器とは、商品を陳列したり、店舗運営・接客に使用したりする家具・設備・備品を指します。
例えば、
- 商品棚
- システム什器
- ガラスショーケース
- ディスプレイケース
- ハンガーラック
- 陳列ワゴン
- ディスプレイテーブル
- マネキン・トルソー
- ミラー
- カウンター
- チェア・ソファ
- キャビネット
などがあります。
小売店・アパレルだけでなく、美容室、サロン、飲食店、ショールームなどにも多くの什器があります。
店舗什器は閉店時でも買取できる
閉店・移転・改装に伴って不要になる店舗什器を扱う買取会社があります。
特に店舗一式で大量の什器が出る場合は、店舗へスタッフが訪問して現地査定を行い、そのまま撤去・搬出まで相談できる場合があります。
そのため、
「自分で倉庫まで運べないから廃棄するしかない」
とは限りません。
買取対象になりやすい店舗什器
実際の査定可否は会社・市場需要によって異なりますが、中古市場で再利用しやすい什器は査定対象になりやすくなります。
ショーケース
ガラスショーケース、ジュエリーケース、コレクションケースなどは店舗で再利用しやすい什器です。
ただし、ガラス割れ、大きな欠け、特殊すぎるサイズなどは査定へ影響する場合があります。
商品棚・システム什器
商品棚、ゴンドラ什器、システム什器、可動棚などは、小売店・物販店で使用されます。
同型の什器が複数台揃っている場合は、一店舗分をまとめて再利用しやすくなることがあります。
ハンガーラック
アパレル店舗などで使うハンガーラック、ステージハンガー、壁面ラックなども査定対象になる場合があります。
ディスプレイテーブル・ワゴン
陳列テーブル、販売ワゴン、ディスプレイ台なども、サイズ・デザイン・状態によって査定されます。
マネキン・トルソー
アパレル什器では、マネキンやトルソーをまとめて扱う買取会社もあります。
店舗家具
デザイナーズ家具、ブランド家具、待合ソファ、チェア、テーブルなどは、一般の店舗什器とは別の中古家具価値が付く場合があります。
買取が難しくなりやすい什器
店舗で使用していた物でも、再販が難しい場合は値段が付かないことがあります。
例えば、
- 著しい傷・破損がある
- サビや腐食が大きい
- 店舗名・ロゴが大きく入っている
- 特注寸法で再利用しにくい
- 壁・床へ強く固定されている
- 解体・搬出費が商品価値を上回る
- 部品が欠品している
- 中古需要が少ない
といったケースです。
「購入時に高かったから高く売れる」とは限りません。
中古市場で再利用できる価値と、店舗から撤去して再販売するまでのコストを含めて判断されます。
店舗什器の査定前に確認する8項目
- 所有者を確認する
- 売却する什器を一覧化する
- メーカー・商品名・サイズを確認する
- 数量を整理する
- 状態を確認する
- 写真を撮影する
- 取り外し・搬出条件を確認する
- 原状回復・居抜きとの順番を決める
1.所有者を確認する
売却する前に、その什器を自社が自由に処分できる物か確認します。
例えば、
- 自社購入品
- リース品
- レンタル品
- メーカー貸与品
- 貸主設備
が混在している場合があります。
自社所有でない什器を誤って売却しないようにします。
2.売却する什器を一覧化する
閉店店舗では什器が数十点から数百点になることがあります。
査定依頼前に、
- 商品棚 20台
- ガラスショーケース 4台
- ハンガーラック 15台
- ディスプレイテーブル 8台
など、種類と数量をまとめておくと査定が進みやすくなります。
3.メーカー・商品名・サイズを確認する
メーカー品やシステム什器の場合は、メーカー名・シリーズ・型番などが分かれば伝えます。
型番が分からなくても、
- 幅
- 奥行
- 高さ
を測っておくと査定材料になります。
4.数量を整理する
什器では、一点の価値だけでなく数量も重要です。
同じシリーズがまとまって揃っていれば、次の店舗で一式導入しやすくなります。
反対に、特殊な什器が一台だけ残っている場合は、出張・搬出コストとの関係で買取が難しくなることがあります。
5.状態を確認する
査定前に、
- 傷
- 割れ
- 欠け
- サビ
- 汚れ
- 変色
- 部品欠品
- 扉・引き出しの動作
などを確認します。
無理に新品同様まで清掃する必要はありませんが、商品が確認できる程度に整理しておくと写真査定もしやすくなります。
6.写真を撮影する
現地査定前に写真で概算判断する会社もあります。
撮っておきたいのは、
- 什器全体
- 正面
- 側面
- メーカー表示
- 傷・破損部分
- 同型什器が並んでいる状態
- 設置場所
です。
店舗全体の写真もあると、数量や搬出量を把握しやすくなります。
7.取り外し・搬出条件を確認する
什器の査定では、什器そのものの価値だけでなく、店舗から持ち出すための費用も関係します。
例えば、
- 1階路面店
- 地下店舗
- 階段しかない
- エレベーターが小さい
- 営業時間外しか搬出できない
- 共用部養生が必要
- 什器が壁・床へ固定されている
などによって作業条件が変わります。
固定什器は「商品価値」と「撤去費」を一緒に見る
壁面什器や大型カウンターなどは、中古品として価値があっても、取り外し・解体に大きな費用がかかれば、買取額が下がったり、買取不可になったりする場合があります。
査定時には、
- 取り外しを誰が行うか
- 撤去費が買取額から差し引かれるか
- 搬出費を含むか
- 養生費が別途か
を確認します。
8.原状回復・居抜きとの順番を決める
店舗閉店では、什器買取だけを単独で考えないことが重要です。
什器をどうするかによって、
- 居抜き
- 造作譲渡
- 原状回復
- 内装解体
の進め方も変わります。
居抜きを検討しているなら先に什器を売らない
後継テナントへ内装・什器をまとめて引き継ぐ可能性がある場合、先に什器を個別売却すると店舗一式としての価値を下げてしまうことがあります。
例えば、アパレル店舗で、
- 商品棚
- ハンガーラック
- カウンター
- 照明
まで揃っている状態なら、後継店舗がそのまま利用できる可能性があります。
居抜きを検討する場合は、貸主の承諾条件と後継テナント募集の可能性を確認してから、個別売却へ進みます。
居抜き・造作譲渡については、居抜き・造作譲渡ガイドをご覧ください。
原状回復業者へ処分発注する前に査定する
店舗什器を売却したい場合は、原状回復・解体会社へ、
「店内残置物・什器をすべて撤去処分」
と正式発注する前に査定を進めます。
処分対象として発注した後に買取会社を入れると、
- 誰が何を撤去するのか
- 見積から何を外すのか
- 工事日程をどう変更するのか
を再調整する必要があります。
買取価格だけではなく最終受取額を見る
店舗什器では、提示された買取額だけを比較しないようにします。
例えば、
A社:買取20万円、搬出費込み
B社:買取30万円、撤去・搬出費15万円
なら、B社の表示買取額が高くても、手元に残る金額はA社より少なくなります。
確認したいのは、
- 買取総額
- 取り外し費
- 搬出費
- 車両費
- 養生費
- 処分品の回収費
を反映した最終金額です。
大量の什器は店舗一括査定も検討する
閉店時に店舗全体の什器を処分する場合、一点ずつ別会社へ売る方法が最も高くなるとは限りません。
一点ずつ販売すれば高く売れる物もありますが、
- 撮影
- 出品
- 購入者対応
- 引渡し
- 売れ残り
への対応が必要です。
退去期限が決まっている場合は、多少単価が低くても、一括査定・一括搬出の方が実務負担を小さくできることがあります。
一点売りと一括買取を使い分ける
例えば、
- 高価値のデザイナーズ家具は個別査定
- 汎用什器は一括査定
- 売れない物は処分
と分ける方法があります。
すべてを同じ扱いにする必要はありません。
店舗什器を高く売るために確認したいこと
査定額そのものを保証する方法はありませんが、査定に必要な情報を揃えることで比較しやすくなります。
- 什器を廃棄する前に査定する
- メーカー・サイズを伝える
- 数量を正確に伝える
- 状態が分かる写真を送る
- 同シリーズをまとめる
- 欠品部品を確認する
- 搬出条件を事前に伝える
- 複数社を比較する場合は同じ条件を渡す
古い什器でも必ず売れないとは限らない
製造年だけで店舗什器の価値が決まるとは限りません。
什器の場合は、
- デザイン
- 状態
- 再利用しやすさ
- サイズ
- 数量
- 中古市場の需要
も関係します。
年数だけで自己判断して捨てず、処分前に写真査定を依頼する方法があります。
オーダー什器は査定が分かれやすい
店舗専用に作ったオーダー什器は、購入時の金額が高くても、中古市場では別の評価になることがあります。
例えば、
- 店舗寸法に完全に合わせて作られている
- ブランドロゴが入っている
- 壁へ固定されている
- 大型で運搬コストが高い
場合、他店舗で再利用しにくいためです。
一方、デザイン性が高く、独立什器として再利用しやすい場合は査定対象になる可能性があります。
売れない店舗什器はどうする?
査定した結果、すべての什器に値段が付くとは限りません。
その場合は、
- 無料引取できるもの
- 有料回収になるもの
- 原状回復会社が撤去するもの
- 別の適切な処理が必要なもの
に分けます。
「買取」と「処分」の見積を分ける
例えば、
買取 +150,000円
処分・搬出 −80,000円
最終受取額 70,000円
というように、買取と処分を分けて確認できると判断しやすくなります。
買取金額だけを大きく見せ、別途処分費が高額になるケースを避けるためにも、最終精算額を確認します。
事業で不要になった什器は適切な方法で処理する
買取できなかった什器を廃棄する場合は、家庭の粗大ごみと同じ感覚で処理せず、事業活動から出た廃棄物として、その種類や地域のルールに応じた適切な処理方法を確認します。
内装解体工事と一体で撤去する場合は、解体会社側の廃棄物処理範囲も確認します。
撤去・廃棄全体については、撤去・廃棄ガイドをご覧ください。
店舗閉店で什器を売る順番
閉店が決まった場合は、次の順番で整理すると進めやすくなります。
- 賃貸借契約と退去期限を確認する
- 居抜き・造作譲渡を使うか判断する
- 残す什器・持ち出す什器・売る什器を分ける
- 店舗什器を査定する
- 買取対象と処分対象を確定する
- 買取品を搬出する
- 残置物・処分品を撤去する
- 原状回復工事へ進む
原状回復を先に発注して店舗内部を解体してしまうと、売却できたはずの什器まで処分される可能性があります。
退去期限から逆算する
店舗什器の売却には、
- 写真査定
- 現地査定
- 買取条件確認
- 搬出日時調整
- 搬出
などの工程があります。
閉店最終日になって初めて査定依頼をすると、原状回復工程との調整余地が少なくなります。
閉店・移転が決まった段階で什器リストを作り、査定可能なものから確認します。
店舗什器買取のチェックリスト
- 什器の所有者を確認した
- 什器の種類・数量を一覧化した
- メーカー・サイズを確認した
- 状態を確認した
- 写真を撮影した
- 搬出経路を確認した
- 固定什器の取り外し条件を確認した
- 居抜きで残す什器を決めた
- 原状回復業者へ処分発注する前に査定した
- 買取額と搬出・処分費を分けて確認した
- 売れない什器の処理方法を確認した
店舗什器の買取についてよくある質問
閉店する店舗の什器はまとめて買い取ってもらえますか?
店舗一式の什器を出張査定する買取会社があります。什器の種類・数量・地域・搬出条件によって対応可否が変わるため、一覧と写真を送って確認すると進めやすくなります。
どんな店舗什器が売れますか?
ショーケース、商品棚、ハンガーラック、ディスプレイテーブル、システム什器、店舗家具などが査定対象になる場合があります。状態や中古需要によって買取可否は変わります。
古い店舗什器でも売れますか?
年数だけで判断できません。デザイン、状態、数量、サイズ、再販需要などによって評価が変わるため、廃棄前に査定を依頼する方法があります。
固定された什器も買い取れますか?
査定対象になる場合がありますが、取り外し・解体・搬出コストとの関係で買取額が変わる可能性があります。設置状況を写真で伝えてください。
一点だけでも出張買取できますか?
対応は買取会社・品物・地域によって異なります。大型什器や価値の高い什器なら一点でも対応する場合がありますが、事前確認が必要です。
買取できない什器も一緒に回収できますか?
買取と不用品回収をまとめて行う会社もあります。ただし、買取不可品については処分費が発生することがあります。買取額と処分費を分けて確認してください。
閉店時は居抜きと什器買取のどちらを先に検討しますか?
居抜きで後継テナントへ什器を含めて引き継げる可能性があるなら、先に個別売却しない方がよい場合があります。貸主承諾、後継テナント募集期限、原状回復期限を見ながら判断します。
原状回復業者に全部捨ててもらうのと買取ではどちらがよいですか?
売却できる什器があるなら、先に買取査定した方が処分量を減らせる可能性があります。一方、価値が低く搬出費の方が高い場合は、原状回復・撤去とまとめた方が合理的な場合もあります。最終的な受取額・支払額で比較します。
店舗什器は「捨てる前に査定する」
店舗閉店・移転時の什器は、次の3つに分けると整理しやすくなります。
- 居抜き・次店舗で残す物
- 中古品として売却する物
- 撤去・処分する物
この分類をせずに原状回復業者へすべて撤去処分として発注すると、まだ利用価値がある什器まで廃棄される可能性があります。
什器買取で見るべきなのは査定額だけではなく、取り外し・搬出・処分まで含めて閉店全体でいくら残るかです。
店舗什器・設備の買取全体については、設備・什器買取ガイドをご覧ください。
店舗閉店全体の進め方については、店舗閉店ガイドで整理しています。
什器の種類が多く、何を売却し、何を居抜きで残し、何を処分すればよいか整理できない場合は、お問い合わせから店舗業態・退去期限・什器の概要をご連絡ください。
