飲食店を閉店・移転するとき、厨房に残った業務用冷蔵庫をそのまま処分してしまう必要はありません。
ホシザキ、フクシマガリレイ、パナソニック、大和冷機などの業務用冷蔵庫は中古市場でも流通しており、年式・型式・状態によっては買取してもらえる場合があります。
ただし、家庭用冷蔵庫のように「まだ動くから売れる」と単純には判断できません。
業務用冷蔵庫は大型・重量物で、搬出に複数人が必要になることがあります。階段、厨房の間口、カウンター、搬出可能時間などによっては、買取価格より搬出費の影響が大きくなる場合もあります。
また、冷媒としてフロン類を使用している業務用冷蔵庫を廃棄する場合には、フロン排出抑制法に基づく対応が必要になることがあります。
業務用冷蔵庫の売却では、「いくらで買い取ってもらえるか」だけでなく、「中古品として売れるのか」「搬出後にいくら残るのか」「売れなかった場合にどう処分するのか」まで確認することが重要です。
この記事では、店舗閉店・移転時に業務用冷蔵庫を買取へ出す前に確認したい8項目を整理します。
冷蔵庫以外も含む厨房設備の売却については、飲食店の閉店で厨房機器は買取できる?をご覧ください。
業務用冷蔵庫は買取できる?
中古厨房機器として再販売できる状態であれば、業務用冷蔵庫は買取対象になる場合があります。
代表的なのは、
- 縦型冷蔵庫
- コールドテーブル
- 台下冷蔵庫
- 冷凍冷蔵庫
- リーチイン冷蔵庫
- 冷蔵ショーケース
などです。
ただし、査定価格は機器ごとに大きく異なります。
新品価格から買取価格を計算しない
新品で50万円、100万円以上した業務用冷蔵庫でも、中古買取価格が新品価格に比例するとは限りません。
中古業者は、
- 現在いくらで再販売できるか
- 故障リスク
- 整備費
- 搬出費
- 運搬費
- 保管費
- 中古市場での需要
などを考えて査定します。
購入価格や帳簿価格と中古買取価格は別のものです。
業務用冷蔵庫の査定前に確認する8項目
- メーカー・型式
- 製造年・使用年数
- 冷却・動作状態
- 庫内・外装・パッキン等の状態
- 容量・ドア数・電源・中古需要
- 棚板などの付属品
- 搬出経路・設置条件
- 買取できなかった場合の処分・フロン対応
1.メーカー・型式を確認する
査定で最初に必要になるのがメーカーと型式です。
業務用冷蔵庫では、例えば、
- ホシザキ
- フクシマガリレイ
- パナソニック
- 大和冷機工業
- 北沢産業
- レマコム
などの製品が流通しています。
メーカーが同じでも、型式によって、
- サイズ
- 容量
- ドア数
- 冷却方式
- 消費電力
- 機能
が異なり、中古需要も変わります。
銘板の写真を撮る
業務用冷蔵庫には、本体側面や庫内などに、
- メーカー
- 型式
- 製造番号
- 電源
- 冷媒
などを記載した銘板があります。
査定時は文字だけを書き写すより、銘板そのものを写真で送ると正確です。
2.製造年・使用年数を確認する
業務用冷蔵庫では年式が査定へ大きく影響します。
冷蔵庫には、
- コンプレッサー
- ファン
- 温度制御部品
- ドアパッキン
などの消耗・劣化する部品があるため、一般には新しい機種ほど再販売しやすくなります。
「○年以上は絶対に売れない」という共通基準はない
買取業者によって、
- 取扱メーカー
- 販売先
- 整備能力
- 在庫状況
が違います。
比較的新しい機種を中心に買い取る会社もあれば、10年前後の機種でも状態によって査定する会社があります。
年式だけを見て廃棄を決めず、型式・状態と合わせて査定を依頼します。
3.冷却・動作状態を確認する
業務用冷蔵庫として再販売する以上、正常に冷えるかは重要です。
査定前には、可能な範囲で、
- 電源が入る
- 設定温度まで冷える
- 温度表示が正常
- 異常なエラーが出ない
- 大きな異音がない
- 水漏れがない
などを確認します。
閉店後に電源を抜く前に動作確認する
閉店後すぐに電源を抜き、その状態で数週間放置すると、査定日に冷却確認できない場合があります。
売却予定なら、営業終了前後に、
- 冷却温度
- 異音
- エラー表示
などを確認し、必要なら動画・写真を残します。
故障していてもすぐ処分しない
冷えない、エラーが出るなどの不具合があっても、必ず買取不可とは限りません。
機種・年式によっては、
- 修理再販
- 部品利用
などを前提に査定される場合があります。
ただし、動作品と比べれば査定額は低くなりやすく、処分費の方が大きくなるケースもあります。
4.庫内・外装・パッキン等の状態を確認する
飲食店の冷蔵庫は、油、食品汚れ、水分などが付着しやすい設備です。
査定では、
- 庫内の汚れ
- 臭い
- サビ
- ドアのへこみ
- 棚の状態
- ドアパッキンの破損
- 外装の傷
なども確認されます。
査定前に簡単な清掃をする
食品・油汚れが大量に残っていると、機器状態を確認しにくくなります。
通常の清掃で落ちる汚れは、査定前に落としておきます。
一方、売却のためだけに高額な修理や部品交換を行っても、その金額以上に査定が上がるとは限りません。
大きな修理をする前に現状査定を取ります。
閉店後は庫内を空にして乾燥させる
食品を残したまま電源を切ると、
- 臭い
- カビ
- 腐敗
などが発生し、中古価値を大きく下げる可能性があります。
庫内を空にし、清掃・乾燥した状態にしておきます。
5.容量・ドア数・電源・中古需要を確認する
中古価格は、単に大きければ高いわけではありません。
中古店舗で使いやすいサイズ・仕様かどうかも重要です。
中古需要がある仕様は評価されやすい
例えば、
- 一般的な飲食店へ入れやすいサイズ
- コールドテーブル
- 標準的な縦型冷蔵庫
- 冷凍・冷蔵の組み合わせ機
などは、中古市場で買い手を探しやすい場合があります。
大型だから高値とは限らない
非常に大型の機種は新品価格が高くても、
- 設置できる店舗が限られる
- 搬出・運搬コストが高い
- 保管スペースが必要
ため、中古買取では査定が伸びないことがあります。
電源も査定情報になる
業務用厨房機器では、単相100Vだけでなく200V等の機器があります。
次の店舗で導入しやすい仕様かどうかも中古需要へ影響します。
銘板の電源情報も写真で送ります。
6.棚板などの付属品を揃える
業務用冷蔵庫では、
- 棚板
- 棚受け
- 排水部品
- フィルター
などの付属品が欠けていることがあります。
再販売時に必要な部品が揃っていれば、そのまま販売しやすくなります。
店舗内に散らばった棚板を処分しない
閉店作業中に、冷蔵庫から外した棚板を「金属くず」として処分してしまわないようにします。
どの機器の付属品か分かるようにまとめます。
7.搬出経路・設置条件を確認する
業務用冷蔵庫の買取で、機器本体と同じくらい重要なのが搬出です。
大型の縦型冷蔵庫などは重量があり、複数人での搬出が必要です。
査定会社には、
- 店舗の階数
- エレベーターの有無
- 階段の有無
- 入口幅
- 厨房から入口までの通路幅
- カウンター等の障害物
- トラックを停められる位置
- 搬出可能時間
を伝えます。
買取10万円でも搬出に8万円かかれば手取りは小さい
例えば、
- 機器買取:100,000円
- 取り外し・搬出:40,000円
- 階段作業:20,000円
- 車両・養生:20,000円
なら、最終的に残る金額は20,000円です。
業者によって費用の表示方法が違うため、査定額だけを比較しないようにします。
搬出条件の写真・動画を送る
現地査定前に、
- 冷蔵庫正面
- 左右
- 厨房全体
- 出口
- 階段・エレベーター
を撮影して送れば、搬出費を含む概算を出してもらいやすくなります。
8.買取できなかった場合の処分・フロン対応を確認する
業務用冷蔵庫では、この項目を家庭用冷蔵庫と同じ感覚で扱わないようにします。
冷媒としてフロン類を使用する業務用冷凍冷蔵機器は、フロン排出抑制法上の第一種特定製品に該当します。
中古冷蔵庫として売却する場合
業務用冷蔵庫を、次の所有者が冷蔵庫としてそのまま再使用する中古品として売却する場合は、廃棄するケースとは扱いが異なります。
正常な中古機器として売却するために、売主が事前に冷媒を抜くというものではありません。
ただし、対象機器の管理記録について、次の管理者へ引き継ぐ必要があります。
売れずに廃棄する場合
一方、中古品として再使用せず廃棄する場合は、フロン類を使用する対象機器について適切な回収手続きが必要です。
通常は、第一種フロン類充塡回収業者へフロン類の回収を依頼し、行程管理制度に従って処理します。
「買取不可だったので、解体業者にそのまま鉄くずとして持っていってもらう」という処理を安易に行わないようにしてください。
業務用冷蔵庫の廃棄・フロンについては、ART-261で詳しく扱います。
冷媒を自分で抜かない
売却前に冷媒を自分で抜く必要はありません。
また、廃棄する場合も、資格・登録等を確認せず自社で冷媒を大気放出するような対応は行いません。
買取業者・撤去業者へ、
- 中古再使用として引き取るのか
- 廃棄処分として引き取るのか
- フロン対応を誰が行うのか
を確認します。
業務用冷蔵庫の買取相場はいくら?
インターネット上では、業務用冷蔵庫について数万円から10万円を超える買取事例が掲載されています。
ただし、冷蔵庫全体について「相場は○万円」と決めることはできません。
同じメーカーでも、
- 型式
- 製造年
- 容量
- 冷蔵・冷凍構成
- 状態
- 中古市場での需要
- 搬出条件
によって大きく変わります。
公開価格は参考値として見る
例えば特定型番について「4万円〜7万円」などの買取例が公開されていても、別の年式・状態の同型機にその価格が保証されるわけではありません。
自社の機器について型式・年式を伝え、実査定へ置き換えます。
ホシザキなら必ず高く売れる?
ホシザキは業務用厨房機器で中古流通が多いメーカーの一つです。
そのため、人気型式・比較的新しい年式・状態のよい製品では需要が期待できます。
しかし、
- 非常に古い
- 冷却不良
- 大きなサビ
- 搬出困難
- 市場在庫が多い
などの条件なら、メーカーだけで高額査定になるとは限りません。
業務用冷蔵庫を少しでも有利に売る方法
閉店が決まったら早めに査定する
営業最終日まで待つ必要はありません。
まだ使用している状態でも、
- 型式
- 年式
- 写真
- 撤去予定日
が分かれば概算査定できる業者があります。
冷えている状態を確認してもらう
営業終了後に長期間電源を切る前に、動作していることを確認できる資料を残します。
厨房機器をまとめて査定する
冷蔵庫だけではなく、
- 製氷機
- 食洗機
- ガスレンジ
- フライヤー
- ショーケース
- 作業台
なども売却するなら、一括査定を依頼する方法があります。
一度の搬出でまとめられるため、冷蔵庫単品より効率よく回収できる場合があります。
高く売れそうな機器だけ別査定する方法もある
一括買取は閉店担当者の作業を減らせますが、必ず最高値になるとは限りません。
比較的新しいホシザキ製品など、中古価値が高いと考えられる設備については、専門業者を含め複数社へ査定する方法もあります。
厨房を解体する前に査定する
原状回復・内装解体会社へ厨房一式を撤去依頼した後では、売却可能な機器まで処分対象になる場合があります。
順序は、
- 居抜きで引き継ぐ物を決める
- 売却できる厨房機器を査定する
- 売れない物を処分対象にする
- 最後に原状回復・解体する
とすると整理しやすくなります。
居抜き退去する場合は勝手に冷蔵庫を売らない
居抜きで後継テナントへ厨房設備を引き継ぐ予定なら、途中で高価買取できる冷蔵庫だけ外部へ売却すると、後継テナントとの条件が変わります。
居抜きでは、
- 後継テナントへ残す設備
- 個別売却する設備
- 撤去・処分する設備
を先に分けます。
買取会社を比較する8項目
- 冷蔵庫本体の査定額
- 出張査定費
- 取り外し費
- 搬出作業費
- 階段等の追加費
- 車両・運搬費
- 他の厨房機器の買取額
- 買取不可品の処分費
「買取価格」ではなく最終差額で比較する
例えば、
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 冷蔵庫査定 | 80,000円 | 60,000円 |
| 搬出等 | 50,000円 | 10,000円 |
| 最終受取額 | 30,000円 | 50,000円 |
なら、査定価格が高いA社よりB社の方が20,000円多く残ります。
閉店時の厨房機器買取では、機器単体の査定価格ではなく、店舗から搬出し終えた時点の最終精算額を比較します。
売却と処分を同時に依頼する場合
店舗閉店では、すべての設備に値段が付くわけではありません。
例えば、
- 新しい冷蔵庫は買取
- 古い作業台は無料引取
- 故障機器は有料処分
という組み合わせになることがあります。
見積では、それぞれを分けて確認します。
「一式0円引取」が最適とは限らない
厨房一式を無料で撤去してもらえれば便利ですが、価値の高い冷蔵庫・製氷機等が含まれていれば、本来得られた売却代金を失っている可能性があります。
高価値品だけでも査定額を確認してから一括処分を決めます。
いつ買取査定を依頼する?
閉店日が確定したら早めに動きます。
特に大型厨房機器では、
- 査定
- 日程調整
- 搬出経路確認
- 人員・車両手配
が必要です。
閉店前でも査定を進め、営業終了後の搬出日だけ確定する方法があります。
原状回復工事から逆算する
厨房機器が残っていると、
- 床撤去
- 壁補修
- 給排水撤去
- 厨房区画の解体
を進められない場合があります。
そのため、
営業終了 → 食品搬出・清掃 → 厨房機器買取・搬出 → 残置物撤去 → 原状回復
という順序を原状回復会社と確認します。
業務用冷蔵庫買取のチェックリスト
- メーカーを確認した
- 型式を確認した
- 製造番号を確認した
- 年式を確認した
- 冷却状態を確認した
- エラー表示を確認した
- 庫内を清掃した
- サビ・傷を確認した
- 棚板・付属品を揃えた
- 容量・ドア数を確認した
- 電源仕様を確認した
- 銘板写真を撮った
- 搬出経路を撮影した
- 階段・エレベーターを確認した
- 搬出可能日時を確認した
- 査定額を確認した
- 搬出・運搬費を確認した
- 買取不可の場合の処分方法を確認した
- 廃棄となる場合のフロン対応を確認した
- 最終受取額・支払額を比較した
業務用冷蔵庫の買取についてよくある質問
業務用冷蔵庫は何年前まで買取できますか?
全国共通の年数基準はありません。比較的新しい機種ほど有利ですが、メーカー、型式、状態、需要、搬出条件によっては年数が経っていても査定対象になる場合があります。
10年以上前の冷蔵庫でも売れますか?
業者によっては査定対象になります。ただし再販後の故障リスクが高まるため、査定額が低い、無料引取になる、または有料処分になる可能性があります。
ホシザキの冷蔵庫は高く売れますか?
中古流通量・需要のあるメーカーの一つですが、メーカー名だけで価格は決まりません。型式、年式、状態、サイズ、搬出条件等によって変わります。
冷えない業務用冷蔵庫でも買取できますか?
機種によっては修理・部品利用を前提に査定される場合があります。故障していることを伝えたうえで査定してください。
売る前にフロンを抜く必要がありますか?
中古の業務用冷蔵庫として本来用途で再使用する売却なら、廃棄時とは扱いが異なります。自社判断で冷媒を抜かず、買取業者へ機器の扱いを確認してください。
買取できなかった場合はどう処分しますか?
フロン類を使用する業務用冷蔵庫を廃棄する場合は、フロン排出抑制法に基づく適切な回収・行程管理等が必要です。通常の家庭用粗大ごみと同じ感覚では処分しません。
搬出も買取業者に依頼できますか?
厨房機器専門の買取会社には取り外し・搬出まで対応する会社があります。階段、入口幅、厨房内の障害物、夜間作業等によって費用が変わるため事前に伝えます。
閉店3日前でも依頼できますか?
短納期対応を掲げる業者もありますが、必ず対応できるわけではありません。大型機器の人員・車両手配が必要なので、閉店・退去日が分かった段階で早めに相談する方が安全です。
冷蔵庫だけでなく厨房一式を売れますか?
厨房機器をまとめて査定する業者があります。冷蔵庫、製氷機、食洗機、熱機器、作業台等を同時に提示すると、搬出を一度にまとめられる場合があります。
業務用冷蔵庫は廃棄を決める前に査定する
業務用冷蔵庫の買取では、
- メーカー・型式
- 年式
- 冷却状態
- 庫内・外装状態
- サイズ・需要
- 付属品
- 搬出条件
- 売れない場合の処分条件
を確認します。
比較的新しく状態のよい機器なら、廃棄費を支払うのではなく、売却代金を得られる可能性があります。
一方、古い・故障している・搬出困難などの条件では、買取額より搬出・処分費の方が大きくなる場合があります。
店舗閉店では、まず中古品として売れるか確認し、売れない物だけを適切な処分へ回す順序にすることで、退去費用を抑えやすくなります。
厨房機器全体については、飲食店の閉店で厨房機器は買取できる?をご覧ください。
設備・什器買取全体については、設備・什器買取ガイドで整理しています。
買取できなかった業務用冷蔵庫のフロン対応・廃棄についてはART-261で詳しく解説します。
複数の業務用冷蔵庫・厨房機器があり、どれを売却し、どれを処分すべきか判断できない場合は、お問い合わせからメーカー・型式・台数・閉店日・退去予定をご連絡ください。
