B工事の見積が予算を大きく超えたとき、「指定業者だから金額は変えられない」とそのまま発注する必要があるとは限りません。
ただし、B工事の減額は、指定業者へ単純に「もっと安くしてください」と頼むこととも違います。
工事範囲、数量、仕様、工事区分、施工条件などを確認し、現在の見積の中から見直せる部分を整理することが先です。
まだ見積のどこに問題があるのか整理できていない場合は、先にB工事の見積が高いときに確認する7項目をご覧ください。
この記事では、その確認を終えたあと、発注前にどのような順序でB工事の費用を見直すのかを整理します。
B工事の減額は「値切ること」だけではない
B工事費を下げる方法は、大きく分けると次のようになります。
- 不要な工事を外す
- 工事数量を適正化する
- 仕様を見直す
- 施工方法を変える
- B工事とC工事の範囲を見直す
- 施工条件や工程を調整する
- 諸経費や管理費の内容を確認する
- 第三者の見積や査定を使って金額の根拠を確認する
つまり、同じ内容のまま単価だけを下げる方法だけが減額ではありません。
むしろ、工事範囲や仕様そのものを見直した方が、結果として費用への影響が大きくなることがあります。
B工事を減額するときの進め方
発注前であれば、次の順番で整理すると何を確認すべきか分かりやすくなります。
- 契約・工事区分を確認する
- 必要な工事範囲を確定する
- 数量と仕様を確認する
- 代替仕様や施工方法を検討する
- B工事から切り分けられる工事がないか確認する
- 施工条件・工程を確認する
- 見積金額を再確認する
- 必要に応じて第三者の見積・査定を取る
- 根拠を整理して再見積を依頼する
「いくら下げてほしいか」を決める前に、まず何を変えれば金額が変わるのかを整理します。
1.不要な工事を見積から外せないか確認する
最も先に確認したいのは、単価ではなく工事範囲です。
例えば、退去時の原状回復工事であれば、見積に含まれている工事が本当に契約上必要なのかを確認します。
- 部分補修で足りる場所が全面施工になっていないか
- 撤去だけで足りる部分に新設工事まで含まれていないか
- テナント側が設置していない設備まで対象になっていないか
- 貸主側の更新工事が混在していないか
- 別の工事項目と施工範囲が重複していないか
不要な工事が含まれている場合、単価を下げるより先にその工事項目自体を整理する必要があります。
原状回復の範囲については、店舗・オフィスの原状回復ガイドもあわせて確認してください。
2.数量が実際の工事範囲と一致しているか確認する
工事項目が必要でも、数量が違えば見積総額は変わります。
例えば、
- 床・壁・天井の面積
- パーティションの長さ
- 照明器具の台数
- コンセントや電源の数量
- 空調機器や吹出口の数
- 防災設備の数量
- 配管・配線の長さ
などです。
図面、現況、見積書を照合し、数量の算定根拠を確認します。
数量が分からない見積であれば、いきなり値引きを求めるより、まず根拠を確認した方が話を進めやすくなります。
3.同じ目的を満たす別仕様を検討する
工事そのものが必要でも、仕様を変更できる場合があります。
例えば、
- 材料メーカー
- 仕上げ材
- 設備機器のグレード
- 施工方法
- 新設か補修か
などです。
ただし、B工事の対象となる設備には、建物側が仕様を指定しているものもあります。
そのため、借主側だけで安価な製品へ変更するのではなく、必要性能を満たす代替仕様が認められるかを指定業者や管理会社と確認します。
4.VE・CDで工事方法を見直す
工事業界では、機能や品質を維持しながら費用を見直す方法としてVEやCDが検討されます。
VEは、必要な機能を満たしながら材料・仕様・施工方法などを変更し、費用と価値のバランスを見直す考え方です。
例えば、
- 同等性能の別仕様へ変更する
- 施工方法を簡略化する
- 不要な工程を省く
- 設備配置を変更して工事量を減らす
- 過剰な仕様を必要水準まで戻す
といった検討があります。
単価だけを交渉するのではなく、工事内容自体を変更するため、案件によっては金額への影響が大きくなることがあります。
5.B工事からC工事へ切り分けられる部分がないか確認する
B工事は、施工会社を貸主・管理会社側が指定し、費用を借主が負担する形で行われることがあります。
一方、C工事では借主側が施工会社を選べるため、工事内容によっては価格競争を働かせやすくなります。
そのため、B工事費が高い案件では、工事範囲の一部をC工事へ切り分けられないか検討されることがあります。
実際に、PM・設計会社等の事例でも、B工事からC工事への振替や工事区分の整理によってコストを見直したケースが公開されています。
ただし、これは借主側が自由に変更できるものではありません。
空調、電気、防災、給排水など、建物全体へ影響する設備については、施工会社や施工方法を建物側で管理する必要がある場合があります。
確認するときは、
- 工事区分表
- 賃貸借契約
- 館内工事規則
- 管理会社の施工条件
をもとに、どの範囲まで変更可能かを協議します。
6.施工時間や工程条件を見直せないか確認する
B工事費は、工事そのものだけでなく施工条件によっても変わります。
例えば、
- 夜間工事
- 休日工事
- 短期間での集中施工
- 搬入・搬出可能時間の制限
- エレベーター使用時間の制限
- 特殊な養生
- 複数工事会社との工程調整
などです。
退去期限や入居日との関係で変更できない条件もありますが、工程に余裕があるなら施工方法や工期を調整できる可能性があります。
逆に、検討開始が遅れて工期が短くなると、費用を見直す選択肢が減ることもあります。
7.諸経費・管理費は金額ではなく内容を見る
B工事の見積には、直接工事費以外に、
- 現場管理費
- 施工管理費
- 共通仮設費
- 養生費
- 搬出入管理費
- 申請・調整費
- 諸経費
などが含まれる場合があります。
これらが入っていることだけで不適切とは判断できません。
確認するのは、何の業務に対する費用なのか、別項目と重複していないか、工事規模に対してどのような内容になっているかです。
諸経費や管理費だけを一律に削るのではなく、内容を確認してから再見積の対象にします。
8.比較見積は「別会社へ発注するため」だけに使わない
B工事では、指定業者以外へ直接発注できないことがあります。
その場合でも、他社による概算見積や積算が無意味とは限りません。
比較できる条件を揃えれば、
- 数量
- 材料
- 施工方法
- 工数
- 単価
- 諸経費
などを確認する材料になります。
大切なのは、「他社は安いから同額にしてください」と要求することではありません。
どの項目にどの程度の差があり、その理由は何なのかを確認するために使います。
9.第三者による見積査定を使う方法もある
工事規模が大きい場合や、社内に建築・設備の知識を持つ担当者がいない場合は、第三者による見積査定を利用する方法もあります。
見積査定では、一般的に、
- 工事範囲
- 数量
- 仕様
- 施工条件
- 工事項目
- 工事区分
などを確認し、現在の見積に確認余地がないか整理します。
ただし、査定を依頼しただけで必ず金額が下がるわけではありません。
また、削減率だけを強く宣伝しているサービスではなく、何をどのような根拠で確認するのかを見る必要があります。
B工事の見積査定については、別記事で詳しく解説します。
10.減額理由を整理してから再見積を依頼する
確認事項が整理できたら、指定業者や管理会社へ再見積を依頼します。
伝え方は、「予算がないので○%下げてください」より、具体的な方が進めやすくなります。
例えば、
- この工事項目は必要範囲を再確認したい
- この数量の算定根拠を確認したい
- 同等性能の代替仕様を検討したい
- この部分をC工事へ切り分けられないか確認したい
- この諸経費に含まれる業務内容を確認したい
- 施工条件を変更した場合の再見積を確認したい
といった形です。
工事の必要性や見積の前提を一つずつ整理すると、単純な値引き交渉ではなく、再積算や仕様変更として協議しやすくなります。
削減率を目標にしすぎない
B工事の減額サービスでは、数十%の削減事例が紹介されていることがあります。
こうした事例は実際にありますが、すべての案件で同じ結果になるわけではありません。
例えば、初回見積に大きな見直し余地がある案件と、すでに工事範囲や仕様が整理された案件では、減額できる余地が違います。
そのため、
- 20%は下げたい
- 30%下がらないと意味がない
- 他社の事例が40%なので自社も40%下がるはず
といった考え方から始めるのは適切ではありません。
目標にするのは一定の削減率ではなく、必要な工事を、根拠の確認できる条件と金額で発注できる状態です。
B工事の減額で避けたい進め方
理由なく一律値引きを要求する
単価・数量・仕様・工事範囲など、確認したい理由を整理してから協議します。
指定業者を敵視する
指定業者には建物設備の安全管理や工事管理上の役割があります。指定制度自体と、見積内容が妥当かという問題は分けて考えます。
安い会社の見積をそのままぶつける
施工条件が違えば価格も変わります。比較条件を揃えず、金額だけを比較しないようにします。
工事範囲を減らすことだけを優先する
建物設備や防災設備など、安全や法令対応に関係する工事を勝手に省くことはできません。
発注後まで確認を先延ばしにする
正式発注後は、資材・人員・工程の手配が進み、変更できる範囲が小さくなることがあります。
B工事の減額についてよくある質問
B工事は実際に減額できますか?
工事範囲・数量・仕様・工事区分・施工条件などを見直した結果、見積金額が変更されることはあります。ただし、すべての案件で減額できるとは限りません。
何%くらい減額できますか?
案件ごとに条件が異なるため、一律の削減率を示すことはできません。初回見積の内容、工事範囲、設備条件、物件ルールなどによって見直し余地は変わります。
指定業者を変更できなくても減額できますか?
指定業者そのものを変更できなくても、工事範囲、数量、仕様、施工方法、工事区分などを協議できる場合があります。
B工事をC工事へ変更すれば必ず安くなりますか?
必ず安くなるとは限りません。また、建物側の承認が必要です。C工事へ切り分ける場合も、品質管理・工程管理・保証などを含めて判断します。
小規模なB工事でも見直した方がよいですか?
見積確認自体は規模にかかわらず行えます。ただし、第三者査定など有料サービスを利用する場合は、想定される見直し余地と依頼費用を比較して判断します。
発注した後でも減額できますか?
変更できるかどうかは契約内容や工事の進行状況によります。すでに資材発注や施工手配が始まっている場合は、変更費用が生じることもあるため、できるだけ正式発注前に確認します。
B工事を減額したいなら、単価より先に工事そのものを見直す
B工事の費用を見直すときは、「いくら値引きできるか」だけを考えない方がよいでしょう。
確認する順番は、
- 工事範囲
- 数量
- 仕様
- 施工方法
- B工事・C工事の区分
- 施工条件
- 諸経費・管理費
- 価格
です。
この順番で整理すると、必要な工事を削らずに、どこに見直し余地があるのかを判断しやすくなります。
B工事そのものの仕組みから確認したい場合は、B工事・指定業者の総合ガイドをご覧ください。
すでに見積を受け取っていて、何から確認すればよいか分からない場合は、B工事の見積が高いときに確認する7項目から進めると整理しやすくなります。
高額なB工事見積を受領済みで、自社だけでは工事区分や見積内容の判断が難しい場合は、お問い合わせから現在の状況をご連絡ください。
