オフィスを移転・縮小・閉鎖するとき、不要になったパソコンやプリンター、モニターなどをすべて処分品として扱う必要はありません。
機種・年式・状態・数量などによっては、中古OA・IT機器として買い取ってもらえる場合があります。
法人向けの買取では、
- デスクトップPC・ノートPC
- ワークステーション
- 液晶モニター
- プリンター
- 複合機
- スマートフォン・タブレット
- サーバー
- ストレージ
- ルーター・スイッチ等のネットワーク機器
などをまとめて査定するサービスもあります。
一方、法人のOA機器売却では、家庭用品をリサイクルショップへ持ち込むのとは違い、所有権、データ、資産管理、搬出、証跡まで確認する必要があります。
オフィスのOA機器は、「売れるか」だけでなく、「安全に会社資産から外し、機密情報を残さず、最終的にいくら回収できるか」で判断することが重要です。
この記事では、法人がOA・IT機器を売却する前に確認したい8項目を整理します。
設備・什器買取全体については、設備・什器買取ガイドをご覧ください。
オフィスで買取対象になりやすいOA・IT機器
買取対象は業者によって異なりますが、法人オフィスでは次のような機器が査定対象になることがあります。
| 機器 | 主な確認点 |
|---|---|
| パソコン | メーカー、型番、CPU、メモリ、SSD、年式、状態 |
| モニター | サイズ、解像度、端子、年式、画面状態 |
| プリンター | 型式、印刷方式、年式、動作状態 |
| 複合機 | 所有権、型式、年式、カウンター、保守、内部データ |
| サーバー | メーカー、型式、CPU、メモリ、ストレージ、構成 |
| ネットワーク機器 | メーカー、型番、ポート数、ライセンス、設定情報 |
| スマホ・タブレット | 機種、容量、状態、アカウント解除、MDM |
| 周辺機器 | ドッキングステーション、UPS、アクセスポイント等 |
「OA機器」と「IT機器」はまとめて査定できる場合がある
買取会社によっては、従来のOA機器だけでなく、
- PC
- サーバー
- ストレージ
- ネットワーク機器
- スマートフォン
などをIT資産として一括で扱っています。
大量の機器があるオフィスでは、一品ずつ別会社へ依頼するより、一括査定の方が担当者の作業を減らせる場合があります。
売却前に確認する8項目
- 会社所有の機器か確認する
- 資産台帳と現物を照合する
- 必要なデータをバックアップする
- 復元できない方法でデータを消去する
- 機器ごとの中古価値を確認する
- 年式・状態・付属品・数量を整理する
- 搬出・ラック撤去・回収条件を確認する
- 買取額ではなく最終受取額で比較する
1.会社所有の機器か確認する
最初に確認するのは査定額ではなく所有権です。
オフィス内にあるOA機器には、
- 自社購入品
- リース品
- レンタル品
- 保守会社からの貸与品
- 社員個人所有品
が混在している場合があります。
リース中の機器を勝手に売却しない
複合機、PC、サーバーなどをリース契約で導入している場合、通常はリース会社側に所有権があります。
会社で毎月料金を支払って使っているからといって、自社資産とは限りません。
売却前に、
- 購入契約
- リース契約
- レンタル契約
- 固定資産台帳
を確認します。
リース終了後も所有権を確認する
リース期間が満了していても、必ず自社所有に変わっているとは限りません。
満了後の条件が、
- 返却
- 再リース
- 買取
- 所有権移転
のどれなのか契約書で確認してください。
複合機については、法人の複合機は買取できる?でも詳しく整理しています。
2.資産台帳と現物を照合する
数十台・数百台のPCやIT機器を一括処分する場合、現物だけ見て売却すると資産管理上の漏れが起きやすくなります。
売却前に、
- 管理番号
- 資産番号
- メーカー
- 型番
- シリアル番号
- 数量
- 購入年月
- 設置場所
を整理します。
完全な一覧がなくても先に査定相談はできる
オフィス閉鎖時には、現物と資産台帳が一致していないこともあります。
まず、
- 機器全体の写真
- 主要機種
- 概算台数
- 回収場所
で相談し、正式取引までに詳細リストを作る方法もあります。
台数が多いほど同一モデルをまとめる
例えば、
- 同型ノートPC50台
- 同型モニター80台
- 同型アクセスポイント30台
のように、モデルと数量をまとめると査定を進めやすくなります。
3.必要なデータをバックアップする
売却後に会社のデータを取り戻せるとは限りません。
機器を手放す前に、業務上必要なデータを別の環境へ移します。
確認するデータ
- 業務ファイル
- 顧客データ
- メール
- 経理データ
- サーバーデータ
- 設定情報
- 暗号鍵
- ライセンス情報
などです。
クラウド利用でも端末側にデータが残る場合がある
Microsoft 365やGoogle Workspace等を利用していても、PC側に、
- 同期済みファイル
- ブラウザ情報
- キャッシュ
- 一時ファイル
- 認証情報
が残っている可能性があります。
クラウド利用だから端末データ消去が不要とは考えないようにします。
4.データは復元できない方法で消去する
法人のOA・IT機器買取で最も重要な項目の一つがデータ消去です。
PC、サーバー、スマートフォンだけでなく、複合機や一部ネットワーク機器にも記録媒体や設定情報が残る場合があります。
ファイルを削除しただけでは不十分な場合がある
通常のファイル削除や簡単な初期化では、専門的な方法によってデータを復元できる可能性があります。
個人データ・顧客情報などを扱っている会社では、復元不可能な方法で消去する必要があります。
代表的な処理方法
- 専用ソフトによるデータ消去
- 暗号化消去
- 記録媒体の物理破壊
などがあります。
どの方法を選ぶべきかは、
- 機器
- HDD・SSD等の媒体
- リユースするか
- 社内セキュリティ基準
によって変わります。
売却して再利用するなら物理破壊できない場合がある
PCを中古品として再販売する場合、ストレージを物理破壊すると商品価値が変わることがあります。
そのため、
- 機器を再利用するもの
- 記録媒体だけ破壊するもの
- 機器ごとリサイクルするもの
を分けます。
外部業者へ任せる場合も会社側の確認が必要
個人情報を含む機器のデータ消去を外部へ委託する場合、
- どの方法で消去するか
- 誰が作業するか
- 再委託されるか
- 機器をどこで保管するか
- 消去証明書を発行できるか
を確認します。
「買取会社が消してくれるはず」で終わらせず、処理方法と証跡を確認してください。
データ消去証明書は必要?
法律上すべてのOA機器売却で特定形式の証明書が必須という意味ではありません。
ただし、
- 情報セキュリティ規程
- 監査
- 顧客との契約
- 個人情報管理
上、証跡が必要な企業があります。
必要なら、
- 管理番号
- シリアル番号
- 消去方法
- 処理日
が確認できる証明書へ対応可能か査定前に確認します。
5.機器ごとの中古価値を確認する
OA機器は「新しいほど一律高い」とも「古いと全部0円」とも限りません。
中古市場での需要によって変わります。
PC・ワークステーション
査定では、
- CPU
- メモリ
- SSD容量
- GPU
- OS対応状況
- メーカー・シリーズ
などが影響します。
モニター
サイズ、解像度、USB-C等の接続規格、メーカー、台数、傷・表示状態などを見ます。
プリンター
機種、年式、印刷方式、消耗品、動作状態などを確認します。
ネットワーク機器
ルーター、スイッチ、無線アクセスポイント等では、
- メーカー
- 型番
- 性能
- ライセンス
- 保守期限
などが重要になる場合があります。
サーバー
サーバーは構成による価格差が大きいため、別途専門査定した方がよいケースがあります。
サーバー買取についてはART-224で詳しく扱います。
6.年式・状態・付属品・数量を整理する
査定を依頼する前に、主要機器について次の情報をまとめます。
- メーカー
- 型番
- 年式
- スペック
- 数量
- 外観
- 動作状態
- 付属品
付属品をまとめる
例えばPCなら、
- ACアダプター
- ドッキングステーション
などを本体と対応させます。
モニターなら、
- スタンド
- 電源ケーブル
を揃えます。
機器をきれいにする前に査定価値を確認する
大量のOA機器を全台清掃するには人件費がかかります。
査定への影響が小さい機器まで時間をかけて清掃するより、まず写真・一覧から買取可能性を確認した方が効率的な場合があります。
壊れたOA機器でも相談する
動かないPCや古いサーバーでも、
- 部品
- 基板
- 金属資源
として引取対象になる場合があります。
ただし、中古品としての買取、無料回収、有料処分は別です。
査定時に、
「壊れている機器もすべて無料で持っていってもらえる」
とは決めつけず確認します。
7.搬出・ラック撤去・回収条件を確認する
法人OA機器買取では、商品価値だけでなく搬出条件によって最終金額が変わります。
特に、
- 大量PC
- 大型プリンター
- 複合機
- サーバーラック
- UPS
などは、人員・車両・養生が必要です。
確認する項目
- 回収場所
- 階数
- エレベーター
- 搬出経路
- 養生
- 駐車スペース
- 作業可能時間
- ビル搬出申請
- ラックからの取り外し
- ケーブル撤去
などです。
サーバーを止める作業と搬出作業を混同しない
サーバーでは、
- サービス停止
- データ移行
- 電源停止
- ラックからの取り外し
- 搬出
という複数工程があります。
買取会社がどこまで対応するか確認してください。
ビルの退去工程に合わせる
OA機器の搬出は原状回復前に行うことが多いため、
社員移転 → IT停止・切替 → OA機器搬出 → 家具搬出 → 原状回復
のように工程を整理します。
オフィス移転費用については、オフィス移転費用はいくら?をご覧ください。
8.査定額ではなく最終受取額で比較する
法人OA機器買取では、査定総額だけを比較しないようにします。
例えば、
A社
- 買取額:500,000円
- データ消去:100,000円
- 搬出・車両:100,000円
B社
- 買取額:400,000円
- データ消去込み
- 搬出込み
なら、A社の査定額が10万円高くても、最終受取額は、
- A社:300,000円
- B社:400,000円
となります。
比較するのは「査定額」ではなく、「すべての機器を安全に搬出・処理した後で会社に何円残るか」です。
買取できない機器の処分費も確認する
100台査定して、
- 60台:買取
- 20台:無料引取
- 20台:有料処分
となる場合があります。
このとき買取60台の査定額だけで比較すると、最終コストが分かりません。
買取不可品まで含めた最終精算額を確認します。
一括買取と専門買取はどちらがよい?
機器が多いオフィスでは、OA・IT機器をまとめて買取してもらう方法があります。
一括買取が向いているケース
- 機器の種類が多い
- 数十〜数百台ある
- 退去期限が決まっている
- 担当者が少ない
- 搬出を1日にまとめたい
専門業者を分けるケース
一方、
- 高額なサーバー
- 特殊なネットワーク機器
- 高性能ワークステーション
- 大量の同一モデルPC
などは専門市場を持つ会社へ別査定した方が高くなる可能性があります。
「全部一社」か「全部個別」だけではない
実務では、
- 高価値なIT機器だけ専門査定
- 残りを一括OA買取会社へ依頼
- 売れない物だけ適正処分
という組み合わせもできます。
売れない法人PCはどうする?
年式・状態等によって買取価格が付かないPCもあります。
企業・法人から排出される使用済パソコンには、資源有効利用促進法に基づいたメーカー回収・リサイクル制度があります。
そのほか、適切なリユース・リサイクル事業者へ回収を依頼する方法があります。
この場合も、データ消去は別途確認してください。
家庭用PCの処分方法をそのまま法人へ当てはめない
法人から排出されるPCと家庭から排出されるPCでは、回収制度の扱いが異なる部分があります。
会社のPCを処分するときは、「家庭用PCを無料回収する方法」をそのまま使うのではなく、法人・事業系PCとして受け付ける方法を確認します。
オフィス家具とOA機器を一緒に売る場合
移転・閉鎖では、PCだけでなく、
- デスク
- チェア
- 書庫
- ロッカー
なども不要になります。
OA・IT機器とオフィス家具をまとめて査定・撤去できる会社もあります。
ただしOA機器と家具では中古市場が違うため、高額品については専門性も確認してください。
家具については、オフィス家具は買取できる?をご覧ください。
OA機器売却の進め方
- 退去・入替日を決める
- 所有権を確認する
- 資産台帳と機器を照合する
- 継続利用する機器を分ける
- データをバックアップする
- 主要機器を一覧化する
- 買取査定を取る
- データ消去方法を確定する
- 搬出日・処分品を確定する
- 回収・データ消去を実施する
- 証明書・売却明細を保存する
- 固定資産等の社内処理を行う
退去直前までOA機器の処理を残さない
オフィス閉鎖の最終週になってから数百台のPC・モニターを処理しようとすると、
- 資産台帳との照合
- バックアップ
- データ消去
- 回収車両手配
- ビル搬出申請
が間に合わない可能性があります。
移転先へ持っていかない機器が決まった段階で、査定を開始します。
OA機器買取前のチェックリスト
- 自社所有品か確認した
- リース・レンタル品を除外した
- 固定資産台帳を確認した
- 管理番号を確認した
- メーカー・型番を整理した
- シリアル番号を確認した
- 数量を確認した
- バックアップを完了した
- アカウント・MDM等を確認した
- データ消去方法を決めた
- 証明書の要否を決めた
- 主要機器の査定を取った
- 搬出費を確認した
- 養生・車両費を確認した
- 買取不可品の処分費を確認した
- 回収日を決めた
- ビルへの搬出申請を確認した
- 最終受取額で比較した
法人のOA機器買取についてよくある質問
法人のパソコンは買い取ってもらえますか?
メーカー、型式、スペック、年式、状態、中古需要等によって買取対象になる場合があります。大量の法人PCをまとめて査定するサービスもあります。
古いOA機器でも売れますか?
古いから必ず買取不可とは限りませんが、中古需要が低い機種は価格が付かない場合があります。廃棄する前に査定し、買取、無料回収、有料処分を分けます。
リース中のOA機器を売れますか?
自社所有でないリース・レンタル機器を自社判断で売却することはできません。契約会社へ返却条件等を確認してください。
パソコンは初期化してから売れば安全ですか?
通常の初期化だけで復元不可能な状態になっているとは限りません。会社の情報管理基準に沿って、適切なデータ消去方法を選択してください。
データ消去は買取会社へ任せてもよいですか?
委託することはできますが、消去方法、管理体制、再委託、証明書等を確認します。個人データを扱う場合は委託先に対する適切な監督も必要です。
データ消去証明書は必ず必要ですか?
すべての売却で一律必須というものではありません。ただし社内規程、監査、顧客との契約等で必要になる場合があるため、事前に確認してください。
OA機器をオフィス家具とまとめて買い取ってもらえますか?
対応する会社があります。ただし、IT機器と家具では査定市場が異なります。高額機器については専門査定も比較してください。
買取できないPCはどう処分しますか?
事業系パソコンにはメーカー回収・リサイクル制度があります。また法人向けのリユース・リサイクルサービスもあります。いずれの場合もデータ消去方法を確認してください。
大量のOA機器でも一度に査定できますか?
法人の大量案件に対応する事業者があります。事前にメーカー、型番、概算数量、回収場所、希望日を伝えると進めやすくなります。
査定額が一番高い会社を選べばよいですか?
必ずしもそうではありません。データ消去費、搬出費、養生費、車両費、買取不可品の処分費などを差し引いた最終受取額で比較してください。
OA機器は「廃棄する前」に資産とデータを分けて考える
オフィス移転・閉鎖でOA・IT機器が不要になったら、
- 所有権を確認する
- 資産台帳と照合する
- 必要データを移行する
- 安全なデータ消去方法を決める
- 買取査定する
- 搬出条件を確認する
- 売れない物を適正処理する
- 最終受取額と証跡を確認する
という順番で整理します。
不要なOA機器をすべて「廃棄物」として処分すると、売却できた資産価値を失う場合があります。
一方、買取価格だけを重視して、会社データが残った機器をそのまま引き渡すことも避けなければなりません。
法人OA機器の売却では、「いくらで売れるか」と「会社資産・機密情報を安全に処理できるか」を同時に確認することが重要です。
設備・什器買取全体については、設備・什器買取ガイドをご覧ください。
オフィス家具については、オフィス家具は買取できる?で整理しています。
複合機については、法人の複合機は買取できる?をご覧ください。
オフィス移転・閉鎖でPC、モニター、プリンター、サーバー、ネットワーク機器などが大量にあり、何を売却し、何をデータ消去・処分へ回すべきか整理できない場合は、お問い合わせから機器の種類、概算台数、退去・入替予定日、データ消去の要否をご連絡ください。
