オフィスのOA機器を処分するには?法人が確認する8項目

オフィスを移転・縮小・閉鎖するとき、不要になったパソコン、モニター、プリンター、複合機、サーバーなどのOA・IT機器を処分する必要があります。

しかし、法人のOA機器は、家庭の不用品と同じ感覚でまとめて廃棄すればよいものではありません。

特にPC、サーバー、スマートフォン、一部の複合機などには、

  • 顧客情報
  • 従業員情報
  • 営業資料
  • メール
  • 認証情報
  • 業務システムの設定

などが残っている可能性があります。

さらに、会社所有ではなくリース・レンタルしている機器を誤って処分すると、別の問題になります。

一方、まだ中古価値のある機器をすべて廃棄すれば、売却できた資産を失い、処分費まで支払うことになります。

法人のOA機器処分では、「捨て方」を決める前に、「売る・返す・再利用する・リサイクルする・廃棄する」を分けることが重要です。

この記事では、オフィスのOA・IT機器を処分するときに法人が確認したい8項目を整理します。

まだ売却できる機器については、オフィスのOA機器は買取できる?もご覧ください。

目次

オフィスOA機器を処分するときの8項目

  1. 買取・再利用できる機器を先に分ける
  2. 所有権とリース・レンタル契約を確認する
  3. 資産台帳・管理番号と現物を照合する
  4. 必要なデータ・アカウントを退避する
  5. 復元できない方法でデータを消去する
  6. 機器ごとに適切な回収・リサイクル方法を選ぶ
  7. 委託先の処理体制・証跡を確認する
  8. 処分費だけでなく搬出・消去を含む総額で比較する

1.処分する前に買取・再利用できる機器を分ける

まず、「不要になった=廃棄」としないようにします。

OA・IT機器には、中古品として再利用できるものがあります。

例えば、

  • 比較的新しいノートPC
  • デスクトップPC
  • ワークステーション
  • 液晶モニター
  • プリンター
  • サーバー
  • ストレージ
  • ネットワーク機器
  • スマートフォン・タブレット

などです。

処分費を払う前に査定する

例えば100台の機器があり、

  • 30台:買取可能
  • 20台:無償回収可能
  • 50台:有料処分

なら、100台全部を有料処分するより負担を抑えられる可能性があります。

オフィス閉鎖・移転では、

売れる物を先に抜き、残った物だけを処分する

という順番にします。

OA機器とオフィス家具は分けて考える

デスク、チェア、書庫などの家具と、PC・サーバー等のIT機器では、処分時の注意点が異なります。

家具には通常データがありませんが、IT機器では情報漏えい対策が必要です。

そのため、大量のオフィス不用品を一括回収する場合でも、データを持つ機器だけは別リストにします。

家具・什器などを含めたオフィス不用品全体については、今後ART-252「オフィス 不用品 処分」で整理します。

2.所有権とリース・レンタル契約を確認する

オフィスにある機器すべてを会社が処分できるとは限りません。

特に注意したいのが、

  • 複合機
  • プリンター
  • PC
  • サーバー
  • ネットワーク機器

のリース・レンタルです。

リース品は会社の所有物とは限らない

リース中の機器は通常、リース会社が所有しています。

会社が数年間使用しているからといって、自由に廃棄・売却してよいとは限りません。

処分前に、

  • 購入品
  • リース品
  • レンタル品
  • 保守会社等からの貸与品

を分けます。

契約満了後も確認する

リース契約期間が終了している場合でも、

  • 返却
  • 再リース
  • 買取
  • 所有権移転

のどの扱いなのか確認します。

複合機については、法人の複合機は買取できる?でも所有権・リースについて整理しています。

3.資産台帳・管理番号と現物を照合する

OA機器を処分するときは、現物を搬出するだけでなく、会社の資産管理から外す必要があります。

特に大量処分では、

  • 固定資産番号
  • IT資産管理番号
  • メーカー
  • 型番
  • シリアル番号
  • 利用者
  • 設置場所

を整理します。

1台ずつシリアル番号を残す

PC・サーバーなど、データ消去証跡が必要な機器については、シリアル番号と処理記録を紐付けます。

例えば、

資産番号 機器 シリアル 処理
PC-001 ノートPC XXXX 買取・データ消去
PC-002 ノートPC YYYY リサイクル・物理破壊

のように管理します。

資産台帳と実物が一致しない場合

長期間使用したオフィスでは、台帳上は残っているのに現物がない、現物はあるのに管理情報がない、といったことがあります。

退去直前に発覚すると処分作業が止まるため、機器処分を始める前に棚卸しします。

4.必要なデータとアカウントを退避する

処分する機器からデータを消す前に、必要な情報が残っていないか確認します。

PC・サーバー

  • 業務ファイル
  • 顧客データ
  • 経理データ
  • メール
  • ログ
  • 暗号鍵
  • アプリケーション設定

ネットワーク機器

  • 設定ファイル
  • VPN情報
  • 管理者アカウント
  • 証明書
  • ログ

スマートフォン・タブレット

  • 会社アカウント
  • MDM
  • Apple ID・Googleアカウント
  • eSIM・SIM

クラウドを使っていても端末確認は必要

データをクラウドへ保存している会社でも、端末側に、

  • 同期ファイル
  • ブラウザ情報
  • キャッシュ
  • 一時ファイル
  • 認証情報

が残っている可能性があります。

「クラウド利用だからPCには何もない」と判断しないようにします。

5.データは復元できない方法で消去する

法人OA機器の処分で最も重要な項目の一つです。

顧客情報・従業員情報などの個人データを記録したPCや媒体を処分する場合、復元できない方法でデータを消去する必要があります。

ファイル削除だけで終わらせない

ファイルをゴミ箱へ入れて削除しただけでは、データそのものが完全に失われていない場合があります。

一般的な初期化についても、機器・方式によってはデータ復元リスクを十分に排除できないことがあります。

会社の情報セキュリティ基準に合わせて、

  • 専用ソフトによる消去
  • 暗号化消去
  • 記録媒体の物理破壊

などを選びます。

物理破壊すれば常に最適とは限らない

機器をリユースする場合、記録媒体を物理破壊すると再利用価値を失うことがあります。

そのため、

  • 安全にデータを消去して機器を再利用
  • ストレージのみ破壊
  • 機器全体を再資源化

などから選びます。

外部へデータ消去を委託するとき

処分会社・買取会社へデータ消去を任せることもできます。

ただし、

  • 消去方法
  • 作業場所
  • 機器の保管方法
  • 再委託の有無
  • 作業者管理
  • 証明書

を確認します。

「業者に渡したから情報管理も終わり」ではありません。

データ消去証明書は必須?

すべての企業・すべてのOA機器処分について、特定様式のデータ消去証明書が法律上必須というわけではありません。

ただし、個人データを扱う企業では、委託先が確実に消去したことを確認する証跡を残すことが重要です。

また、

  • 社内規程
  • 顧客との契約
  • 監査
  • 情報セキュリティ認証

によって証明書を求められることがあります。

証明書で確認したい情報

  • 機器管理番号
  • シリアル番号
  • 処理日
  • 消去方法
  • 物理破壊の有無

などです。

6.機器ごとに適切な回収・リサイクル方法を選ぶ

「OA機器」という一つの処分方法があるわけではありません。

機器によって適した出口が異なります。

PC・ディスプレイ

企業や法人から排出されるPCは「事業系パソコン」として、メーカー等による回収・リサイクル制度があります。

対象となる代表例は、

  • デスクトップPC
  • ノートPC
  • ディスプレイ

です。

メーカー・機種・回収スキームによって対象範囲が異なるため、申込み先を確認します。

法人PCは家庭用PCと回収方法が異なる

家庭向けパソコンの処分方法を、そのまま会社のPCへ使えるとは限りません。

事業系PCでは、法人向けのメーカー回収または適切な事業者への委託を利用します。

事業系PCリサイクルでPCリサイクルマークだけを見ない

家庭用PCではPCリサイクルマークが知られていますが、法人から排出される事業系PCでは、メーカー・回収台数・排出場所などに応じて回収費用が見積される仕組みがあります。

「マークが付いているから法人でも無料」とは判断しないようにします。

プリンター

プリンターは、PCと同じメーカー回収スキームの対象になるとは限りません。

メーカー回収、リユース、適正処理業者への委託などを確認します。

複合機

まずリース・レンタルか確認します。

自社所有なら、売却・メーカー回収・適正処理などを比較します。

複合機には記録媒体を搭載する機種もあるため、データ処理も確認してください。

サーバー

サーバーは、サービス停止・バックアップ・ストレージ処理・ラックからの撤去などが必要になる場合があります。

一般OA機器より処理工程が複雑なため、ART-070で別途詳しく扱います。

ネットワーク機器

ルーター、スイッチ、無線アクセスポイント等では、設定情報・認証情報・ログ等が残る場合があります。

初期化と管理情報の削除を確認します。

PC3Rの事業系PC回収を使う場合

パソコン3R推進協会には、法人から排出される事業系PCの回収・再資源化スキームがあります。

代表的な流れでは、

  1. 見積・契約
  2. 排出企業側でデータ消去
  3. 機器を梱包
  4. 指定輸送業者が回収
  5. 再資源化処理
  6. 資産滅却報告書発行

となります。

このスキームでは、データ消去を回収先任せにするのではなく、排出企業側で行う形です。

広域認定ルートなど特別な仕組みもある

メーカー等の広域認定による回収では、通常の産業廃棄物処理委託とは管理方法が異なる場合があります。

どの制度を利用しているか確認し、必要な契約書・処理報告書・証明書を保存してください。

7.処分業者・委託先の体制を確認する

OA機器処分では、単純な回収料金だけで業者を選ばないようにします。

確認したい項目

  • どの機器を扱えるか
  • 買取・リユースにも対応するか
  • データ消去方法
  • 物理破壊対応
  • 証明書発行
  • 保管施設の管理
  • 再委託の有無
  • 搬出体制
  • 必要な許可・認定等

「無料回収」だけで判断しない

「OA機器無料回収」と書かれていても、

  • データ消去は別料金
  • 搬出は別料金
  • 階段作業は別料金
  • 一部機器だけ無料

という場合があります。

無料という言葉だけでなく、どこまで含むか確認します。

買取会社と処分会社を分ける方法もある

例えば、

  • 新しいPC・サーバー → 買取
  • 古いPC → メーカーリサイクル
  • 壊れたプリンター等 → 適正処分

のように分けることができます。

すべてを一社にまとめる方が担当者の手間は少なくなりますが、高価値機器まで処分品として処理されないよう見積を確認します。

8.処分費だけでなく総額と工程で比較する

OA機器処分にかかる費用には、

  • 回収費
  • 搬出費
  • 車両費
  • 養生費
  • データ消去費
  • 物理破壊費
  • 証明書発行費
  • 処分・再資源化費

などがあります。

買取額も含めて最終差額を見る

例えば、

A社

  • OA処分費:400,000円
  • データ消去:100,000円
  • 搬出費:100,000円
  • 買取:なし

なら、600,000円の支払いです。

B社

  • 処分・搬出・データ消去:550,000円
  • 買取可能機器:200,000円

なら、最終負担は350,000円です。

OA機器処分では、「廃棄単価」だけでなく、買取可能品を差し引いた最終支払額で比較します。

退去工程とOA機器搬出日を合わせる

オフィス移転では、OA・IT機器は最後まで業務で使用するものが多いため、家具より搬出日が遅くなる場合があります。

例えば、

  1. 新環境構築
  2. データ移行
  3. 業務切替
  4. 旧機器停止
  5. バックアップ確認
  6. データ消去
  7. OA機器回収
  8. 残置物撤去
  9. 原状回復

という流れになります。

処分を退去最終日まで残さない

OA機器が大量にある場合、

  • 台帳照合
  • データ移行
  • 消去
  • 回収車両
  • ビル搬出申請

に時間がかかります。

退去日当日に初めて処分会社へ渡すのではなく、回収予定日から逆算してください。

オフィスOA機器処分チェックリスト

  • 買取可能品を確認した
  • 自社所有品を確認した
  • リース品を分けた
  • レンタル品を分けた
  • 資産台帳と現物を照合した
  • 管理番号・シリアルを記録した
  • 必要データをバックアップした
  • アカウントを解除した
  • MDM等を解除した
  • データ消去方法を決めた
  • 証明書の要否を確認した
  • PCのメーカー回収ルートを確認した
  • その他OA機器の処分ルートを確認した
  • 回収会社の処理体制を確認した
  • 再委託の有無を確認した
  • 搬出経路を確認した
  • ビル申請を確認した
  • 回収・消去・処分費を確認した
  • 買取額を差し引いて比較した
  • 処理完了報告・証明書を保存した

オフィスOA機器の処分についてよくある質問

会社のパソコンは普通の粗大ごみに出せますか?

企業・法人から排出されるPCは事業系パソコンとして扱われます。家庭向けPCの回収方法をそのまま使うのではなく、メーカーの事業系PC回収や適切な処理事業者などを確認してください。

PCリサイクルマークが付いていれば法人PCも無料ですか?

必ずしもそうではありません。事業系PCでは家庭系とは異なる回収スキームがあり、台数や排出場所などに応じて料金が見積される場合があります。

PCを初期化してから捨てれば大丈夫ですか?

一般的な初期化だけで復元不可能な状態になるとは限りません。保有している情報の内容と社内基準に応じ、適切な消去ソフトや物理破壊等を選択してください。

データ消去を処分会社へ任せてもよいですか?

委託することはできますが、消去方法、保管、再委託、証明書等を確認し、必要かつ適切な監督を行う必要があります。

データ消去証明書は必ず必要ですか?

すべてのOA機器処分で特定の証明書が一律必須というわけではありません。ただし個人データの処理を委託した場合の確認や、社内監査・顧客要求への証跡として重要になる場合があります。

古いパソコンでも買取できますか?

機種・スペック・状態・中古需要によっては買取対象になります。処分を決める前に査定し、買取・無償回収・有料処分を分けてください。

プリンターもPCと同じリサイクルに出せますか?

PCのメーカー回収制度ですべてのプリンターが対象になるわけではありません。メーカーや回収事業者の対象機器を確認してください。

複合機を処分できますか?

まず所有権を確認します。リース中であれば契約会社への返却が基本になる場合があります。自社所有の場合は買取・メーカー対応・適正処分を比較します。

サーバーも普通のPCと同じ処分方法でよいですか?

サーバーではデータ移行、サービス停止、ストレージ処理、ラックからの撤去などが必要になるため、一般PCより工程が複雑です。ART-070で個別に整理します。

OA機器とオフィス家具を一緒に処分できますか?

一括対応する事業者があります。ただしOA・IT機器はデータ消去が必要になるため、家具と同じ処理フローにはせず、機器ごとの処理方法と証跡を確認してください。

OA機器処分は「廃棄」より先にデータと資産を整理する

オフィスのOA・IT機器を処分するときは、

  1. 売却・再利用できる機器を分ける
  2. 所有権を確認する
  3. 資産台帳と照合する
  4. データを退避する
  5. 復元不可能な方法で消去する
  6. 機器ごとの回収ルートを選ぶ
  7. 委託先と証跡を確認する
  8. 総額と退去工程を確認する

という順番で進めます。

単に「オフィスからなくせばよい」と考えると、まだ売れる機器を廃棄したり、会社の情報が残ったまま外部へ渡したりする可能性があります。

また、法人PCには事業系PCとしての回収・再資源化ルートがあり、家庭用の処分方法とは異なる点があります。

法人のOA機器処分では、「物をなくすこと」ではなく、「資産・情報・廃棄物を適切に処理し、その証跡まで残すこと」を完了条件にすることが重要です。

撤去・廃棄全体については、撤去・廃棄ガイドをご覧ください。

まだ売却できるOA・IT機器については、オフィスのOA機器は買取できる?で整理しています。

設備・什器の買取全体については、設備・什器買取ガイドをご覧ください。

オフィス移転・閉鎖でPC、サーバー、プリンター、複合機、ネットワーク機器等が大量にあり、買取・データ消去・メーカーリサイクル・廃棄のどこへ分ければよいか整理できない場合は、お問い合わせから機器の種類・台数、退去日、データ消去の要否、現在の処分状況をご連絡ください。

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