オフィスのパーティション撤去はどこまで?種類・補修・配線・原状回復の確認点

オフィスを移転・退去するとき、会議室や個室をつくるために設置したパーティションの撤去が必要になることがあります。

ただし、「パーティション」と一括りにしても、自立式のローパーティションと、床・壁・天井へ固定するスチール・アルミ・ガラスパーティションでは、撤去方法も原状回復範囲も異なります。

固定式のパーティションでは、パネルを外すだけでなく、床や天井のレール、アンカー、壁との取り合い、電源・LAN、照明、空調、防災設備などが関係することもあります。

そのため、退去時は「パーティション本体を撤去する」だけではなく、「撤去後にどの状態まで戻すか」まで見積範囲に含めることが重要です。

目次

退去時にパーティションを必ず撤去するとは限らない

オフィスに設置したパーティションは、退去時に撤去を求められることが多い設備の一つですが、すべての物件で必ず撤去するとは限りません。

判断するときは、次の資料を確認します。

  • 賃貸借契約書
  • 原状回復に関する特約
  • 工事区分表
  • 入居前の図面・写真
  • 入居工事時のレイアウト図
  • 貸主・管理会社からの原状回復指示書

借主が入居後に設置したパーティションであれば、原状回復の対象になる可能性があります。

一方、貸主が設置したものや、入居前から存在した設備、後継テナントが引き継ぐことを貸主が認めた設備まで、借主判断で撤去するべきではありません。

オフィス全体の内装撤去についてはオフィスの内装解体もあわせて確認してください。

まずパーティションの種類を確認する

撤去範囲や費用を判断するには、現在設置されているパーティションの種類を確認します。

種類 主な特徴 撤去時の主な確認点
ローパーティション 腰高〜人の背丈程度。自立式・簡易固定式が多い 連結解除、床固定、搬出、再利用可否
スチールパーティション 天井付近まで仕切る固定式が多い 天井・床レール、電源、壁との取り合い
アルミパーティション アルミフレームとパネルで構成 フレーム・レール、固定跡、再利用可否
ガラスパーティション ガラス面を含む間仕切り 重量、破損防止、搬出、枠・固定部
造作間仕切り壁 軽量鉄骨下地・ボード等で施工 内装解体、仕上げ復旧、石綿事前調査等

同じ会議室の壁でも、組立式パーティションなのか、建築内装としてつくられた間仕切り壁なのかで工事内容が変わります。

ローパーティションは撤去前に移設・再利用を確認する

自立式や簡易固定型のローパーティションは、レイアウト変更や移転先で再利用できる場合があります。

特に同じシリーズのパネルや支柱を組み替えられる製品であれば、廃棄せず別の場所へ移設できる可能性があります。

撤去前には、

  • メーカー・シリーズ
  • パネル寸法
  • 支柱・連結部品
  • ドアの有無
  • 現在の固定方法
  • 移転先の天井高・レイアウト

を確認します。

解体時に部品を紛失したり、パネルを傷つけたりすると再利用しにくくなるため、移設予定がある場合は工事業者へ先に伝えます。

天井固定型は床・壁・天井まで工事範囲を確認する

スチールやアルミなどのハイパーティションでは、床と天井へレールを固定し、その間に柱・パネルを組み込んでいることがあります。

この場合、本体を取り外した後に固定部が残ります。

確認する場所は主に次のとおりです。

  • 床レール
  • 天井レール
  • 壁との接続部
  • アンカー・ビス
  • ドア枠
  • 巾木
  • 床材
  • 天井材

原状回復では、撤去しただけでなく、固定穴や仕上げの欠損まで補修するよう求められる場合があります。

床の撤去跡はタイルカーペットまで確認する

オフィスではタイルカーペットの上や下地へパーティションを固定しているケースがあります。

撤去すると、床にアンカー穴、ビス穴、レール跡、色差などが残る場合があります。

そのため見積では、

  • 床レール撤去
  • アンカー・固定金物撤去
  • 穴埋め
  • タイルカーペット部分交換
  • 下地補修

のどこまで含むのかを確認します。

パーティション撤去だけの見積と、原状回復まで含む見積では金額が異なるため、「撤去後の床は誰が直すのか」まで決めておきます。

天井レール撤去後の補修も見落とさない

天井固定型では、天井材へレールや固定金物が取り付けられています。

撤去後に、

  • ビス穴
  • アンカー跡
  • 天井材の欠損
  • 塗装差
  • クロスや仕上げ材の跡

などが残ることがあります。

システム天井を採用しているオフィスでは、天井パネルや設備との位置関係も確認します。

貸主指定の仕上げ状態がある場合は、管理会社の指示に合わせて補修します。

壁との接続部分も原状回復対象になることがある

パーティション端部を既存壁へ固定している場合、撤去後にビス穴やアンカー穴が残ります。

壁紙、塗装、ボードなどが傷んでいれば、部分補修だけでよいのか、一定範囲の仕上げ直しが必要なのかを確認します。

「パーティション撤去一式」に壁補修が入っているとは限らないため、見積書の範囲を確認してください。

パーティション内の電源・LANを先に確認する

会議室や個室をつくるとき、パーティション内部や周囲へコンセント、LAN、電話線などを設置している場合があります。

撤去前には、配線の有無を確認します。

  • 100V電源
  • コンセント
  • LAN配線
  • 電話配線
  • スイッチ
  • モール

通電したままパネルを解体するのではなく、電気工事が必要な部分を先に切り離します。

移転・退去では、配線を単に壁際へ残すのか、借主が増設した配線自体を撤去するのかも原状回復条件に合わせて確認します。

照明・空調・消防設備との取り合いを確認する

パーティションは単なる間仕切りですが、設置後のオフィスレイアウトに合わせて照明、空調、火災報知設備などが変更されている場合があります。

たとえばパーティションで新しく会議室をつくった際に、

  • 照明を増設・移設した
  • 空調吹出口を移動した
  • 火災報知器を追加した
  • スプリンクラー等の設備を調整した

ケースです。

パーティションを撤去すれば、それらの設備も退去後のレイアウトに合わせて復旧が必要になる場合があります。

建物側の防災・空調設備に関係する工事は、借主が自由に発注できない場合もあるため、管理会社へ工事区分を確認します。

B工事・指定業者になるかを先に確認する

パーティション本体は借主側で発注できても、天井、防災、空調、電気など建物設備に関連する部分は、貸主指定業者やB工事となる物件があります。

そのため、パーティション業者へ見積を依頼する前に、

  • パーティション撤去自体の工事区分
  • 電気工事の工事区分
  • 消防設備工事の工事区分
  • 空調設備工事の工事区分
  • 天井補修の工事区分

を確認すると、後から指定業者工事を追加する手戻りを防ぎやすくなります。

B工事全般についてはB工事とは何かも確認してください。

ガラスパーティションは搬出条件も確認する

ガラスを使用したパーティションでは、パネルの重量や破損リスクが高くなります。

撤去時には、

  • ガラスの寸法・重量
  • 分解方法
  • エレベーター寸法
  • 廊下・扉の幅
  • 共用部の養生
  • 搬出時間

などを確認します。

再利用する場合は特に、解体時の破損や部材紛失を防げる施工方法が必要です。

前テナントが設置したパーティションでも契約を確認する

居抜きなどで入居し、前テナントのパーティションをそのまま使用しているケースがあります。

この場合、「自社が設置したものではないから撤去義務はない」とは限りません。

入居時に造作を引き継いだ契約、現在の賃貸借契約、貸主との合意内容によっては、退去時に撤去を求められる可能性があります。

入居時の写真や造作譲渡の資料が残っていれば確認します。

廃棄する前に移設・再利用・買取を検討する

パーティションは、状態・メーカー・規格・枚数によっては再利用できる場合があります。

自社の移転先で使用できなくても、中古品として再利用できる可能性もあります。

廃棄を決める前に、

  1. 移転先で再使用できるか
  2. 同じオフィス内で組み替えられるか
  3. 中古売却の対象になるか
  4. 部品取りとして価値があるか
  5. それでも不要なら処分する

という順番で確認すると、使える設備を早い段階で廃棄することを避けられます。

一方、古い製品や仕様が特殊なもの、部品が不足しているもの、傷みが大きいものは再利用しにくい場合があります。

パーティション撤去費用は種類と施工条件で変わる

撤去費用は、単純な枚数だけでは決まりません。

主な変動要因は次のとおりです。

  • ローパーティションか天井固定型か
  • スチール・アルミ・ガラス等の材質
  • 高さ・枚数・延長
  • ドアの数
  • 床・壁・天井への固定方法
  • 電源・LAN等の配線
  • 照明・空調・消防設備との取り合い
  • 床・天井・壁の補修範囲
  • 再利用するか廃棄するか
  • 搬出階数
  • エレベーター
  • 養生範囲
  • 夜間・休日工事
  • ビル指定業者の有無

そのため、全国一律の「1枚○円」という金額だけで比較するより、撤去・補修・搬出・処分の範囲をそろえて見積を確認する方が適切です。

見積では「撤去」と「補修」を分けて確認する

項目 確認する内容
パーティション解体 パネル・柱・ドア等の撤去範囲
床レール 撤去・アンカー抜き・穴埋め
天井レール 撤去・天井材補修
壁取合い 固定金物・穴・クロス等の補修
電気・LAN 切離し・配線撤去・復旧
設備 照明・空調・消防設備等の復旧
搬出 人員・EV・階段・共用部養生
処分 廃材の積込・運搬・処理

原状回復見積全体についてはオフィス原状回復の見積、解体見積の費目については内装解体の見積内訳も確認できます。

建材を解体・改修する場合は石綿事前調査も確認する

組立式のパーティション本体だけを取り外す場合と、既存の壁・天井・床など建築材料まで解体・改修する場合では、確認事項が異なります。

既存建材の解体・改修を伴う場合は、工事対象部分について石綿含有建材の事前調査を確認します。

「パーティション撤去だけだから関係ない」と判断せず、壁・天井・床のどこまで工事対象になるかを施工業者へ伝えてください。

詳しくは内装解体のアスベスト事前調査で整理しています。

撤去工事で発生する廃材とオフィス家具を分ける

パーティションを工事として解体すると、金属、ボード、ガラス等の廃材が発生します。

一方、デスク、チェア、書庫など既存のオフィス家具は、工事で発生した廃材とは別に、移転・返却・買取・廃棄へ仕分けます。

退去時には、

  • 移転先へ持っていく物
  • リース・レンタルで返却する物
  • 中古売却する物
  • 不用品として処分する物
  • 解体工事によって廃材になる物

を分けておくと、見積範囲が明確になります。

オフィスの不用品全般についてはオフィス不用品の処分、工事廃材については内装解体と産業廃棄物も確認してください。

オフィスのパーティション撤去を進める順番

  1. 契約書・原状回復条件を確認する
  2. 貸主・管理会社へ残置できるか確認する
  3. パーティションの種類・メーカー・固定方法を確認する
  4. 移設・再利用・売却できるか確認する
  5. 電源・LAN等の配線を確認する
  6. 照明・空調・消防設備との取り合いを確認する
  7. 工事区分・指定業者の有無を確認する
  8. 床・壁・天井の補修範囲を決める
  9. 同じ工事条件で見積を比較する
  10. 管理会社へ工事申請を行う
  11. 共用部を養生する
  12. 配線等を安全に切り離す
  13. パーティションを解体・搬出する
  14. 床・壁・天井等を補修する
  15. 貸主・管理会社の確認を受ける

オフィスのパーティション撤去でよくある質問

退去時はパーティションを必ず撤去しますか?

契約と貸主・管理会社の判断によります。借主が設置した設備は撤去対象になる可能性がありますが、承諾を得て残置・承継できる場合もあります。

ローパーティションは自分たちで外せますか?

自立式など簡易なものもありますが、床固定、重量、ガラス、電源等が関係する場合があります。構造を確認せずに自己判断で解体するのは避けた方が安全です。

スチールパーティションは本体だけ外せばよいですか?

床・天井レール、壁固定部、ドア、配線などが残る場合があります。原状回復では撤去跡補修まで確認してください。

床の穴は誰が補修しますか?

発注範囲によります。パーティション撤去業者の見積に含まれる場合と、原状回復業者が別途対応する場合があります。見積時に明確にします。

パーティション内のLANや電源はそのまま外してよいですか?

先に配線状況を確認し、必要な電気・通信工事を行います。通電状態や建物側設備を確認せずに解体しないようにしてください。

パーティションを移転先で再利用できますか?

製品の種類、寸法、部品の状態、移転先の天井高・レイアウト等が合えば再利用できる場合があります。撤去前に移設予定を施工業者へ伝えます。

パーティションは買取してもらえますか?

メーカー、シリーズ、状態、枚数、需要、搬出条件によって中古利用できる場合があります。処分前に査定する選択肢があります。

消防設備がパーティションの近くにありますが撤去できますか?

パーティション撤去に伴って火災報知器やスプリンクラー等の配置・機能へ影響する場合は、消防設備を含めた工事区分を管理会社・専門業者へ確認します。

パーティション撤去はB工事になりますか?

物件ごとの工事区分によります。パーティション本体は借主工事でも、天井・空調・防災・電気等の関連工事がB工事や指定業者工事になる場合があります。

パーティション撤去でもアスベスト調査は必要ですか?

既存の壁・天井・床など建築材料の解体・改修を伴う場合は、工事対象部分の石綿事前調査を確認します。パーティション本体のみの取り外しなのか、建材まで工事するのかを施工業者へ伝えて判断します。

パーティション本体より「撤去後」を先に決める

オフィスのパーティション撤去で見落としやすいのは、パーティションそのものではなく撤去後の状態です。

発注前に、

  1. 撤去が必要なのか
  2. 移設・再利用できないか
  3. 床・壁・天井をどこまで補修するか
  4. 配線・設備をどこまで戻すか
  5. どの工事が指定業者・B工事になるか

を確認しておくと、見積の抜けや追加工事を減らしやすくなります。

オフィス全体の撤去・原状回復を進める場合はオフィスの内装解体、原状回復の予算確認はオフィスの原状回復費用もあわせて確認してください。

パーティションの種類が分からない、撤去後の床・天井補修まで必要か判断できない、配線や消防設備が絡んでいる場合は、お問い合わせから写真・図面・退去期限などをお知らせください。

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