店舗を閉店・移転するとき、「内装解体はいくらかかるのか」「坪単価はいくらなら妥当なのか」が気になるところです。
ただし、店舗の解体費用は、面積だけでは決まりません。
同じ20坪でも、物販店の軽い内装撤去と、厨房・排気ダクト・防水・給排水設備まで撤去する飲食店では、工事量も廃棄物量も大きく変わります。
さらに、夜間工事、搬出距離、エレベーターの有無、石綿事前調査、残置物、貸主指定工事などによって費用は上がります。
2026年に公開されている複数の施工会社・比較情報でも、店舗内装解体やスケルトン工事の目安はおおむね1.5万〜8万円/坪前後まで幅があり、飲食店など設備が多い業態ではさらに高くなる例があります。
この数字だけで「高い・安い」を判断するのは危険です。
この記事では、店舗の解体費用を左右する8つの項目、見積の内訳、坪単価を見るときの注意点、相見積もりで比較する方法を整理します。
そもそも何をどこまで撤去するか決まっていない場合は、先に店舗の内装解体と撤去範囲を確認してください。
店舗の解体費用はいくら?
店舗の内装解体・スケルトン工事には、公的な全国統一の坪単価統計はありません。
公開されている2026年の施工会社・比較情報を見ると、目安にはかなり幅があります。
| 工事・業態 | 公開情報で見られる目安 | 上振れしやすい要因 |
|---|---|---|
| 軽い内装解体・原状回復 | 1.5万〜4万円/坪前後の例 | 造作量、廃材、設備復旧 |
| スケルトン工事 | 1.5万〜8万円/坪前後まで幅 | 撤去範囲、設備、搬出、夜間 |
| 飲食店 | 2万〜10万円/坪前後の例 | 厨房、防水、排気、給排水、グリストラップ |
| 美容室・サロン | 2万〜5万円/坪前後の例 | 給排水、床上げ、シャンプー台等 |
| 物販・オフィス | 1.5万〜5万円/坪前後の例 | 什器、間仕切り、OAフロア、搬出条件 |
ここで重要なのは、この表をそのまま自店舗へ当てはめないことです。
「坪単価3万円」と「坪単価6万円」の見積でも、片方には廃棄物処分・設備撤去・養生が含まれ、もう片方には含まれていない可能性があります。
店舗解体は、単価より先に工事範囲と含まれる費用をそろえることが重要です。
店舗解体費用の基本構造
解体費用は、単純な「作業員の人件費」だけではありません。
- 仮設・養生費
- 内装・造作解体費
- 設備撤去費
- 廃材の分別・積込費
- 運搬費
- 産業廃棄物処分費
- 石綿事前調査・必要時の分析費
- 車両・小運搬費
- 夜間・休日作業費
- 現場管理費・諸経費
- 清掃・引渡し
- 貸主検査後の是正
店舗解体費用 = 解体作業 + 設備撤去 + 搬出・運搬 + 廃棄物処理 + 調査・申請 + 現場条件による追加費用
費用を左右する8つの項目
1.どこまで撤去するか
- 間仕切りだけ撤去
- 床・壁・天井仕上げまで撤去
- 設備を残して内装だけ撤去
- 設備・配管・ダクトまで撤去
- スケルトン状態まで戻す
では工事量が全く異なります。
「30坪」という面積が同じでも、何を残すかによって費用差が大きくなります。
2.店舗の業態
| 業態 | 上振れしやすい主な理由 |
|---|---|
| 飲食店 | 厨房、排気ダクト、グリストラップ、防水、給排水、ガス |
| 美容室 | 給排水、床上げ、シャンプー台、ボイラー等 |
| クリニック | 設備配管、特殊電源、間仕切り、設備撤去 |
| 物販店 | 大型什器、造作棚、床・天井仕上げ |
| オフィス | 間仕切り、OAフロア、配線、パーティション |
3.設備撤去の量と難易度
- 空調室内機・室外機
- 冷媒配管
- 厨房フード・ダクト
- ガス配管
- 給排水
- 分電盤・電気配線
- 防災設備
- 看板
設備は、建物側との接続・貸主工事区分・専門資格の要否なども確認が必要です。
厨房排気ダクトは厨房・排気ダクトの撤去で別に整理しています。
4.廃棄物の量と種類
- 木くず
- 金属くず
- 廃プラスチック類
- 石膏ボード
- ガラス
- コンクリート・がれき類
などの量によって処分費が変わります。
建設廃棄物については内装解体の産業廃棄物を確認してください。
5.アスベスト事前調査と除去
建築物の解体・改修工事では、規模の大小にかかわらず、工事前に石綿含有の有無を事前調査する必要があります。
- 事前調査費
- 必要時の分析費
- 石綿含有が判明した場合の除去費
- 隔離・養生
- 専門廃棄物処理
などが追加される場合があります。
詳しくは内装解体のアスベスト事前調査を確認してください。
6.搬出条件
- 地下・高層階
- 荷物用エレベーターなし
- 長い共用廊下
- トラックを店舗前へ付けられない
- 商業施設内で搬出時間が限定
- 共用部の養生範囲が広い
- 廃材を小分けして手運びする必要がある
場合は、人員・時間・小運搬費が増えます。
7.夜間・休日・商業施設ルール
- 夜間のみ
- 早朝のみ
- 搬出可能時間の指定
- 騒音工事の時間制限
- 工事届
- 警備員・立会い
- エレベーター養生
などの条件によって人件費・管理費が上がります。
8.工期と退去期限
退去期限まで時間がない案件では、作業員増員、複数班施工、夜間・休日作業、車両追加などによって費用が上がることがあります。
さらに、貸主検査後の是正日程も必要です。
坪単価で比較するときの注意点
含まれる項目が違う
解体・廃棄物処分・搬出・設備撤去・養生まで含む見積と、解体作業費だけの見積では比較できません。
面積が小さいと坪単価が高く見える
養生、車両、現場管理などの固定費があるため、小規模店舗では坪単価が高くなりやすい傾向があります。
設備工事が坪数に比例しない
厨房ダクト、室外機、看板、ガス配管等は、店舗面積ではなく設備の量・距離・撤去難易度で費用が決まります。
店舗解体費用の見積で確認する内訳
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 仮設・養生 | 店舗内・共用部・EV・搬出経路の範囲 |
| 内装解体 | 壁・床・天井・造作など撤去対象 |
| 設備撤去 | 電気・空調・給排水・ガス・防災等 |
| 搬出・小運搬 | 人員、階段、EV、横持ち距離 |
| 運搬 | 車両台数・運搬先 |
| 処分 | 廃棄物の種類・数量・処分費 |
| 石綿 | 事前調査・分析・除去の扱い |
| 諸経費 | 現場管理・交通・申請等の内容 |
| 別途 | 追加になり得る条件 |
見積書の読み方は店舗の解体見積、さらに内訳を詳しく確認する場合は内装解体見積の内訳を確認してください。
「一式」見積は必ず高い?
「一式」と書かれているだけで不適切とは限りません。
ただし、内装解体全体が「一式」だけでは、撤去範囲、処分費、設備撤去、石綿調査、追加条件を比較できません。
総額の大きな項目ほど、数量・範囲・含有条件を確認します。
飲食店の解体費用が高くなりやすい理由
- 厨房機器
- 大型冷蔵・冷凍設備
- 排気フード・ダクト
- グリストラップ
- 給排水
- 防水層
- ガス配管
- 床上げ
などが費用へ影響します。
厨房機器がまだ売れる場合は、解体業者に処分を依頼する前に閉店時の厨房機器買取を検討してください。
美容室・サロンの費用が上がるポイント
- シャンプー台
- 床下給排水
- 床上げ
- ボイラー・給湯設備
- 大型ミラー・造作家具
などが費用へ影響します。
費用を抑えるなら「解体前」にやることがある
撤去範囲を貸主と確定する
不要な解体をしないことが、最も大きな削減につながる場合があります。
居抜きを検討する
後継テナントが内装を引き継げれば、解体そのものを減らせる可能性があります。
売れる設備・什器を先に査定する
処分費を払う前に、中古買取できるか確認します。
残置物を整理する
不用品が多いと、解体工事とは別に撤去・処分費が増えます。
工期に余裕を持つ
緊急施工、夜間、休日作業を避けられる可能性があります。
相見積もりでは同じ条件を渡す
- 撤去範囲
- 図面
- 貸主・管理会社の工事条件
- 残置物の有無
- 設備所有区分
- 搬出条件
- 希望工期
を各社へ同じように共有します。
業者Aはダクト撤去込み、業者Bはダクト別途という状態で総額だけ比較すると、安い業者を選んだつもりでも最終費用は逆転します。
極端に安い見積で確認したいこと
- 撤去範囲が狭くなっていないか
- 廃棄物処分費が別途ではないか
- 石綿事前調査が抜けていないか
- 設備撤去が別途ではないか
- 夜間・養生・搬出費が別途ではないか
- 貸主検査後の是正が含まれるか
を確認してください。
店舗解体費用の発注前チェックリスト
| 確認項目 | 確認 |
|---|---|
| 貸主と最終返還状態を確定した | □ |
| 見積各社へ同じ撤去範囲を渡した | □ |
| 設備撤去範囲を確認した | □ |
| 残置物と解体廃材を分けた | □ |
| 搬出・車両・養生条件を確認した | □ |
| 夜間・休日等の条件を確認した | □ |
| 石綿事前調査を確認した | □ |
| 廃棄物処分費を確認した | □ |
| 別途・追加費用の条件を確認した | □ |
| 坪単価ではなく総額と内訳で比較した | □ |
店舗解体費用FAQ
店舗の解体費用は坪いくらですか?
公的な全国統一相場はありません。2026年の公開情報では、内装解体・スケルトン工事についておおむね1.5万〜8万円/坪前後まで幅のある目安が見られ、飲食店等ではさらに高くなる例があります。実際は撤去範囲、設備、廃棄量、搬出条件等で大きく変わります。
20坪なら坪単価×20で予算を出せますか?
初期の概算には使えますが、最終予算には不十分です。設備撤去、ダクト、看板、石綿、残置物、夜間工事など坪数に比例しない費用があります。
飲食店はなぜ高くなりやすいですか?
厨房、排気ダクト、給排水、ガス、防水、グリストラップなど撤去対象となる設備が多いためです。
スケルトン工事は内装解体より高いですか?
撤去範囲が広くなるなら高くなりやすいですが、「スケルトン」の定義は物件ごとに異なります。残す設備や撤去範囲をそろえて比較してください。
解体費と廃棄物処分費は別ですか?
見積方法によります。解体費に含める業者も、運搬・処分費として分ける業者もあります。見積内訳を確認してください。
アスベスト調査費は解体費に含まれますか?
業者・見積によります。事前調査費、必要時の分析費、石綿が見つかった場合の除去費がどこまで含まれるか確認してください。
安い業者を選べば費用を抑えられますか?
総額だけでは判断できません。撤去範囲や処分費が別途なら、契約後に費用が増える可能性があります。同じ条件・同じ範囲で比較してください。
解体費用を抑える方法はありますか?
貸主と不要な撤去を減らす、居抜きを検討する、設備・什器を解体前に売却する、残置物を整理する、余裕ある工期を確保する方法があります。
何社くらい見積を取るべきですか?
社数より、同じ工事範囲・条件で比較できることが重要です。複数社へ同じ図面・撤去範囲・工事規則を渡し、総額と内訳を比較してください。
店舗の解体費用は「坪単価」より撤去範囲と内訳で判断する
店舗解体では、坪単価だけを見ても適正価格は判断できません。
撤去範囲 → 業態 → 設備 → 廃棄物 → 石綿 → 搬出条件 → 館内ルール → 工期
の8項目をそろえたうえで、見積総額と内訳を比較します。
坪単価は予算を考えるための補助指標として使い、発注判断では「何が含まれているか」「何が別途か」を重視してください。
見積を受け取った後は店舗の解体見積、内訳の確認は内装解体見積の内訳、業者比較は内装解体業者の選び方へ進んでください。
店舗の閉店・移転で、解体見積が高いのか、工事範囲や処分費まで含めて比較したい場合は、お問い合わせから相談できます。
