飲食店の閉店や厨房設備の入れ替えで厨房機器を売却するとき、「査定額が高い会社を選べばよい」と考えがちです。
ただ、業務用冷蔵庫、製氷機、食器洗浄機、ガスレンジなどは、その場で手渡せる商品ではありません。店舗から機器を取り外し、搬出し、車両へ積み込む作業が必要です。
そのため、厨房機器の買取では、提示された買取額と、実際に最終的に受け取れる金額が同じとは限りません。
業者によっては搬出費や撤去作業費を買取額とは別に見積もる場合があります。一方、取り外し・搬出まで含めた金額を提示する会社もあります。
比較するときは「買取額はいくらか」ではなく、撤去・搬出後にいくら手元へ残るのかまで確認します。
厨房機器の買取では撤去費がかかる場合がある
「厨房機器を買い取ってもらうのだから、撤去も無料」とは限りません。
買取会社によって料金体系は異なり、次のような形があります。
| 見積の形 | 確認すること |
|---|---|
| 買取額のみ提示 | 取り外し・搬出・車両等が別料金か |
| 買取額-撤去費で提示 | 何の費用が控除されているか |
| 撤去費込みの最終金額を提示 | 追加料金になる条件がないか |
| 買取品と処分品をまとめて精算 | 買取額と処分費を分けて確認できるか |
同じ厨房機器でも、店舗から簡単に運び出せる場合と、設備から切り離して分解し、階段やクレーンを使って搬出する場合では作業量が違います。
そのため、「撤去費は必ず無料」「厨房機器なら一律○円」という全国共通の基準はありません。
比較するのは査定額ではなく「最終手取り額」
厨房機器の売却では、次のように考えると整理しやすくなります。
最終受取額 = 買取査定額 - 取り外し・撤去費 - 搬出関連費 - その他の追加費用
さらに、買取できない機器や残置物も同時に引き取ってもらう場合は、処分・回収費が加わることがあります。
たとえばA社の買取査定額がB社より高くても、A社では撤去・搬出が別料金、B社ではすべて込みというケースなら、最終手取りではB社の方が高くなる可能性があります。
したがって、複数社を比較するときは、査定額だけを横並びにしません。
| 比較項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 買取査定額 | 確認 | 確認 |
| 機器取り外し | 込み/別途 | 込み/別途 |
| 搬出作業 | 込み/別途 | 込み/別途 |
| 養生 | 込み/別途 | 込み/別途 |
| 車両 | 込み/別途 | 込み/別途 |
| 特殊作業 | 条件確認 | 条件確認 |
| 処分品 | 別途確認 | 別途確認 |
| 最終受取・支払額 | 確認 | 確認 |
厨房機器の査定額自体が何で決まるかは、厨房機器の査定は何を見る?で詳しく整理しています。
厨房機器の撤去費に含まれやすい7つの項目
1.機器の取り外し作業
厨房機器には、置いてあるだけの設備と、建物や設備へ接続されている機器があります。
たとえば、
- 給排水
- ガス
- 電源
- 排気設備
- 壁・床への固定
などから切り離す必要がある場合、単純な搬出より作業が増えます。
機器や接続方法によっては専門的な工事が必要になるため、見積時に「どこまで買取会社が対応するのか」を確認します。
2.搬出作業員の人件費
業務用厨房機器は大型・重量物が多く、1人で運べない機器があります。
特に、
- 大型業務用冷蔵庫
- 冷凍庫
- 食器洗浄機
- 大型製氷機
- オーブン
- 大型ガスレンジ
などでは、複数人での搬出が必要になる場合があります。
台数が多ければ作業時間も増えるため、買取金額だけでなく必要な人員と作業時間も査定時に確認されます。
3.養生費
店舗から厨房機器を運び出すとき、床、壁、扉、エレベーター、共用部などを傷付けないよう養生が必要になる場合があります。
特に商業施設やオフィスビル内の店舗では、施設側から養生方法が指定されることがあります。
査定時には、厨房内だけでなく店舗出口から車両までの搬出経路も確認してもらいます。
4.車両・運搬費
厨房機器を店舗から搬出した後、倉庫や再販売拠点まで運ぶ車両が必要です。
費用へ影響しやすい条件には、
- 機器の台数
- 必要な車両サイズ
- 搬出先と店舗の距離
- 駐車・積載場所
- 複数回の運搬が必要か
などがあります。
「出張査定無料」という表示があっても、査定のための訪問が無料なのか、買取成立後の搬出・運搬まで無料なのかは別に確認してください。
5.階段・分解・クレーンなどの特殊搬出
撤去費が大きくなりやすいのが、通常の台車搬出では対応できないケースです。
たとえば、
- エレベーターがない
- 機器が階段を通らない
- 入口より機器が大きい
- 店舗内で分解する必要がある
- 窓や開口部から吊り出す必要がある
- クレーンや特殊車両が必要
といった条件です。
大型設備の撤去・搬出では、機器そのものの中古価値より作業費の影響が大きくなることもあります。
6.商業施設・ビル特有の作業条件
路面店と商業施設内店舗では搬出条件が大きく違います。
商業施設や大型ビルでは、
- 作業申請
- 搬出可能時間
- 夜間・早朝作業
- 指定搬出口
- エレベーター使用時間
- 警備対応
- 共用部養生
などの条件が設定されている場合があります。
査定時に店舗住所だけを伝えるのではなく、施設の搬出ルールも共有しておくと、当日の追加費用を防ぎやすくなります。
7.買取不可品の撤去・処分
厨房内にある機器すべてへ買取価格が付くとは限りません。
売れる厨房機器と、買取できない古い設備・壊れた設備・残置物が混在している場合は、買取額とは別に撤去・処分費が発生することがあります。
この場合、「厨房機器一式の買取額」だけを見るのではなく、
- 何が買取対象か
- 何が0円引取か
- 何が有料処分か
- 撤去費はいくらか
- 最終的に受け取るのか、支払うのか
を分けて確認します。
買取と処分を同時に依頼する場合は、厨房機器の買取と処分は同時に頼める?も参照してください。
「撤去費無料」でも確認したいこと
撤去費無料、搬出無料と案内する業者もあります。
ただし、無料の条件がどこまでかは会社・案件によって異なります。
見積時には次を確認します。
- 通常搬出のみ無料なのか
- 取り外し作業も含むか
- 階段作業も含むか
- 養生も含むか
- 車両費も含むか
- 夜間作業も含むか
- クレーン等の特殊作業は別か
- 買取不可品は別料金か
「無料」という言葉だけで判断せず、自店の条件で追加料金が出るかを確認します。
厨房機器をまとめて売ると撤去効率が上がる場合がある
閉店時に冷蔵庫1台だけではなく、製氷機、食器洗浄機、ガス機器、作業台など複数の設備を売却する場合があります。
同じ日にまとめて査定・搬出できれば、人員や車両を一度に手配できるため、1台ずつ別の日に依頼するより効率的なケースがあります。
ただし、まとめて売却すれば必ず撤去費が安くなるわけではありません。
機器の台数が増えれば大型車両や作業員の追加が必要になる場合もあるため、一括査定後の最終金額で比較します。
自分で厨房機器を取り外せば手取りは増える?
簡単に移動できる什器であれば、自社側で搬出準備を行える場合があります。
一方、厨房機器には給排水、ガス、電気、冷媒等に関係する設備があります。
撤去費を減らす目的だけで、設備構造を確認せず自力で切り離すことは避けた方がよいでしょう。
さらに、買取業者によっては、正常に設置・稼働している状態を確認できた方が査定しやすい場合があります。
「自分で外しておいた方がよいか」は、作業を始める前に買取業者へ確認します。
業務用冷蔵庫などは売却と廃棄を分けて考える
業務用冷蔵庫、冷凍庫、冷蔵ショーケースなどには、フロン類を使用する機器があります。
本来の用途で再利用する中古機器として売却する場合と、再利用せず廃棄する場合では扱いが異なります。
売却予定でも、取り外し・移設作業の内容によって冷媒に関する作業が必要になる場合があるため、買取会社へ機器の型番と撤去方法を確認します。
売却できず処分へ切り替わった場合は、単なる金属スクラップとして扱うのではなく、対象機器に必要なフロン対応も確認します。
業務用冷蔵庫の売却可能性については、業務用冷蔵庫の買取も参照してください。
撤去費で損をしないために査定前に伝える10項目
現地に来てもらってから条件が判明すると、当初の概算査定から金額が変わることがあります。
問い合わせ時に次の情報をまとめて送ると、撤去費まで含めた条件を確認しやすくなります。
- 店舗所在地
- 店舗の階数
- エレベーターの有無
- 売却する機器の一覧
- メーカー・型番・年式
- 機器全体と銘板の写真
- 給排水・ガス・電源等の接続状況
- 厨房から出口までの搬出経路
- 店舗前の駐車・積載条件
- 希望撤去日と原状回復工事の開始日
特に大型設備では、本体写真だけでは搬出条件が分かりません。
扉、通路、階段、エレベーター、搬出口なども写真で共有すると、追加作業の有無を判断しやすくなります。
原状回復工事より前に厨房機器の買取を確定する
閉店案件では、厨房機器買取と原状回復工事の順番も重要です。
先に内装解体を始めると、売却予定だった機器を解体・廃棄してしまったり、搬出経路が使えなくなったりする可能性があります。
進め方は、
- 居抜きで残す機器を決める
- 自社所有・リース・貸主所有を分ける
- 売却候補を査定する
- 撤去・搬出条件を確定する
- 売却日を決める
- 売れない物の処分方法を決める
- 原状回復・解体工事へ進む
という順番にすると整理しやすくなります。
閉店時の厨房機器売却全体については、飲食店の閉店で厨房機器は買取できる?も確認してください。
原状回復との関係は、店舗閉店時の原状回復で整理しています。
厨房機器の買取・撤去費についてよくある質問
出張査定が無料なら撤去も無料ですか?
同じとは限りません。
査定のための訪問料が無料でも、買取成立後の取り外し・搬出・車両・特殊作業などが別料金になる業者があります。
「査定料」「出張料」「撤去費」「搬出費」を分けて確認してください。
査定額から撤去費を引かれることはありますか?
あります。
買取額を提示した後、搬出料金を別途見積する業者や、買取額と撤去・処分費を差し引いて最終金額を提示する業者があります。
査定時に「最終的な受取額はいくらか」を確認します。
買取額より撤去費の方が高くなることはありますか?
機器の中古価値が低く、搬出条件が難しい場合には、買取価格だけでは撤去作業費等を賄えない可能性があります。
その場合は無料引取、差額支払い、有料処分など、業者によって条件が変わります。
厨房機器の取り外しも買取会社へ頼めますか?
取り外しまで対応する会社はあります。
ただし、設備の種類や接続方法によって対応範囲が異なるため、査定時に給排水、ガス、電源等の接続状態を伝えて確認します。
クレーンや階段搬出は追加料金ですか?
別料金になる場合があります。
通常搬出に含む範囲は業者ごとに違うため、階数、エレベーター、搬出口、機器サイズを伝えて見積を確認します。
撤去費を安くするために自分で機器を外してもよいですか?
機器・接続状況によります。
給排水、ガス、電気、冷媒等に関係する機器では専門的な作業が必要になる場合があります。また、取り外し前の動作確認が査定に使われる場合もあります。
作業前に買取会社へ確認してください。
買取できなかった機器もそのまま引き取ってもらえますか?
買取と処分を一括対応する会社もあります。
ただし、買取不可品には処分費が発生する場合があるため、買取額と処分・撤去費を分けて確認します。
処分費全体については、店舗設備の処分費はいくら?も参照してください。
厨房機器の買取は「査定額」ではなく最後に残る金額で選ぶ
厨房機器の買取を比較するときは、査定額が最も高い業者をそのまま選ぶのではなく、
- 機器の買取額
- 取り外し費
- 搬出作業費
- 養生費
- 車両・運搬費
- 階段・分解・クレーン等の特殊作業
- 買取不可品の撤去・処分費
を確認します。
見積では、「この買取額から最終的に何が差し引かれ、いくら受け取れるのか」を明確にしてもらうことが重要です。
閉店案件では、原状回復工事が始まる前に査定と撤去日程を確定し、売却できる設備を先に搬出しておくと、その後の撤去・処分も整理しやすくなります。
