オフィス移転、縮小、閉鎖をするとき、デスクやチェア、ロッカーなどを不要品として売却・処分しようとしたところ、「この家具はリースだった」と気付くことがあります。
リース・レンタル中のオフィス家具は、自社のオフィスに置いてあっても、自社が自由に売却・廃棄できるとは限りません。
まず確認するべきなのは、家具そのものの価値ではなく、誰が所有しているか、どの契約で利用しているか、契約がいつまで残っているかです。
また、「リース」と呼ばれていても、一般的なファイナンス・リース、レンタル、サブスクリプション、満了後に所有権が移るプランなど、契約内容は同じではありません。
オフィス移転時に新しい事務所へそのまま持っていける場合もあれば、設置場所変更の手続きが必要な場合、契約終了時に返却する場合などがあります。
この記事では、リース・レンタル中のオフィス家具について、契約確認から返却、中途解約、移設、費用、退去日程までを順番に整理します。
リース中のオフィス家具は勝手に売却・処分しない
最初に確認したいのは所有権です。
自社で購入した家具であれば、自社の所有物として買取査定や処分を検討できます。
一方、一般的なファイナンス・リースでは、リース会社が物件を購入して利用企業へ貸し出します。
この場合、利用企業が毎月リース料を払っていても、契約上の所有者はリース会社です。
したがって、オフィス閉鎖時に、
- 中古家具の買取業者へ売る
- 不用品回収業者へ渡す
- 社員へ無償で譲る
- 廃棄する
といった処理を自社判断で進めることは避けます。
オフィス家具全体の買取・処分を進めている場合も、リース・レンタル品だけは先に分離してください。
オフィス家具の買取と処分を同時に頼む方法でも、所有関係の確認を最初に行うことが重要です。
まず「リース・レンタル・購入」のどれかを確認する
社内では、月額で利用している物をすべて「リース」と呼んでいることがあります。
しかし、契約形態によって返却方法は異なります。
| 契約・利用形態 | 終了時に確認すること |
|---|---|
| 一般的なファイナンス・リース | 満了後の再リース・返還、中途解約条件、返還場所・費用 |
| レンタル | 返却日、回収方法、期間途中の返却条件、運搬費等 |
| サブスクリプション | 最低利用期間、返却・交換・延長条件、回収費 |
| 所有権移転を伴う契約 | いつ所有権が移るのか、満了時の手続き |
| 自社購入 | 買取・移転・処分を自社で判断 |
「毎月料金を支払っている」「契約期間が○年」という情報だけで、終了時の扱いを決めないようにします。
契約書、請求書、固定資産・備品台帳、リース会社から届いた満了案内などを確認してください。
契約書で確認する8項目
1.契約会社と契約番号
最初に、どの会社との契約かを確認します。
オフィス家具を販売した会社と、実際のリース会社が別の場合もあります。
確認したいのは、
- リース・レンタル会社名
- 契約番号
- 契約者名
- 設置場所
- 契約対象物
です。
同じオフィス内でも、導入時期が違えば複数の契約に分かれていることがあります。
2.対象家具
次に、どの家具が契約対象なのかを特定します。
例えば、
- デスク20台
- チェア20脚
- ロッカー4台
- 会議テーブル2台
が一つの契約になっていることもあれば、チェアだけ別契約の場合もあります。
家具本体へリース会社の管理シールが貼付されている場合もあります。
移転・閉鎖時には、購入家具とリース家具を色分けした一覧を作ると誤搬出を防ぎやすくなります。
3.契約開始日と満了日
契約がいつ終わるかを確認します。
オフィス退去日とリース満了日が近ければ、満了時に返却できる可能性があります。
一方、退去時点で契約期間がまだ数年残っている場合は、中途解約または移転先での継続利用を検討することになります。
4.中途解約条件
一般的なファイナンス・リースでは、契約期間中の中途解約を原則として認めない契約が一般的です。
双方の合意で途中終了できる場合でも、残期間のリース料や契約上定められた精算額が必要になることがあります。
したがって、
「家具を返せば翌月から支払いがなくなる」と自己判断しないことが重要です。
契約書の中途解約・期限前終了・規定損害金等の条項を確認し、契約会社へ具体的な精算額を問い合わせます。
5.契約満了時の選択肢
満了後の扱いも契約によって異なります。
一般的な選択肢として、
- 返却する
- 再リース・契約延長する
- 契約で認められていれば購入する
- 契約条件により所有権の譲渡を受ける
などがあります。
すべての契約にすべての選択肢があるわけではありません。
特に「リース料を長年払ったから自動的に自社所有になる」とは考えず、満了案内・契約条項を確認してください。
6.返却場所と運搬費
返却時に誰が家具を運ぶのかも重要です。
契約によっては、利用企業が指定された場所まで返却する前提になっていることがあります。
一方、レンタル・サブスクリプションでは、サービス会社が回収車を手配する場合もあります。
確認するのは、
- 引き取りに来てもらえるか
- 指定倉庫まで自社で返却するのか
- 搬出費は含まれているか
- 運賃はいくらか
- 養生・階段作業は別料金か
- 大型家具の分解費が必要か
です。
7.損傷・原状回復条件
長期間使用した家具には、傷・汚れ・部品欠品が生じることがあります。
契約終了時にどこまで原状回復が必要か、通常使用による損耗と修理対象となる破損をどう扱うかは、契約・サービスごとに確認します。
例えば、
- 天板の大きな破損
- チェアの部品欠品
- ロッカーの鍵紛失
- キャスター破損
- 家具への穴あけ・加工
などがある場合は、返却前に写真を撮り、契約先へ相談します。
査定・返却のために自己判断で高額な修理を行う必要があるとは限りません。
8.設置場所変更・移設条件
オフィス移転で契約を継続したい場合は、新しいオフィスへ家具をそのまま運んでよいか確認します。
リース会社によっては、物件の設置場所を変更するときに、変更届や承諾手続きが必要です。
そのため、移転会社へ搬出を依頼する前に、
- 移設できるか
- 設置場所変更の申請が必要か
- 移設先の住所
- 移設費用を誰が負担するか
- 保険等への影響がないか
を契約会社へ確認します。
契約満了が近い場合は「返却・再リース・継続利用」を比較する
オフィス移転とリース満了が近い場合は、返却だけが選択肢とは限りません。
例えば、移転先でも同じ家具を使いたい場合は、契約上可能であれば再リースや継続利用を検討できます。
一方、新オフィスで働き方やレイアウトを大きく変える場合、古い家具を継続利用するより返却して新しい家具へ切り替えた方が合理的なケースもあります。
比較するのは、
- 再リース・延長した場合の料金
- 返却運搬費
- 新オフィスへの移設費
- 新規家具購入・レンタル費
- 現在の家具が新しいレイアウトに合うか
です。
契約期間が残っている場合は中途解約と移設を比較する
オフィス閉鎖では家具自体が不要になりますが、単なる移転なら移設して使い続ける方法もあります。
例えば、中途解約で大きな精算額が必要になる場合、家具が新オフィスでも使用できるなら、契約を継続して移設した方が総費用を抑えられる可能性があります。
反対に、
- 新オフィスのサイズに合わない
- 固定席からフリーアドレスへ変える
- 大幅に人員が減る
- 家具が劣化している
場合は、残期間と解約条件を確認したうえで返却・契約終了を検討します。
中途解約金だけでなく、継続利用した場合の残リース料と移設費を含めて比較します。
オフィス移転時は設置場所変更の連絡を先にする
リース家具を新しいオフィスへ持っていく場合、旧オフィスから搬出した後にリース会社へ連絡するのでは遅いことがあります。
移転日程が決まったら、契約会社へ、
- 旧設置場所
- 新設置場所
- 移転予定日
- 対象契約番号
- 対象家具
を伝え、必要な手続きを確認します。
移転会社へも、どの家具がリース品で継続利用するのかを明確にします。
オフィス退去全体の工程はオフィス退去・移転ガイドで整理しています。
レンタル・サブスク家具はリースと同じ扱いにしない
レンタルやサブスクリプションでは、リースより短い期間での利用や、途中の返却・家具交換を想定したサービスがあります。
ただし、「レンタルならいつでも無料で返せる」とは限りません。
確認するべき項目は、
- 最低利用期間
- 中途解約条件
- 解約予告期限
- 回収費
- 運賃
- 再設置費
- 損傷時の費用
です。
特に法人向け家具サービスでは、配送・設置・回収作業が料金に含まれるものと、別途請求されるものがあります。
満了後に家具をもらえる契約もある
オフィス家具の調達サービスには、契約満了後に家具の所有権が利用企業へ移る設計の商品もあります。
また、満了時に返却・継続・購入から選択できるプランもあります。
そのため、
「リース家具だから退去時に必ず返す」と決めず、契約終了後の所有権と選択肢を確認してください。
逆に、返却が前提の契約なのに、自社所有品として中古買取へ出さないようにします。
リース家具を中古買取へ出せるのはいつ?
自社に所有権がない状態では、通常、自社所有品として買取業者へ売却することはできません。
一方、契約終了に伴って所有権が正式に自社へ移転する契約であれば、その後は自社資産として売却を検討できます。
重要なのは「支払いが終わったか」だけではなく、契約上、いつ誰に所有権があるかです。
自社所有になった家具を売却する場合はオフィス家具の買取を確認してください。
リース家具と購入家具を混ぜて査定に出さない
オフィス閉鎖時には、買取業者へ「家具一式」として写真を送ることがあります。
このとき、リース家具が混ざっていると、現地査定後に対象から除外する必要が生じます。
事前に、
- 自社所有・売却可能
- リース・返却予定
- レンタル・返却予定
- 移転先へ持っていく
- 処分候補
のように色分けします。
不要家具全体の仕分けについてはオフィスの不用品はどう処分する?も参照してください。
返却費は誰が負担する?
返却費の負担は契約によって異なります。
一般的なファイナンス・リースの標準的な契約では、契約終了時の返還を利用企業の責任・負担で行う考え方があります。
一方、レンタルサービスではサービス会社が回収車を手配し、回収費が利用料に含まれる場合や別途運賃として請求される場合があります。
そのため、見積時には、
- 返却運賃
- 搬出作業費
- 養生費
- 分解費
- 階段作業
- 時間指定
- 車両費
- 返却先までの輸送
まで確認します。
返却家具が多い場合は搬出条件も確認する
数十台のデスク・チェア・ロッカーを返却する場合は、契約手続きだけでなく搬出作業も退去工程へ影響します。
大型オフィスビルでは、
- 搬出届
- 荷物用エレベーター予約
- 共用部養生
- 作業可能時間
- 車両停車場所
などが指定される場合があります。
リース会社側の返却日と、ビル側の搬出可能日を別々に決めると日程が合わない可能性があります。
返却業者・移転業者・ビル管理会社を同じ工程表で管理します。
傷・破損がある場合は返却前に記録する
長期間使用している家具には、通常の使用傷以外にも破損が生じている場合があります。
例えば、
- チェアの肘破損
- デスク天板の大きな傷
- ロッカーの鍵紛失
- テーブルの配線カバー欠品
- キャスター破損
などです。
返却直前に指摘されて初めて確認するのではなく、事前に写真を撮り、契約会社へ扱いを確認します。
修理が必要な場合でも、自社で勝手に交換・加工すると契約上問題になることがあるため、先に相談してください。
返却は原状回復工事の着工日から逆算する
オフィス退去では、「賃貸借契約の最終日までに返せばよい」と考えると遅れることがあります。
家具が残ったままでは、床・壁・天井等の原状回復工事を開始できない場合があるためです。
例えば、
- 明渡し日
- 貸主確認日
- 原状回復完了日
- 原状回復着工日
- リース家具返却完了日
の順番で逆算します。
自社購入家具の買取・処分もある場合は、リース家具の返却と同じ日にまとめて搬出できるかを検討します。
リース家具返却の実務7ステップ
- 家具を所有区分ごとに仕分ける
購入、リース、レンタル、移転継続、処分候補を分けます。 - 契約書と契約番号を確認する
契約会社、対象家具、満了日、残期間を確認します。 - 契約終了時の選択肢を確認する
返却、再リース、購入・譲渡等の有無を確認します。 - 中途解約・移設条件を確認する
満了前なら精算額、移転継続なら設置場所変更手続きを確認します。 - 返却費・損傷条件を確認する
搬出、運搬、養生、修理等の負担を確認します。 - 退去工程から返却日を決める
原状回復着工前に家具を出せるよう日程を組みます。 - 返却完了を記録する
数量、返却日、受領確認、最終請求等を保管します。
返却時のチェックリスト
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 契約 | リース・レンタル・その他の契約類型 |
| 所有権 | 現在誰が家具を所有しているか |
| 契約番号 | どの契約にどの家具が含まれるか |
| 満了日 | 退去日まで契約が残るか |
| 終了方法 | 返却・再リース・購入・譲渡等 |
| 中途解約 | 可否、精算額、手続き |
| 移転 | 設置場所変更の届出・承諾 |
| 返却費 | 搬出、運搬、養生、分解等 |
| 状態 | 傷、破損、部品・鍵等の欠品 |
| 日程 | 原状回復工事前に返却できるか |
よくある質問
リース中のオフィス家具は勝手に処分できますか?
一般的なリース契約では家具の所有権がリース会社にあるため、自社判断で売却・廃棄しないでください。まず契約書と契約会社へ確認します。
契約満了後は必ず返却しなければいけませんか?
契約によります。一般的なファイナンス・リースでは再リースまたは返還が基本となる契約がありますが、オフィス家具には満了後に購入、所有権譲渡、継続利用などを選べる商品もあります。個別契約を確認してください。
リース料を全部払えば家具は自社の物になりますか?
一律には言えません。支払完了後も返却する契約もあれば、満了時に所有権が移る商品もあります。残額の支払いだけを理由に自社所有と判断しないでください。
オフィス閉鎖で途中解約できますか?
標準的なファイナンス・リースでは期間中の中途解約を原則として認めない契約が一般的です。合意により終了できる場合も、残期間のリース料等を基にした精算が必要になることがあります。契約会社へ確認してください。
移転先へそのまま家具を持っていけますか?
可能な場合がありますが、リース会社への設置場所変更手続きが必要な契約があります。移転会社が家具を動かす前に契約先へ確認します。
返却費はリース会社が負担しますか?
契約によります。標準的なファイナンス・リースでは利用企業側が返還費用を負担する考え方があります。一方、レンタル等では事業者が回収するサービスもあります。運搬・搬出・養生等の費用範囲を確認してください。
傷がある家具は返却できますか?
返却自体の扱いと、修理・損害費用の扱いは契約によります。通常使用による損耗と破損の判断もサービスごとに異なるため、傷や破損を写真で記録し、事前に契約先へ確認してください。
レンタル家具もリースと同じですか?
同じではありません。レンタル・サブスクは短期間利用や途中返却を想定したサービスもあります。最低利用期間、返却費、回収方法、途中解約条件を個別に確認します。
リース家具を買取業者に売ることはできますか?
自社に所有権がない状態では、自社所有品として売却しないでください。満了後等に正式に所有権が自社へ移ったことを確認できた場合は、その後に中古買取を検討できます。
返却は退去日の直前でも間に合いますか?
家具の数量、返却先、搬出条件、ビルの作業申請、原状回復工事の日程によります。退去日ではなく原状回復工事の着工日から逆算し、早めに返却日を確定する方が安全です。
リース家具は「不要品」ではなく「契約品」として先に整理する
オフィス移転・閉鎖では、不要になった家具をまとめて買取・処分したくなります。
しかしリース・レンタル中の家具は、自社購入品と同じ扱いにしてはいけません。
まず契約と所有権を確認し、満了・中途解約・再リース・移設・返却のどれで処理するかを決めます。
さらに返却費、損傷、搬出条件、原状回復工事の日程まで確認して初めて、退去工程へ組み込めます。
所有区分確認 → 契約確認 → 満了/残期間確認 → 終了方法決定 → 中途解約/移設確認 → 返却費・状態確認 → 日程調整 → 返却完了確認の順で進めると整理しやすくなります。
オフィス移転・閉鎖で、購入家具の買取・処分とリース家具の返却が混在している場合は、店舗・オフィスの退去について相談するから整理できます。
