内装解体の追加費用はなぜ発生する?着工後の追加請求を防ぐ8つの確認

店舗やオフィスの内装解体では、契約時の見積金額だけで工事が終わる案件もあれば、見積確定後や工事開始後に追加費用が生じる案件もあります。

追加費用が発生したからといって、直ちに不当な請求とは限りません。

壁・天井・床を撤去して初めて確認できる設備や下地、当初予定になかった残置物、貸主から追加された工事、借主側による工事内容変更など、実際に追加作業が必要になるケースがあります。

一方で、当初見積に含まれているはずの作業を「追加」として再度請求されていないか、追加数量や単価に根拠があるかは確認する必要があります。

追加費用を提示されたときは、「追加はいくらか」だけではなく、「なぜ当初見積に入っておらず、何を追加で施工するのか」を確認することが重要です。

目次

内装解体の追加費用は必ず発生するものではない

内装解体工事だから必ず追加料金が出るわけではありません。

現地調査、図面確認、原状回復範囲の確定、石綿事前調査などを行い、工事範囲と条件を十分に見積へ反映できれば、追加費用の可能性を小さくできます。

ただし、解体前には確認できない部分や、発注後に条件が変更された場合まで完全に固定することは難しいことがあります。

そこで、契約前に次の2点を分けて確認します。

確認項目 内容
見積に含まれている工事 契約金額内で施工する範囲
追加費用になる条件 発生時に別途見積・協議する事項

見積書に「別途」「実費」「現場確認後」「数量精算」などの記載がある場合は、その条件を発注前に確認してください。

見積全体の読み方は、店舗の解体見積はどこを見る?、費目ごとの確認は内装解体の見積内訳で整理しています。

内装解体で追加費用が発生しやすい8つの原因

1.当初見積で「別途」「対象外」になっていた

追加請求に見えても、実際には最初から見積対象外だったケースがあります。

たとえば、

  • 看板撤去
  • 厨房機器撤去
  • 空調設備撤去
  • 残置物処分
  • 夜間作業
  • 石綿分析・除去
  • 貸主検査後の是正

などが別途扱いになっている場合です。

見積書の総額だけでなく、備考欄・除外項目・別途工事も確認します。

業者から追加費用を提示されたら、まず「当初見積のどの項目に含まれていなかったのか」を示してもらいます。

2.壁・天井・床を撤去して初めて状況が分かった

内装解体では、仕上げ材の裏側や天井裏など、工事前には完全に確認できない部分があります。

たとえば、

  • 図面にない配管・配線
  • 追加された下地
  • 複数層になった床材
  • 想定外の固定金物
  • 隠れていた設備
  • 下地・躯体の損傷

などです。

こうした状況によって撤去作業や補修が増える場合、追加費用が必要になることがあります。

ただし「壁を開けたら想定外でした」という説明だけで承認せず、どこに何があり、どの追加作業が必要なのか写真や現場確認で説明してもらいます。

3.解体量・廃材量が見積数量を超えた

内装解体では、撤去面積や廃材数量を見積段階で算出します。

実際に解体したところ、

  • 床材が想定より多層だった
  • 壁の造作が複雑だった
  • 石膏ボード等の数量が多かった
  • 設備・配管等の撤去量が多かった
  • 残置物が追加された

といった理由で数量が増えることがあります。

この場合は「廃材が増えたので○万円追加」という説明だけでなく、当初数量と実績数量、単位、単価、処理対象を確認します。

当初契約が固定総額なのか、実数量による精算を予定しているのかによっても扱いが変わります。

4.見積後に残置物が増えた

現地調査時には空だった場所へ、閉店作業の途中で不要品を集めてしまうケースがあります。

たとえば、

  • 商品棚
  • 椅子・テーブル
  • 食器
  • 段ボール
  • 厨房備品
  • 家電
  • 事務用品

などです。

見積時の物量より撤去対象が増えれば、作業員、車両、分別、処理費も増える可能性があります。

追加費用を防ぐには、見積後に処分品を追加する場合、その都度施工会社へ伝えます。

残置物自体の撤去については、店舗の残置物撤去も参照してください。

5.設備の取り外し・撤去範囲が増えた

店舗・オフィスでは、見た目だけでは設備の接続方法が分からないことがあります。

たとえば、

  • 給排水
  • ガス
  • 電気
  • 空調
  • 排気ダクト
  • 防災設備

などです。

設備を撤去するだけでなく、配管や配線の撤去・閉塞、復旧まで必要になると工事範囲が広がります。

特に原状回復では、「機器を外せば完了」なのか「接続設備まで撤去・復旧する」のかを貸主仕様と合わせて確認します。

6.石綿調査・分析・除去に必要な費用が変わった

内装解体で石綿関係の追加費用が話題になることがありますが、「工事を始めてからアスベストが突然出てきたので追加」という説明を当然の前提にはしない方がよいでしょう。

解体・改修工事では、規模の大小にかかわらず、工事前に対象部分の材料について石綿含有の有無を事前調査する必要があります。

そのため、見積段階では、

  • 書面調査
  • 現地・目視調査
  • 必要な分析調査
  • 調査報告書

などの費用を確認します。

事前調査・分析の結果、石綿含有建材が確認され、当初の仮見積では含まれていなかった除去・飛散防止措置等が必要になれば、本見積が増えることはあります。

この場合は、石綿調査結果、該当建材、施工範囲、必要な措置、追加見積の内容を確認してください。

石綿事前調査については、内装解体・原状回復のアスベスト事前調査で詳しく整理しています。

7.貸主・管理会社から工事範囲が追加された

退去工事では、借主と施工会社だけで工事内容が決まるとは限りません。

貸主・管理会社による現地確認後に、

  • 追加撤去
  • 補修
  • 塗装
  • 設備復旧
  • 清掃
  • 貸主指定仕様への変更

が求められることがあります。

この場合、施工会社の追加請求だけを見るのではなく、「その工事は賃貸借契約や合意した原状回復範囲として必要なのか」も確認します。

貸主から指示されたから自動的にすべて借主負担になる、と単純化せず、契約・特約・工事区分等を確認してください。

原状回復全体の追加費用については、原状回復の追加費用も参照してください。

8.工事時間・搬出条件・期限が変わった

解体作業そのものが同じでも、施工条件が変われば費用が増える場合があります。

たとえば、

  • 昼間予定だった工事が夜間になった
  • エレベーター使用時間が限定された
  • 搬出可能時間が短くなった
  • 共用部養生範囲が増えた
  • 警備員・誘導員が必要になった
  • 退去期限短縮で人員追加が必要になった
  • 休日施工へ変更した

といったケースです。

施工会社側の都合による工程変更なのか、貸主・施設側の条件なのか、借主側が工期短縮を依頼したのかによって、費用負担を判断する前提も変わります。

追加費用を提示されたら確認する8項目

工事中に「追加で20万円必要です」と言われた場合、その金額だけでは判断できません。

次の8項目を確認します。

確認項目 確認内容
1.追加理由 何が当初想定と違ったのか
2.当初見積との関係 本当に当初範囲外なのか
3.現場状況 写真・図面・現地で確認できるか
4.追加作業 具体的に何を施工するのか
5.数量・単価 追加金額をどう算出したか
6.必要性 施工しない選択肢や代替方法があるか
7.工期 完了日・貸主検査へどう影響するか
8.承認方法 追加見積・変更内容を書面で残すか

「追加費用が出ました」だけではなく写真と根拠を確認する

解体後にしか確認できない状況で追加工事が必要になった場合、現場はすでに変化しています。

そのため、追加作業を始める前に、可能であれば、

  • 追加箇所の写真
  • 図面上の位置
  • 当初見積の対象範囲
  • 追加工事内容
  • 追加数量
  • 追加単価

を残してもらいます。

特に、工事完了後に「追加作業を行ったので請求します」とだけ言われると、発注者側では当時の状況を確認しにくくなります。

現場の進行を止められないケースでも、少なくとも写真・メール等で追加理由と概算額を共有してもらう方法があります。

追加工事は、できるだけ施工前に内容と金額を合意する

追加工事が必要になったときは、内容・金額・工期への影響を確認し、追加作業へ入る前に合意内容を残しておく方がトラブルを防ぎやすくなります。

国土交通省の建設工事に関するガイドラインでも、追加工事等に伴って契約内容を変更する際は、追加工事の着工前に書面で変更内容を明確にする考え方が示されています。

民間の内装解体でも、実務上は、

  • 追加見積書
  • 変更注文書
  • 変更契約
  • メールでの承認記録

などにより、「何を、いくらで追加することに合意したか」を残しておくと認識違いを減らせます。

工事内容が緊急で、着工前に数量を完全確定できない場合でも、追加作業の内容、概算、精算方法等を可能な範囲で確認します。

工事後に初めて追加請求された場合はどうする?

工事完了後に初めて追加料金を請求された場合も、「事前承認していないから一切払わなくてよい」「施工したのだから必ず払う」のどちらかに一律で決められるわけではありません。

まず、

  • 当初契約書
  • 当初見積書
  • 見積除外事項
  • 追加工事の依頼・承認記録
  • 現場写真
  • メール・チャット
  • 貸主からの指示

を確認します。

そのうえで、何が当初契約外だったのか、誰が追加を依頼したのか、追加工事が本当に必要だったのか、金額の根拠があるかを施工会社へ確認します。

金額が大きく、契約内容について争いがある場合は、必要に応じて弁護士等へ個別に確認してください。

追加費用を減らすには発注前に何をする?

原状回復範囲を貸主と確定する

施工会社の見積前に、どこまで撤去・復旧するかを貸主・管理会社と確認します。

工事途中に返還条件が変われば、追加工事につながりやすくなります。

現地調査を省略しない

図面や写真だけでは確認しにくい現場では、現地調査を行います。

厨房設備、ダクト、給排水、階段搬出、ビルルールなどは現地で確認した方が見積条件をそろえやすくなります。

「一式」だけの見積を避ける

すべてを「内装解体工事一式」とすると、後から何が増えたのか比較しにくくなります。

数量・単価・工事項目・別途条件を確認します。

追加になる条件を先に聞く

見積書を受け取ったら、施工会社へ「この金額以外に追加となる可能性があるものを列挙してください」と確認する方法があります。

特に、

  • 石綿
  • 隠蔽部
  • 廃材数量
  • 残置物
  • 設備撤去
  • 夜間・休日
  • 貸主検査後の是正

の扱いを確認しておきます。

相見積もりでも追加条件を比較する

相見積もりでは当初総額だけでなく、追加費用の条件も比較します。

A社150万円、B社170万円でも、A社は多くの工事項目が別途、B社は主要項目込みという可能性があります。

詳しくは、内装解体の相見積もりを参照してください。

追加費用が高いと感じたときの確認順

追加費用を提示されたら、すぐに値下げ交渉へ入るより、次の順で確認します。

  1. 当初見積に含まれていないことを確認する
  2. 追加理由を確認する
  3. 現場写真・図面を確認する
  4. 追加工事範囲を確認する
  5. 数量・単価を確認する
  6. 工事をしない場合の影響を確認する
  7. 代替工法・範囲縮小の可否を確認する
  8. 工期と最終総額を確認する

当初見積そのものが高い場合は、追加費用記事ではなく内装解体の見積が高いときの確認方法を先に確認してください。

内装解体の追加費用についてよくある質問

追加費用を請求されたら必ず支払う必要がありますか?

一律には判断できません。

当初契約、見積対象範囲、追加工事の発生理由、誰が追加を依頼したか、承認の有無などによって変わります。

まず追加費用の根拠と契約内容を確認してください。

口頭で追加工事を承認してもよいですか?

認識違いを防ぐため、できるだけ書面・メール等で、工事内容、金額または算定方法、工期への影響を残しておく方がよいでしょう。

解体してみたら設備が出てきた場合は追加になりますか?

追加作業が実際に必要になることはあります。

ただし、当初見積の対象範囲・除外条件と照らし、なぜ追加になるのか、どの作業が増えるのか、数量・単価はどう算定するのかを確認します。

廃材が増えたら追加費用になりますか?

契約条件によります。

数量精算を予定した見積で実数量が増えた場合などは金額が変わることがあります。

一方、固定総額でどこまで含んでいるかは契約・見積書を確認する必要があります。

アスベストが見つかったら追加料金ですか?

石綿の事前調査・必要な分析は工事前に行う必要があります。

事前調査結果によって必要な除去作業が判明し、仮見積に除去費が含まれていなかった場合は、本見積が増えることがあります。

「工事開始後に突然判明することを前提」にせず、事前調査結果と見積への反映を確認してください。

貸主から追加工事を指示されたら借主負担ですか?

必ず借主負担とは限りません。

賃貸借契約、特約、原状回復範囲、工事区分、貸主との合意内容を確認します。

追加費用に納得できない場合、工事を止めてもよいですか?

工事を止めることで退去期限や貸主検査へ影響する可能性があります。

追加工事の必要性・金額を確認すると同時に、工事停止による工程への影響も施工会社と確認してください。

追加費用をゼロにすることはできますか?

すべての現場でゼロにできるとは限りません。

ただし、現地調査、工事範囲確定、見積内訳、石綿事前調査、別途条件の確認を発注前に行うことで、予想外の追加費用を減らせる可能性があります。

追加費用は「理由・範囲・数量・承認」を確認してから進める

内装解体で追加費用が提示されたとき、金額だけを見て高い・安いを判断するのではなく、

  1. 何が当初見積外だったのか
  2. なぜ追加作業が必要なのか
  3. 現場で何が確認されたのか
  4. 何を追加施工するのか
  5. 数量・単価はいくらか
  6. 代替方法があるか
  7. 工期へどう影響するか
  8. どの内容で追加発注するか

を確認します。

追加工事自体が必要な案件でも、内容と金額を確認せず工事を進めれば、完了後に認識違いが生じやすくなります。

逆に、追加工事が必要というだけで不当請求と決めつけるのも適切ではありません。

当初見積と追加工事を切り分け、追加作業へ入る前に根拠・金額・工程を確認できる状態を作ってください。

内装解体の追加費用・見積について相談する

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次