店舗の閉店費用を抑える8つの方法|削る順番と注意点

店舗を閉店するとき、「できるだけ安い解体業者を探せば費用を抑えられる」と考えがちです。

しかし、閉店費用は原状回復工事だけではありません。

閉店を決めてから物件を明け渡すまでには、

  • 解約予告期間中の賃料
  • 原状回復・スケルトン工事
  • 厨房機器・什器・家具の撤去
  • 在庫処理
  • 廃棄物処理
  • 従業員対応
  • 引越し・運搬
  • 各種契約の解約

などが重なります。

そのため、原状回復見積を20万円下げても、解約通知が1か月遅れて賃料が50万円増えれば、閉店全体では支出が増えます。

店舗の閉店費用を抑えるには、個別の見積を安くするより、「これから発生する支出そのものを減らす」順番で確認することが重要です。

この記事では、店舗閉店時の総費用を抑える8つの方法と、反対に削ってはいけない費用を整理します。

まず閉店時にどのような費用が発生するか確認したい場合は、店舗の閉店費用はいくら?をご覧ください。

目次

店舗の閉店費用を抑える8つの方法

  1. 解約予告・契約条件を早く確認する
  2. 原状回復の範囲を確定してから発注する
  3. 解体する前に居抜き退去を検討する
  4. 売れる設備・什器を処分前に査定する
  5. 在庫を閉店直前まで残さない
  6. 見積を同じ条件で比較する
  7. 買取・撤去・原状回復の順番を一本化する
  8. 退去期限から逆算し、急ぎ工事を避ける

1.解約予告・契約条件を早く確認する

閉店費用を抑えるうえで、最初に確認したいのは施工会社ではなく賃貸借契約です。

特に、

  • 解約予告期間
  • 契約終了日
  • 中途解約条項
  • 短期解約違約金
  • 原状回復条件
  • 指定業者の有無

を確認します。

解約通知が遅れると賃料負担が後ろへ延びる

例えば6か月前予告の契約で、6月末に退去したいのであれば、契約条件に応じて前年12月頃から解約通知を考える必要があります。

閉店自体を3月に決めたとしても、契約上の終了日まで賃料負担が残る可能性があります。

つまり、

「閉店日を早くする」

ことと、

「賃料負担を早く終わらせる」

ことは同じではありません。

店舗の解約予告については、店舗の解約予告とは?をご覧ください。

閉店を決める前でも契約条件は確認できる

まだ閉店を最終決定していない段階でも、契約書を確認することはできます。

むしろ、

  • いつ通知すればよいか
  • 途中解約できるか
  • 違約金はいくらか
  • 原状回復に何が必要か

を把握してから閉店日を決めた方が、資金計画を立てやすくなります。

2.原状回復の範囲を確定してから発注する

店舗閉店時に高額になりやすい費用の一つが原状回復です。

しかし、見積に書かれているすべての工事について、まず「本当にこの状態まで戻す契約なのか」を確認します。

資料として、

  • 賃貸借契約書
  • 原状回復特約
  • 入居時図面
  • 工事区分表
  • 貸主・管理会社からの返還仕様

などを確認します。

必要な工事を減らせれば数量も処分量も減る

例えば、壁・床・天井を全面撤去する見積でも、契約や貸主との合意によって一部を残せるのであれば、

  • 解体作業
  • 搬出
  • 廃棄物
  • 資材
  • 人件費

の複数費目を減らせる可能性があります。

値引き交渉より先に、工事範囲を確認する理由です。

「安くしてください」より「この工事は必要ですか」を先に聞く

例えば300万円の原状回復見積を270万円へ値下げしてもらえば30万円減ります。

一方、契約上不要な50万円分の工事を外せるなら、その方が削減効果は大きくなります。

単価を下げる前に、工事項目・数量・仕様を減らせないか確認します。

原状回復費そのものの見直しについては、原状回復費用を抑える方法も参考にしてください。

3.解体する前に居抜き退去を検討する

飲食店、美容室、サロンなど設備・内装の多い店舗では、居抜きが成立すると閉店費用を大きく変えられる場合があります。

後継テナントが現在の内装・設備を引き継ぎ、貸主もその状態での明渡しを認めれば、

  • 原状回復費
  • 内装解体費
  • 設備撤去費
  • 廃棄費

を減らせる可能性があります。

さらに造作譲渡代金を受け取れる場合もあります。

原状回復を発注してから居抜きを考えない

原状回復会社へ正式発注し、設備撤去・解体を始めてから居抜きへ変更しようとしても、すでに店舗価値を失っている場合があります。

順番は、

  1. 契約確認
  2. 貸主へ居抜き可否を相談
  3. 造作・設備査定
  4. 後継テナント募集
  5. 成立しなければ原状回復

と考える方が選択肢を残しやすくなります。

居抜きは貸主承諾が前提

借主と後継テナントだけで話をまとめても、貸主が認めなければ居抜き退去できるとは限りません。

また、募集しても後継テナントが見つからない場合があります。

そのため原状回復の見積・工期も並行して確認します。

詳しくは、店舗を閉店するとき居抜き退去できる?をご覧ください。

4.売れる設備・什器を処分前に査定する

閉店時には、厨房機器、店舗什器、家具、OA機器など大量の物が残ります。

これらをすべて「廃棄物」として原状回復・撤去会社へ渡すと、処分費を支払うことになります。

しかし、中古価値がある物なら売却できる可能性があります。

買取できれば2つの効果がある

設備が売れると、

  1. 買取代金を受け取れる
  2. 廃棄する物量を減らせる

という2つの効果があります。

例えば、10万円で買い取ってもらえる設備を、本来5万円かけて処分する予定だったなら、閉店収支では15万円分の差になります。

先に処分業者へ全部渡さない

設備売却を検討する場合は、

  1. 売れる物を査定
  2. 居抜きで残す物を決定
  3. 売却する物を搬出
  4. 残った物だけ処分

という順番にします。

設備・什器買取全体については、設備・什器買取ガイドをご覧ください。

リース品を勝手に売却しない

厨房機器、複合機、POS機器などにはリース・レンタル品が含まれることがあります。

店舗に置いてあるからといって、必ず自社所有とは限りません。

売却前に、

  • 固定資産台帳
  • 購入記録
  • リース契約
  • レンタル契約

を確認します。

5.在庫を閉店直前まで残さない

小売店、飲食店、美容・物販店舗などでは、閉店時の在庫処理も大きな問題になります。

閉店日まで通常どおり仕入れを続ければ、最後に大量の在庫が残る可能性があります。

閉店予定から逆算して仕入れ量を調整する

閉店日が確定したら、営業への影響を考えながら、

  • 発注ロット
  • 定期仕入れ
  • 季節商品
  • 消費期限・賞味期限
  • 店舗間移動可能な在庫

を見直します。

在庫の処理方法を早く決める

商品によって、

  • 通常販売
  • 閉店セール
  • 他店舗へ移管
  • 仕入先へ返品
  • 専門買取
  • 廃棄

などがあります。

契約・ブランド方針・商品の状態によって利用できる方法は異なります。

在庫を閉店当日まで大量に残し、最後に一括処分する状態を避けることが重要です。

6.見積を「同じ条件」で比較する

原状回復・解体・残置物撤去では、複数の見積を比較することで費用を確認できます。

ただし、総額だけを比較してはいけません。

例えば、

A社:200万円

B社:160万円

でも、B社には、

  • 廃棄物処分別途
  • 夜間工事別途
  • 養生別途
  • 設備撤去別途

があれば、最終金額ではA社を超える可能性があります。

比較条件を揃える

最低でも、

  • 工事範囲
  • 数量
  • 仕様
  • 廃棄物処理
  • 搬出
  • 養生
  • 工事時間
  • 諸経費

を合わせます。

指定業者なら相見積もりできない場合もある

賃貸借契約・ビルルールで原状回復業者が指定されている場合は、借主側が自由に別業者へ発注できないことがあります。

その場合も、

  • 工事範囲
  • 数量
  • 仕様
  • 単価
  • 諸経費

を確認したり、参考見積や第三者査定で価格感を確認したりする方法があります。

「指定業者だから何も確認できない」と考えないようにします。

7.買取・撤去・原状回復の順番を一本化する

閉店作業では、業者を安く選べても工程が悪いと余計な費用が発生します。

例えば、

  • 原状回復業者が厨房機器を一度移動
  • 後日買取業者が再度搬出
  • さらに残置物回収業者が入る

という状態では、人員・車両・養生が重複します。

設備の行き先を先に決める

閉店前に店舗内を、

  • 居抜きで残す物
  • 売却する物
  • 他店舗へ移す物
  • 返却するリース品
  • 廃棄する物

へ分類します。

そのうえで搬出順を決めます。

ワンストップが必ず安いとは限らない

買取・撤去・解体を1社へまとめれば、担当者の工数や搬出の重複を減らせる場合があります。

一方、高価な厨房機器だけは専門買取会社へ出した方が手取りが増えるケースもあります。

そのため、

「1社にまとめるか」「高価値品だけ分離するか」を、最終支払額・最終手取りで比較します。

8.退去期限から逆算し、急ぎ工事を避ける

閉店費用は、同じ工事内容でもスケジュールによって変わることがあります。

期限直前になると、

  • 夜間施工
  • 休日施工
  • 人員追加
  • 緊急車両手配
  • 短納期資材

などが必要になる可能性があります。

閉店日ではなく明渡し日から逆算する

例えば3月31日が物件の明渡し期限なら、3月31日まで営業できるとは限りません。

必要なのは、

営業終了 → 在庫搬出 → 設備・什器搬出 → 原状回復 → 貸主検査 → 是正 → 明渡し

という工程です。

閉店を早く準備することは、業者比較・居抜き・設備売却の時間を増やすことにもつながります。

費用を抑えるなら「何を削らないか」も重要

閉店費用には、交渉・工夫で減らせるものと、安さだけで削ってはいけないものがあります。

従業員対応を単純なコスト削減にしない

店舗閉店に伴って従業員を解雇する場合には、労働関係法令に沿った対応が必要です。

原則として解雇する場合には30日前の予告が必要であり、予告期間が不足する場合には、不足日数に応じた解雇予告手当が必要になることがあります。

また、有期労働契約などでは別の論点もあります。

「閉店費用を減らすために急に従業員を解雇する」という考え方は避け、個別の雇用契約・法令を確認します。

廃棄物を「一番安く持っていく業者」だけで選ばない

店舗から出る事業系廃棄物については、事業者側にも適正処理の責任があります。

処理を外部業者へ委託したからといって、排出した事業者の責任がすべてなくなるわけではありません。

廃棄物撤去では、

  • 必要な許可
  • 委託方法
  • 産業廃棄物管理票が必要なケース
  • 最終処分までの適正処理

などを確認します。

撤去・廃棄については、撤去・廃棄ガイドをご覧ください。

法令上必要な調査・処理を削らない

物件や設備によっては、

  • 石綿の事前調査
  • フロン類の適正回収
  • 廃棄物の適正処理

などが必要になる場合があります。

これらは「見積を安くするために外す」項目ではありません。

必要性・対象範囲・金額の根拠を確認しながら、適法な方法で進めます。

閉店費用は「支出」と「回収」を同時に見る

閉店時には支払う金額だけでなく、戻ってくる・売却できる資産もあります。

例えば、

  • 敷金・保証金返還
  • 造作譲渡代金
  • 厨房機器買取
  • 什器買取
  • 在庫売却

などです。

閉店時の実質負担額を計算する

例えば、

  • 原状回復・撤去等:300万円
  • 解約期間中賃料:150万円
  • その他閉店費:50万円
  • 設備買取:▲50万円
  • 保証金返還:▲200万円

なら、総支出500万円だけを見るのではなく、回収分250万円を含めて資金繰りを考えます。

ただし、敷金・保証金は退去直後に満額返還されるとは限りません。

「最安の業者」より「閉店総額」で比較する

例えば、原状回復会社A社が10万円安くても、

  • 設備買取不可
  • 別途廃棄費30万円
  • 工事開始が遅く追加賃料50万円

なら、閉店全体では高くなる可能性があります。

反対に、工事単価が少し高くても、

  • 設備買取
  • 早期施工
  • 搬出一本化

によって総額が小さくなる場合があります。

閉店では、個々の見積額ではなく「物件を完全に明け渡すまでに最終的に何円出ていくか」で比較します。

閉店費用を抑える順番

実際に動くときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 賃貸借契約・解約予告を確認する
  2. 閉店・退去期限を確定する
  3. 貸主へ原状回復・居抜き条件を確認する
  4. 居抜きの可能性を判断する
  5. 設備・什器・在庫を仕分ける
  6. 売れる物を査定する
  7. 残る原状回復・撤去範囲を確定する
  8. 同条件で見積を比較する
  9. 搬出・工事・検査の工程を確定する

先に解体見積だけ取らない

閉店を決めた直後に「全部壊す前提」で解体見積を取り、そのまま発注すると、

  • 居抜き
  • 造作譲渡
  • 設備買取
  • 貸主との残置交渉

という選択肢を失う場合があります。

閉店費用を抑えるうえでは、壊す前の選択肢が最も多い状態です。

店舗閉店費用削減チェックリスト

  • 解約予告期間を確認した
  • 短期解約違約金を確認した
  • 原状回復範囲を確認した
  • 指定業者を確認した
  • 居抜き可否を貸主へ確認した
  • 造作・設備の所有権を整理した
  • 売れる設備を査定した
  • 在庫量を減らす計画を立てた
  • 廃棄物量を確認した
  • 見積の数量・単価を確認した
  • 見積外・別途項目を確認した
  • 複数業者を同条件で比較した
  • 搬出日を確定した
  • 原状回復工期を確認した
  • 貸主検査・是正日を確保した
  • 従業員対応を確認した
  • 法令上必要な処理を確認した
  • 敷金・保証金の返還時期を確認した

店舗閉店費用についてよくある質問

店舗閉店で一番費用を下げやすいのは何ですか?

案件によりますが、設備・内装の多い店舗では、原状回復範囲や居抜きの可否が総額へ大きく影響する場合があります。単価交渉だけでなく、そもそも工事・廃棄する量を減らせないか確認してください。

原状回復業者を安い会社に変えればよいですか?

貸主指定業者の契約になっている場合は自由に変更できないことがあります。指定の有無を確認し、変更できない場合でも工事範囲、数量、仕様、単価等を確認します。

居抜きなら閉店費用はゼロになりますか?

必ずゼロになるわけではありません。貸主承諾、後継テナント、造作譲渡条件などが整う必要があり、残置物撤去・手数料等が発生する場合もあります。

厨房機器は廃棄するより売った方がよいですか?

中古価値があれば売却した方が閉店収支を改善できる場合があります。年式・型式・状態・搬出条件によって買取価格が変わるため、廃棄前に査定します。

閉店直前でも費用を下げられますか?

見積内容の確認や設備売却などで削減できる可能性はありますが、時間が短いほど居抜き募集・複数見積・業者手配の選択肢が減ります。退去期限を超えるリスクがある場合は、値下げより期限内明渡しを優先する必要があります。

閉店セールをすれば在庫処分費を下げられますか?

在庫を現金化する一つの方法ですが、商品・契約・ブランドポリシーによって適切な処理は異なります。他店舗移管、返品、買取なども含めて検討します。

廃棄業者は一番安い会社を選べばよいですか?

いいえ。事業系廃棄物は排出事業者にも適正処理責任があります。必要な許可・処理方法を確認したうえで費用を比較してください。

従業員を早く辞めてもらえば人件費を減らせますか?

閉店に伴う解雇でも労働関係法令に沿った対応が必要です。解雇予告、有期契約、未払賃金等を確認し、単純な費用削減として処理しないでください。

閉店費用は「安い業者を探す前」に減らせる

店舗の閉店費用を抑えるには、

  1. 契約を早く確認する
  2. 工事範囲を減らせないか確認する
  3. 居抜きを検討する
  4. 設備・什器を売却する
  5. 在庫を早く整理する
  6. 同条件で見積を比較する
  7. 搬出・撤去工程をまとめる
  8. 退去期限から逆算する

という順番で考えます。

見積を受け取ってから「10%安くしてください」と交渉するだけでは、削減できる範囲には限界があります。

原状回復工事そのものを減らす、廃棄予定の設備を売る、余計な賃料期間を作らないなど、支出の発生源を減らした方が効果が大きい場合があります。

店舗閉店では「何を安く買うか」ではなく、「何を支払わずに済ませられるか」「何を売って回収できるか」を先に確認することが、総費用を抑える基本です。

閉店費用全体については、店舗の閉店費用はいくら?をご覧ください。

物件を返すまでの退去費用については、店舗の閉店・退去費用は何にかかる?で整理しています。

居抜きと原状回復のどちらが有利かについては、店舗閉店は居抜きと原状回復のどちらを選ぶ?をご覧ください。

現在すでに原状回復・撤去見積を受け取っていて、居抜き・設備売却を含めてどこから費用を減らせるか整理できない場合は、お問い合わせから店舗業態、面積、退去期限、現在の見積状況をご連絡ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次