オフィスを移転・退去するとき、リース中の複合機は一般的な不要品と同じようには処分できません。
リース物件はリース会社が所有している契約が多く、利用企業の判断だけで廃棄・売却・譲渡すると契約上の問題になる可能性があります。
また、オフィスを退去するからといって、必ずリース契約を終了する必要があるわけでもありません。新オフィスへ移設して契約を継続できる場合があります。
まず契約書とリース会社を確認し、「新オフィスへ移設」「契約終了・返却」「やむを得ない中途終了」のどれになるかを決めることが重要です。
オフィス退去時の複合機は3つの選択肢から確認する
| 選択肢 | 確認すること |
|---|---|
| 新オフィスへ移設 | リース継続可否、移設業者、保守対応、新住所 |
| 契約満了で返却 | 満了日、返却先、搬出方法、返却費、データ消去 |
| 契約途中で終了 | 中途終了条件、支払額、返却方法、保守契約 |
「退去する=解約」と決めず、契約期間と新オフィスでの利用予定から判断します。
最初にリース契約書を確認する
複合機本体を見るだけでは、契約条件は分かりません。
まず、次の項目を確認します。
- リース会社
- 契約番号
- 契約開始日
- 契約満了日
- 月額リース料
- 中途終了に関する条項
- 返却条件
- 物件の所有権
- 移設に関する条件
- 満了後の取扱い
契約書が見つからなければ、経理の支払記録や請求書からリース会社を特定します。
複合機が「リース」なのかも確認する
毎月料金を支払っているからといって、すべてが同じリース契約とは限りません。
複合機には、
- ファイナンスリース
- レンタル
- 割賦
- 購入
- 所有権移転を伴う契約
などがあります。
契約形態によって中途終了、所有権、返却の扱いが変わるため、「複合機のリースだからこうなる」と一律には判断できません。
一般的なリース物件は自社所有ではない
一般的なファイナンスリースでは、複合機の所有者はリース会社です。
そのため、オフィス退去時に不要になっても、利用企業の判断だけで、
- 廃棄する
- 中古業者へ売る
- 他社へ譲る
- 居抜きで次の入居者へ残す
といった処理をしないよう注意します。
最初にリース会社へ連絡し、移設・返却・契約終了の方法を確認してください。
残りのリース料を払えば自社所有になるとは限らない
特に注意したいのが、「残額を全部払えば複合機を買い取ったことになる」という誤解です。
一般的なファイナンスリースでは、中途終了時に残存期間に応じた金額等を支払っても、それだけで所有権が利用企業へ移るとは限りません。
支払い後もリース会社へ物件を返還する契約があります。
実際の所有権と中途終了条件は契約書・リース会社へ確認してください。
新オフィスでも使うなら移設できるか確認する
オフィス移転で複合機を引き続き使用するなら、中途終了せず新オフィスへ移設する方法を検討します。
その際はリース会社や保守会社へ、
- 移設してよいか
- 移設の届出が必要か
- 指定搬送業者があるか
- 移設費はいくらか
- 新住所への契約変更が必要か
- 保守サービスを新住所でも受けられるか
を確認します。
複合機を一般の引越し荷物として運ばない
業務用複合機は大型で重量があり、内部構造も精密です。
エレベーター、階段、搬入口、床養生などの条件によって搬出方法も変わります。
リース会社やメーカー・保守会社から搬送方法を指定される場合もあるため、通常のデスクや椅子と同じ扱いで引越し業者へ渡す前に確認します。
管理会社へ搬出ルールを確認する
複合機を移設・返却するときは、リース会社だけでなく建物側の搬出条件も確認します。
オフィスビルによっては、
- 搬出日時の事前申請
- 貨物用エレベーターの予約
- 搬出経路の指定
- 床・壁の養生
- 作業員の入館申請
などが必要です。
返却期限直前になって搬出できない事態を避けるため、退去工程に組み込みます。
リース契約は原則として途中で自由に解約できるものではない
一般的なファイナンスリースでは、契約期間中の中途解約を原則不可としている契約があります。
オフィス閉鎖などで複合機が不要になっても、「使わなくなったので翌月から支払いを止める」という処理はできない可能性があります。
やむを得ず契約途中で終了する場合は、リース会社が定める条件に従います。
中途終了時の支払額は契約ごとに確認する
中途終了時には、残存リース料相当額や解約損害金などの支払いが必要になる契約があります。
ただし、計算方法や名称、その他の費用は契約によって異なります。
「残り月数×月額だけ」と自己計算せず、リース会社から正式な金額を取得してください。
確認する項目は、
- 中途終了可能日
- 支払総額
- 支払期限
- 返却期限
- 返却場所
- 搬出・輸送費
- その他の契約上の費用
です。
契約満了が近いなら返却・再リースも比較する
退去時期とリース満了時期が近い場合は、中途終了だけでなく満了までの契約継続も比較します。
契約によっては満了後、
- 返却
- 再リース
- 新しい機種へ入替え
などの選択肢があります。
新オフィスで複合機が必要なら、現在の機器を移設するのか、新拠点で新しい機器へ切り替えるのかも含めて比較します。
契約満了後も勝手に処分しない
リース期間が終了したからといって、必ず複合機が自社所有になるわけではありません。
一般的なリースでは、満了後も所有権はリース会社にあり、利用を終了する場合は返却する契約があります。
満了日を迎えたら、契約書とリース会社の案内に従って返却・再リース等を選びます。
返却費・搬出費の負担を確認する
複合機の返却では、返却先までの搬送費や搬出作業費が利用者負担となる契約があります。
オフィスの階数、エレベーター、搬出口、複合機の重量、返却先などによって実際の費用は変わります。
リース会社へ、
- 指定搬送業者があるか
- 返却場所はどこか
- 搬出費を誰が負担するか
- 梱包が必要か
- 返却期限はいつか
を確認してください。
保守契約・カウンター契約はリースと別契約の場合がある
複合機では、本体のリース契約とは別に、メーカーや販売店と保守契約・カウンター契約を結んでいることがあります。
そのため、本体リースの移転・終了手続きだけでは不十分な場合があります。
確認するのは、
- 保守契約先
- カウンター契約先
- 移設時の保守継続
- 最終メーター確認
- 保守契約の終了日
- トナー等の扱い
です。
移設後はネットワーク設定の変更が必要になる
新オフィスへ複合機を移設すると、物理的に設置するだけでは使えないことがあります。
新しいネットワーク環境に合わせて、
- IPアドレス
- DNS
- スキャン送信先
- 共有フォルダ
- メール送信設定
- プリンタードライバー
- FAX・電話回線
などの変更が必要になる場合があります。
ネット回線の移転についてはオフィスのインターネット解約・移転と一緒に工程を組むと整理しやすくなります。
返却前に複合機内部のデータを確認する
現在の複合機は、単に紙をコピーするだけの機器ではありません。
機種や設定によっては、
- コピー・スキャン等に関係するデータ
- アドレス帳
- メールアドレス
- FAX番号
- 認証情報
- ネットワーク設定
などを扱っています。
返却・入替え時は、自社の情報セキュリティ方針に沿ってデータ処理方法を確認します。
リース物件のHDD・SSDを勝手に取り外さない
情報漏洩が心配だからといって、リース会社へ確認せず複合機のHDDやSSDを破壊・取り外すのは避けます。
リース物件はリース会社所有である場合があり、メーカーのデータ消去サービスでもリース会社の事前同意を必要とするケースがあります。
データ消去が必要なら、
- リース会社へ相談する
- メーカー・保守会社の対応方法を確認する
- 必要に応じて消去証明書の発行可否を確認する
- 社内の情報セキュリティ記録を残す
という流れで進めます。
複合機を残置物として処理しない
オフィス退去時には、机、椅子、キャビネットなど大量の物品を撤去することがあります。
その中にリース中の複合機を混ぜて「残置物一式」として撤去業者へ渡さないよう注意してください。
所有者の異なる物を区分し、リース物件にはラベルを付けておくと安全です。
その他の残置物についてはオフィスの残置物撤去も確認してください。
オフィス退去時の複合機処理はこの順番で進める
- リース契約書を探す
- 契約期間・所有権・中途終了条件を確認する
- 新オフィスでも使うか決める
- リース会社へ移設または終了を相談する
- 保守・カウンター契約を確認する
- 搬出方法と建物ルールを確認する
- 内部データの処理方法を確認する
- 移設または返却する
- 新拠点でネットワーク設定を行う
- 最終請求・契約終了を確認する
複合機リースの退去チェックリスト
- リース会社を確認した
- 契約番号を確認した
- リース満了日を確認した
- 所有権を確認した
- 新オフィスで継続使用するか決めた
- 移設可否をリース会社へ確認した
- 中途終了条件を確認した
- 正式な精算額を取得した
- 返却期限を確認した
- 返却先を確認した
- 搬出・返却費を確認した
- 指定搬送業者の有無を確認した
- 管理会社へ搬出申請を確認した
- 保守契約を確認した
- カウンター契約を確認した
- HDD・SSD等のデータ処理方法を確認した
- 貸与機器を勝手に廃棄しないよう区分した
- 新オフィスのネットワーク設定を手配した
オフィス退去時の複合機リースでよくある質問
リース中の複合機を新オフィスへ持っていけますか?
契約によります。移設して契約を継続できる場合がありますが、リース会社への届出や指定された搬送方法が必要になることがあります。移設前に確認してください。
オフィスを閉鎖すればリース契約も自動的に終了しますか?
通常は自動終了とは限りません。リース契約はオフィス賃貸借契約とは別契約なので、リース会社へ手続きする必要があります。
複合機のリースは途中で解約できますか?
一般的なファイナンスリースでは中途解約を原則不可としている契約があります。やむを得ず終了する場合の条件や精算方法はリース会社へ確認してください。
残りのリース料を払えば複合機をもらえますか?
必ずしもそうではありません。中途終了時の支払いを行っても所有権が利用企業へ移らず、機器の返却が必要な契約があります。
リース期間が終われば複合機は自社の物になりますか?
一般的なファイナンスリースでは、満了後もリース会社が所有し、返却または再リースとなる契約があります。一方で異なる契約形態もあるため契約書を確認してください。
複合機を中古買取業者へ売ってもよいですか?
リース会社所有の物件なら、利用企業の判断だけで売却しないでください。まず所有者を確認します。
返却費用はリース会社が負担しますか?
契約によります。利用者側が搬出・返却費を負担する契約もあります。返却前に費用負担を確認してください。
複合機のデータは返却前に消去した方がよいですか?
内部ストレージやアドレス帳等を利用している場合は、情報セキュリティ上の確認が必要です。ただしリース物件を勝手に分解・破壊せず、リース会社やメーカーへ適切な消去方法を確認してください。
データ消去証明書は発行できますか?
メーカーやサービスによってはデータ消去と証明書発行に対応しています。必要な証跡レベルを社内規程と照らして確認してください。
複合機のリースを終了すれば保守契約も自動で終わりますか?
契約先・契約内容によります。本体リースと保守・カウンター契約が別契約の場合があるため、それぞれ確認してください。
複合機は「不要品」ではなく「契約中の物件」として処理する
オフィス退去時のリース複合機で重要なのは、先に撤去業者を呼ぶことではありません。
まず、
- 誰が所有しているか
- 契約がいつまで残っているか
- 新オフィスへ移設するか
- 終了する場合はいくら必要か
- どの方法で返却するか
- 内部データをどう処理するか
を確認します。
オフィス退去全体についてはオフィス移転・退去の進め方、通信環境についてはオフィスのインターネット解約・移転もあわせて確認してください。
複数のリース物件があり退去工程を整理できない、返却と原状回復の順序を組みたい場合は、お問い合わせから明け渡し日、リース物件、移転先の有無などをお知らせください。
