オフィス移転は何ヶ月前から?契約確認から逆算するスケジュール

オフィス移転は、「6か月前から始めれば間に合う」と一律に決められるものではありません。

小規模で内装工事が少ない移転なら比較的短期間で進められることがありますが、物件選定、社内承認、内装・B工事、家具、電話・インターネット、旧オフィスの原状回復まで含めると、半年以上の準備が必要になるケースもあります。

特に重要なのは、新オフィス側だけでスケジュールを作らないことです。

新オフィスの選定・工事・引越しと、旧オフィスの解約・原状回復・明渡しを同じタイムラインで並行管理します。

この記事では、オフィス移転を何か月前から始めればよいかを、固定の月数ではなく、契約と移転希望日から逆算して整理します。やること全体を確認したい場合はオフィス移転のチェックリストもあわせて確認してください。

目次

オフィス移転は5つの日付を先に決めて逆算する

移転スケジュールを作るときは、最初に次の5つの日付を並べます。

  1. 新オフィスの業務開始希望日
  2. 現オフィスの契約終了・明渡し日
  3. 現オフィスの解約予告期限
  4. 新オフィスの引渡し・工事開始可能日
  5. 電話・インターネット等の利用開始日

この5つが決まると、物件選定、内装、家具、IT、引越し、原状回復の開始時期を逆算できます。

逆に、物件探しから先に始めて旧契約の解約予告を後から確認すると、希望日で退去できなかったり、新旧オフィスの賃料が想定以上に重なったりすることがあります。

「6か月前」は目安であって固定ルールではない

オフィス移転では「6か月前から準備」という目安がよく使われます。

これは、事業用オフィスで数か月前の解約予告が設定されているケースがあり、物件選定や内装工事にも時間がかかるためです。

一方で、移転規模や社内意思決定の複雑さによっては、より長い期間が必要になります。

例えば、

  • 移転目的の整理から社内稟議まで時間がかかる
  • 候補エリア・必要面積の検討範囲が広い
  • 1,000坪規模など大型オフィス
  • 内装設計・B工事・設備工事が多い
  • サーバー・ネットワークの移行が複雑
  • 複数拠点を統合する
  • 段階移転する

といった案件では、1年前後またはそれ以上の準備を見込む例もあります。

したがって、「6か月あれば大丈夫」ではなく、自社案件のクリティカルパスから必要期間を算出するのが基本です。

12〜9か月前|移転目的・条件・現契約を整理する

余裕を持って進められる場合は、この時期から計画を始めます。

最初に決めるのは物件ではなく、移転の目的と条件です。

  • なぜ移転するのか
  • 従業員数はどう変わるか
  • 必要面積はどの程度か
  • 出社率・会議室・フリーアドレス等をどう考えるか
  • 希望エリア
  • 賃料上限
  • 移転希望時期
  • 移転予算
  • 社内決裁者・プロジェクト責任者

同時に現オフィスの賃貸借契約書を確認します。

解約予告期間、契約更新日、中途解約、原状回復、指定業者、明渡し条件などを把握しておくと、移転先選定後の手戻りを減らせます。

現オフィスの解約予告についてはオフィスの解約予告を確認してください。

9〜6か月前|物件選定と旧オフィスの退去条件確認を進める

この時期は、新オフィス候補を探しながら、旧オフィス側の退去条件も具体化します。

新オフィス側では、

  • 物件情報収集
  • 内覧
  • 候補比較
  • 入居可能日の確認
  • 内装・工事条件の確認
  • 電気容量・空調・通信環境の確認
  • 賃貸条件交渉

を進めます。

旧オフィス側では、

  • 解約予告期限
  • 原状回復範囲
  • 指定業者の有無
  • 工事可能時間
  • 明渡し期限
  • 敷金・保証金の精算条件

を確認します。

新オフィス選定だけに集中すると、旧オフィスの原状回復工期が後から足りなくなることがあります。

6〜4か月前|新オフィス契約・レイアウト・原状回復見積を並行する

移転先が絞れてきたら、新旧両オフィスの実行準備へ入ります。

新オフィス側

  • 賃貸条件の最終確認
  • 契約締結
  • レイアウト設計
  • 内装仕様決定
  • 電源・LAN・電話計画
  • 家具・什器計画
  • 工事区分・B工事確認

旧オフィス側

  • 原状回復の現地調査
  • 見積取得
  • 工事範囲確認
  • 什器・OA機器の移設・買取・廃棄区分
  • 工期確認

この時期には、移転後すぐ旧オフィスの原状回復へ入れるよう、見積と工事条件を先に確認しておきます。

原状回復についてはオフィスの原状回復、費用はオフィス原状回復費用を確認してください。

4〜3か月前|内装・B工事・IT・引越しを具体化する

新オフィス側では、工事・設備・ITの詳細を固めます。

  • レイアウト最終決定
  • 内装・設備工事発注
  • B工事内容・金額確認
  • 家具・什器発注
  • LAN・電話・インターネット手配
  • 複合機・OA機器の移設手配
  • 引越し業者の比較・発注

インターネット回線は、建物設備や事業者、工事内容によって開通までの期間が変わります。

移転直前に申し込むのではなく、物件が決まり次第、利用可能な回線・工事の要否・開通可能日を確認してください。

電話・インターネット移転はオフィスの電話・インターネット移転を確認してください。

3〜2か月前|社員・取引先・各種届出の準備を始める

新オフィスの工事と並行して、社内外への変更対応を進めます。

  • 社員への移転案内
  • 座席・部署配置確定
  • 取引先への案内準備
  • Webサイト・名刺・会社案内等の住所変更準備
  • 郵便物・宅配等の対応
  • 各種行政・登記・税務・社会保険等の届出確認
  • 入退館・セキュリティ設定

届出によって提出期限や提出先が異なるため、「引越し当日にまとめて処理」ではなく、事前に一覧化します。

住所変更手続きはオフィス移転の住所変更・届出で確認してください。

2〜1か月前|移転当日の実行計画を確定する

この時期には、工事・搬入・引越しの具体的な日時と担当者を確定します。

  • 新オフィス工事完了予定日
  • 家具搬入日
  • IT機器設置・テスト日
  • 引越し日
  • 旧オフィス最終稼働日
  • 原状回復着工日
  • 貸主検査予定日
  • 明渡し日

ここでは「新オフィスへ移る日」だけでなく、「旧オフィスを完全に返せる日」まで工程表へ入れます。

移転直前|新オフィスを先に稼働確認する

引越し直前には、新オフィスが実際に業務できる状態か確認します。

  • 電源
  • LAN
  • インターネット
  • 電話
  • Wi-Fi
  • 複合機
  • 会議室設備
  • セキュリティ
  • 入退館
  • 空調

「工事が終わった」ことと「業務ができる」ことは同じではありません。

可能であれば、実際の利用開始前に通信・機器・入退館をテストします。

引越し当日〜直後|新オフィス稼働と旧オフィス原状回復を並行する

移転後は、新オフィスの業務開始と旧オフィスの退去作業が重なります。

旧オフィスでは、

  • 残置物確認
  • 不要什器・OA機器の搬出
  • 原状回復工事
  • 清掃
  • 貸主確認
  • 是正工事
  • 鍵・カード等の返却

を進めます。

「引越しが終わってから原状回復業者を探す」のではなく、引越し直後から着工できるよう前もって準備します。

引越しと原状回復は同時に進めてもよい?

新オフィスの準備と旧オフィスの原状回復は、プロジェクト全体では同時並行で進めます。

ただし、旧オフィスの執務エリアを使用している間は、本格的な撤去・解体ができない場合があります。

そのため、

  • 引越し前:見積、契約確認、工事申請、撤去対象整理
  • 引越し直後:什器・残置物搬出
  • 搬出後:本格的な原状回復工事
  • 工事後:貸主検査・是正

という形で、準備は前倒しし、施工は引越し後へつなげる工程が一般的です。

二重家賃はどこで発生する?

新オフィスの賃料発生日と旧オフィスの契約終了日が重なると、二重家賃・二重賃料が発生します。

ただし、この重複期間は単なる無駄とは限りません。

新オフィスの内装・IT準備や、引越し後の旧オフィス原状回復を安全に行うために一定の重複期間が必要になる場合があります。

二重家賃を無理にゼロにするのではなく、

  • 新オフィスの賃料発生日
  • 入居可能日
  • 工事完了日
  • 引越し日
  • 旧オフィス原状回復完了日
  • 旧契約終了日

を並べ、不要な重複だけを減らします。

具体的な計算はオフィス移転の二重家賃を確認してください。

小規模オフィスと大規模オフィスで期間が違う理由

比較的短期間で進めやすいケース

  • 小規模オフィス
  • セットアップオフィス
  • 内装変更が少ない
  • 既存家具を多く利用する
  • IT構成がシンプル
  • 決裁者が少ない

長期間になりやすいケース

  • 大規模オフィス
  • 複数部署・拠点の統合
  • 設計コンペを行う
  • 内装・設備工事が多い
  • B工事が多い
  • サーバールーム等の特殊設備がある
  • 社内承認段階が多い
  • 段階移転を行う

小規模移転は小規模オフィス移転、大規模案件は大規模オフィス移転で詳細を確認してください。

オフィス移転スケジュールのモデル例

以下は一例です。自社の契約・規模・物件条件に合わせて前後させてください。

時期 新オフィス 旧オフィス
12〜9か月前 移転目的・条件・予算整理 契約更新・解約予告・原状回復条件確認
9〜6か月前 物件探索・内覧・候補比較 退去条件・明渡し工程確認
6〜4か月前 契約、レイアウト、工事計画 原状回復現調・見積
4〜3か月前 内装・B工事・家具・IT発注 什器・OAの移設/買取/廃棄判断
3〜2か月前 工事進行、届出準備 原状回復範囲・工期確定
2〜1か月前 工事完了、通信テスト、搬入準備 最終稼働日・搬出工程確定
移転日 引越し・業務開始 搬出完了
移転後 不具合対応・運用調整 原状回復、貸主確認、明渡し

オフィス移転スケジュールで遅れやすいポイント

現オフィスの解約予告確認が遅い

希望移転日だけを決めても、現契約の終了日を合わせられなければ二重賃料が長くなる可能性があります。

物件契約後に内装条件を初めて確認する

工事区分、工事可能時間、指定業者、電気容量、通信環境などが想定と違うと工程が延びます。

インターネットを直前に申し込む

建物側工事や現地調査が必要になる場合があります。物件決定後、早い段階で確認します。

原状回復を引越し後に考え始める

引越し後すぐ着工できず、明渡し期限までの工期が足りなくなることがあります。

社内承認・意思決定期間を入れていない

物件、レイアウト、工事、家具、追加予算など、移転プロジェクトでは複数回の承認が必要になることがあります。

オフィス移転スケジュールFAQ

オフィス移転は何か月前から始めればよいですか?

一般的に6か月前程度を目安とする例がありますが、案件によっては1年前後またはそれ以上の準備が必要です。現契約の解約予告、新オフィス選定、工事、IT、原状回復から逆算してください。

6か月前からなら必ず間に合いますか?

必ずとはいえません。大型オフィス、工事が多い案件、社内承認が複雑な案件では不足する場合があります。

最初に何を確認すればよいですか?

移転目的と希望時期を整理したうえで、現オフィスの賃貸借契約書、特に解約予告期間と原状回復条件を確認します。

新オフィスを決めてから現オフィスを解約すべきですか?

一律には決められません。先に解約すると移転先が決まらないリスクがあり、遅すぎると二重賃料が長くなる可能性があります。契約期限と物件選定状況を見ながら判断します。

旧オフィスの原状回復はいつ見積もりますか?

引越し後ではなく、移転先選定・契約準備と並行して早めに現地調査・見積を行います。

引越しと原状回復は同時にできますか?

準備は同時並行できます。本格的な原状回復は搬出後に行う部分が多いため、引越し直後から施工へ入れるよう事前に発注・申請を済ませます。

二重家賃は避けた方がよいですか?

不要な重複は減らした方がよい一方、新オフィスの準備や旧オフィスの原状回復に必要な期間まで削ると移転リスクが高まります。

オフィス移転は新旧2本の工程を1枚で管理する

オフィス移転スケジュールで最も重要なのは、新オフィス側と旧オフィス側を別々に管理しないことです。

新オフィス:物件 → 契約 → 設計 → 工事 → IT → 引越し

旧オフィス:解約 → 原状回復見積 → 搬出 → 工事 → 貸主確認 → 明渡し

の2本を同じ工程表に並べます。

そのうえで、希望移転日ではなく、解約予告・工事・IT開通・明渡しの中でもっとも時間がかかる工程から逆算します。

移転時の全タスクはオフィス移転チェックリスト、旧オフィス退去の実務はオフィス退去チェックリスト、移転費用はオフィス移転費用もあわせて確認してください。

新旧オフィスの契約・工事・引越し・原状回復を一つの工程表に整理したい場合は、お問い合わせから相談できます。

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