小規模オフィスの移転はどう進める?費用・業者選び・やることを解説

小規模オフィスの移転では、「人数が少ないから自分たちだけでできる」「規模が小さいから移転業者へ全部任せるほどではない」と考えやすくなります。

しかし、荷物が少なくても、旧オフィスの解約、原状回復、新オフィスの内装、電話・インターネット、家具・OA機器、各種手続きまで含めると、移転は単なる引越しではありません。

一方で、大規模オフィスと同じようにすべてを外注すると、小規模案件では必要以上に管理費や手配範囲が膨らむこともあります。

小規模オフィスでは、自社で行う作業と、専門業者へ任せる作業を最初に切り分けることが、費用と担当者の負担を両方抑えるポイントです。

小規模オフィス移転で先に決めること
  • いつ新オフィスで業務を開始するか
  • 旧オフィスをいつまでに明け渡すか
  • 社内で対応できる作業はどこまでか
  • 内装・IT・引越し・原状回復を誰へ依頼するか
  • 家具・OA機器を持っていく、売る、処分するのどれか
  • 通常業務を何日止められるか

オフィス移転全体のやることを先に確認したい場合は、オフィス退去・移転の全体手順もあわせて確認してください。

目次

小規模オフィスは何人・何坪まで?

「小規模オフィス」に全国共通の人数・面積の定義があるわけではありません。

10人以下を小規模とするサービスもあれば、30坪未満、50人以下などを対象にしている会社もあります。

この記事では、人数や坪数そのものより、専任の移転プロジェクトチームを置かず、経営者や総務担当者が通常業務と兼任して進める規模を主に想定します。

同じ20人の会社でも、デスクとPCだけの事務所と、サーバー、電話設備、会議室、造作、複数の大型複合機を持つオフィスでは移転の難易度が異なります。

人数だけで「小さいから簡単」と判断せず、移動する物量と必要工事から考えます。

小規模オフィス移転でやることは7段階

1.新オフィスの稼働日と旧オフィスの明渡し日を確認する

最初に、新オフィスで業務を始める日だけでなく、旧オフィスの賃貸借契約終了日・明渡し日を確認します。

旧オフィスには解約予告期間があり、退去前には原状回復工事が必要になる場合があります。

新オフィスへの引越しが終わっても、旧オフィスの契約が自動的に終了するわけではありません。

新旧オフィスの日程を一つのカレンダーへ並べて、二重に賃料が発生する期間や原状回復期間を把握します。

何ヶ月前から動くかは、オフィス移転のスケジュールで確認できます。

2.新オフィスで必要な工事を確認する

小規模オフィスでも、物件へ入居してすぐ働けるとは限りません。

確認するのは、たとえば次のような内容です。

  • レイアウト変更
  • パーティション
  • 電源・コンセント
  • 照明
  • 電話・LAN配線
  • インターネット回線
  • セキュリティ
  • 家具・什器の設置

既存内装をそのまま使える物件であれば工事を減らせます。

反対に、小さなオフィスでも電気、空調、防災設備などに手を加える場合は、管理会社への申請や指定業者による工事が必要になることがあります。

3.「自社でやること」と「外注すること」を分ける

小規模移転で最も重要なのが、この切り分けです。

すべてをワンストップ会社へ任せれば担当者の負担を減らせますが、自社で簡単にできる作業まで含めると費用が増える場合があります。

一方、すべて自力で進めると、電話・ネットワーク・大型家具・原状回復など専門性が必要な部分でトラブルが起きやすくなります。

作業 自社対応しやすい 専門業者を検討したい
社員の私物・書類梱包 ○ ―
移転対象物の一覧作成 ○ ―
住所変更先の一覧化 ○ ―
デスク・書庫等の搬出 小型なら可能 重量物・大量なら推奨
複合機・サーバー等 機器による 専門業者・保守会社を確認
電話・LAN・インターネット 簡易設定 配線・回線・PBX等は専門対応
電気・内装工事 ― 専門業者
旧オフィス原状回復 ― 契約・工事区分を確認して専門業者

自社で対応する範囲は、「社員ができるか」だけではなく、通常業務を止める時間まで含めて判断します。

4.家具・OA機器を「持っていく・返す・売る・処分する」に分ける

小規模オフィスでは、既存家具をそのまま移転先で使うことで新規購入費を抑えられる場合があります。

ただし、移転先の寸法に合わない家具まで運ぶと、運送費を払った後に処分することになります。

移転前に、デスク、チェア、書庫、会議テーブル、複合機、電話機器などを次の4つに分けます。

  1. 新オフィスへ持っていく
  2. 貸与品・リース品等を所有者へ返却する
  3. 買取査定へ出す
  4. 廃棄・処分する

オフィス家具の売却については、オフィス家具の買取、OA機器はOA機器の買取も確認してください。

特にリース品は自社所有ではないため、勝手に売却・処分せず、リース契約を確認します。

レンタル品や取引先からの貸与品、ビル管理会社の備品も、移転先へ持ち出したり売却したりする前に所有者と契約条件を確認します。移転対象を持っていく・返却する・売却する・処分するの4つに分け、返却期限と搬出担当を一覧にしておくと手配漏れを防ぎやすくなります。不要品全体の分類はオフィスの不用品を処分する手順でも確認できます。

5.電話・インターネット・LANを早めに確認する

小規模オフィスでは、机や荷物の移動よりも、通信環境が間に合わず業務を開始できないことの方が大きな問題になる場合があります。

新オフィスが決まったら、インターネット回線、固定電話、代表番号、ビジネスフォン、LAN配線、Wi-Fiなどの移行方法を確認します。

建物の回線状況や工事内容によっては、申し込みから利用開始まで時間がかかることがあります。

「引越し業者を決めてから通信を考える」のではなく、物件確定後の早い段階で利用可能な回線と工事要否を確認します。

旧オフィス側のインターネットについても、解約日と新オフィスの開通日を重ねておく必要がある場合があります。

電話番号の継続、回線移転・新規契約、LAN配線、機器設定の確認方法はオフィス移転時の電話・インターネットの移し方も参照してください。

6.必要な業者だけを選ぶ

小規模オフィスの移転業者は、大きく「引越し中心」「内装・ITまで対応」「移転全体を一括管理」のタイプに分けて考えると整理しやすくなります。

単純な荷物移動だけなら、法人引越し業者を中心に検討できます。

一方、レイアウト変更、電話・LAN、家具、旧オフィス原状回復まで同時に進める場合は、複数業者を自社で管理するか、窓口をまとめるかを決めます。

重要なのは「ワンストップだから良い」「分離発注だから安い」と決めつけないことです。

どこまで自社で管理できるかを先に決め、その不足部分を埋められる会社を選びます。

業者比較の詳しい判断軸は、オフィス移転業者の比較・選び方で確認してください。

7.旧オフィスの原状回復と明渡しまで終える

新オフィスへの引越しが終わった後も、旧オフィス側の作業が残ります。

家具・OA機器・残置物を搬出し、賃貸借契約で必要な原状回復工事を行い、貸主・管理会社の確認を受けて明け渡します。

小規模オフィスでも、原状回復工事を引越し後に初めて確認すると明渡し期限に間に合わないことがあります。

見積・工期は移転前から確認しておきます。

原状回復費用については、オフィスの原状回復費用を参照してください。

原状回復の完了後は、貸主・管理会社による確認、必要な是正工事、鍵・入館カードの返却まで予定に入れます。荷物を運び終えた日と旧オフィスの明渡し完了日は別であることを、工程表上でも明確にしてください。

小規模オフィスはどこまで自分たちで移転できる?

社員数が少なく、荷物も少ない場合、自社の車やレンタカーで運べそうに見えることがあります。

自力移転が可能かどうかは、人数より次の条件で判断します。

  • 大型・重量家具があるか
  • 複合機・サーバーなど精密機器があるか
  • 搬出元・搬入先にエレベーターがあるか
  • ビルの搬出入時間に制限があるか
  • 養生が必要か
  • 社員が作業することで通常業務へ影響しないか
  • 破損・事故時の責任をどうするか

社員数が5人でも、階段しかない物件から大型書庫や複合機を搬出するなら、専門業者を使った方が安全な場合があります。

逆に、ノートPCと少量の家具だけで、移転先も近距離であれば、自社対応できる範囲は広くなります。

ワンストップ発注と分離発注はどちらが向く?

ワンストップが向いているケース

担当者が通常業務と兼任しており、複数の施工会社・通信会社・引越し業者との日程調整に時間を割けない場合は、窓口をまとめるメリットがあります。

内装、IT、引越し、旧オフィス原状回復を同じ工程で調整できるため、担当者の管理工数を減らしやすくなります。

ただし、どこまで自社施工で、どこから協力会社へ再委託するのか、管理費がどこに含まれているかは確認します。

分離発注が向いているケース

新オフィスの内装がほぼ不要で、通信は既存の保守会社、引越しは法人引越し業者、原状回復は貸主指定業者というように、担当会社が最初から決まっている場合は分離発注の方がシンプルなことがあります。

また、自社側で工程を管理できれば、それぞれ専門会社から直接見積を取得しやすくなります。

一方、誰が全体スケジュールを管理するのかが曖昧になると、工事日程の衝突や作業漏れが起こります。

小規模オフィス移転でかかる費用

小規模だからといって、費用が引越し代だけになるわけではありません。

主に確認したいのは、次の費用です。

費用区分 主な内容
新オフィス契約 敷金・保証金、仲介、前払賃料等
内装・設備 レイアウト、電気、照明、パーティション等
IT・通信 インターネット、電話、LAN、Wi-Fi等
引越し 梱包、搬出、輸送、搬入、養生等
家具・OA 新規購入、移設、設定、廃棄
旧オフィス 原状回復、残置物・不用品処理
重複期間 新旧オフィスの賃料等

小規模移転では、一つひとつの工事額が小さくても、複数業者の最低料金や出張費、管理費などが重なることがあります。

一方、一括発注によって必ず安くなるとも限りません。

総額を比較するときは、オフィス移転費用で費目全体を整理してから見積を比較します。

費用を抑えるなら「削る」より重複をなくす

小規模オフィスの移転費用を抑えるとき、必要な工事まで削るのではなく、二重発注や不要な購入を減らす方が現実的です。

たとえば、既存家具をそのまま使えるのに新品へ総入れ替えする、移転先に合わない家具を一度運んでから処分する、引越し会社と内装会社の両方へ同じ搬出作業を計上する、といった重複を避けます。

また、社員に梱包を任せる場合も、その人件費と通常業務への影響まで考えます。

「社員がやれば無料」というわけではありません。

週末だけで小規模オフィスを移転できる?

荷物が少なく、新オフィスの内装・通信環境が完成していれば、金曜日の業務終了後から週末に搬出・搬入し、月曜日から新オフィスで業務を始められるケースがあります。

ただし、小規模だから必ず1日・週末だけで完了するわけではありません。

インターネット工事、電話設定、家具組立、ビル搬入申請、エレベーター利用時間、原状回復などは別日程になる場合があります。

週末移転を目指す場合は、「荷物を運ぶ日」だけでなく、月曜日の始業時点で電話・ネットワーク・PC・複合機が使える状態までを確認します。

移転初日に業務を再開するための動作確認

搬入が終わっても、電話やネットワークが使えなければ通常業務を再開できません。とくに移転を兼務で担当する小規模オフィスでは、誰が確認するかをあらかじめ決めておきます。

  • インターネットへ接続できる
  • 電話の発信・着信、代表番号への着信を確認できる
  • PC・モニター・周辺機器を通常どおり使える
  • 複合機・プリンターの印刷・スキャンを確認できる
  • 共有サーバー・クラウドサービスへアクセスできる
  • Wi-Fiを必要な執務エリアで利用できる
  • 入退室管理・セキュリティ設備が機能する
  • デスク・チェア・会議設備が業務可能な状態で設置されている

可能なら移転日より前に通信・電気・ネットワークの動作を試し、当日は機器の再接続と利用確認に集中できる状態を作ります。社員や顧客への連絡、請求書・ウェブサイト・登記等の住所変更も担当を分け、オフィス移転時の住所変更届を確認してください。

小規模オフィス移転で起きやすい失敗

引越し業者だけ決めて安心する

引越し会社は荷物の搬出入を担当しても、インターネット、電話、内装、旧オフィス原状回復まですべて担当するとは限りません。

契約範囲を確認します。

家具が新オフィスに入らない

現在使っているデスクや書庫を再利用する場合は、新オフィスの寸法・入口・エレベーターを確認します。

インターネットの開通が間に合わない

PCを運び終えても回線が使えなければ業務を開始できません。物件確定後、早めに利用可能な回線・工事条件を確認します。

原状回復を引越し後まで放置する

旧オフィスの契約終了日から工期を逆算し、移転前に範囲と見積を確定しておきます。

不要な家具まで新オフィスへ運ぶ

運搬費を支払った後に廃棄すると二重コストになります。移転前に再利用・買取・処分を分けます。

小規模オフィス移転の業者を選ぶ7つの確認項目

  1. 自社と近い規模の移転実績があるか
  2. 引越し以外にどこまで対応するか
  3. 内装・IT・原状回復を誰が施工するか
  4. 再委託する範囲が分かるか
  5. 見積の対象範囲が明確か
  6. 休日・夜間・ビル指定時間に対応できるか
  7. 移転後の不具合や追加対応の窓口があるか

会社の規模そのものより、今回必要な作業と業者の得意領域が合っているかを確認します。

よくある質問

5〜10人程度なら自分たちだけで引越しできますか?

荷物量、重量物、搬出経路、IT設備などによります。ノートPCと少量の家具中心なら自社対応できる部分は多くなりますが、複合機、大型書庫、サーバー等がある場合は専門業者を検討してください。

小規模オフィスなら1日で移転できますか?

1日で搬出・搬入できる案件はありますが、一律ではありません。物量、距離、エレベーター、搬入時間、家具組立、ネットワーク、内装等によって変わります。

30坪以下なら小規模オフィスですか?

小規模の定義はサービス会社等によって異なります。坪数だけでなく、社員数、物量、工事・IT設備、担当体制から必要な移転方法を判断してください。

ワンストップ会社へ全部頼むと高くなりますか?

必ず高くなるわけではありません。担当者の調整工数を減らせる一方、管理費や再委託費が含まれる場合があります。分離発注した場合の社内管理負荷も含めて比較します。

今のオフィス家具はそのまま使えますか?

新オフィスの寸法・レイアウト・搬入経路に合えば再利用できます。移転前に採寸し、使わない家具は買取・処分を検討すると不要な運搬を減らせます。

電話やインターネットは引越し直前に申し込めばよいですか?

おすすめできません。建物や回線事業者によって工事が必要になる場合があるため、新オフィスが決まった段階で早めに確認してください。

小規模オフィスでも原状回復業者は必要ですか?

契約上必要な工事内容によります。借主施工の内装・設備がほとんどない場合でも、契約・特約で返還条件を確認します。工事が必要なら専門業者へ見積を依頼してください。

小規模オフィス移転は「全部自分で」と「全部お任せ」の間を設計する

小規模オフィスの移転では、大企業のような専任プロジェクト体制をそのまま作る必要はありません。

一方、人数が少ないからといって、内装・通信・重量物・原状回復まで社員だけで対応する必要もありません。

まず、新オフィスと旧オフィスで必要な作業を一覧化し、自社で安全かつ通常業務へ大きな影響なく対応できる部分と、専門会社へ任せる部分を分けます。

そのうえで、家具・OA機器の再利用や買取、電話・インターネットの先行手配、引越し、旧オフィス原状回復を一つの工程として管理すると、小規模でも抜け漏れの少ない移転にしやすくなります。

小規模オフィスの移転・退去について相談する

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次