オフィス移転が決まると、旧オフィスの電気をいつ解約するかも決める必要があります。
ただし、社員が新オフィスへ移った日や通常業務を終了した日に、そのまま電気を止めてよいとは限りません。
旧オフィスではその後も、OA機器の搬出、サーバー・ネットワーク設備の撤去、パーティション撤去、原状回復工事、清掃、設備確認、退去立会いなどが残ることがあります。
オフィスの電気停止日は「社員がいなくなる日」ではなく、「旧オフィスで最後に電気が必要となる作業が終わる日」から決めるのが基本です。
オフィスの電気は退去日に止めればよいとは限らない
オフィス移転では、次の3つの日付が別になることがあります。
- 社員が旧オフィスで勤務を終了する日
- 原状回復工事が終わる日
- 貸主へ物件を明け渡す日
たとえば9月20日に社員が新オフィスへ移り、9月21日から28日まで原状回復工事、29日に完了確認、30日に明け渡すのであれば、20日に電気を止めると工事や設備確認へ影響する可能性があります。
まずは旧オフィスで電気を最後に使う工程を確認します。
電気停止前に確認するオフィス退去の工程
| 工程 | 電気が必要になる例 |
|---|---|
| 通常業務終了 | PC、照明、空調、複合機 |
| OA・IT撤去 | サーバー停止、ネットワーク機器、動作確認 |
| 什器搬出 | 照明、エレベーター関連作業等 |
| 原状回復 | 照明、電動工具、設備工事 |
| 清掃 | 照明、掃除機等 |
| 完了確認 | 照明・空調・設備等の確認 |
すべての工程で電気が必要とは限りません。
施工会社、移転業者、IT担当者、管理会社へ確認し、最後に必要となる日を確定します。
原状回復工事が終わる前に電気を止めない
オフィスの原状回復では、パーティションや床・壁だけでなく、電気・通信配線、照明、空調などを扱うことがあります。
工事そのものにも照明や電動工具の電源が必要になる場合があります。
電気停止日を決める前に施工会社へ、
- 工事用電源を使うか
- 照明を使用するか
- 空調を使用するか
- 電気設備の動作確認をするか
- 完了検査まで通電が必要か
を確認してください。
オフィスの内装解体についてはオフィスの内装解体も参考になります。
パーティション撤去や電気配線撤去との順序も確認する
パーティションにコンセント、スイッチ、LAN、電話配線などが組み込まれている場合、撤去工事と電気・通信設備の処理が連動します。
電源が生きている設備を施工会社が扱う場合もあるため、借主が先に契約を停止すればよいとは限りません。
工事側で停電・復電を管理する場合もあります。
オフィスのパーティション撤去もあわせて確認してください。
サーバー・ネットワーク機器を停止してから電気を解約する
オフィスでは店舗以上に注意したいのがIT設備です。
旧オフィスに、
- サーバー
- NAS
- ルーター
- ONU
- UTM
- ネットワークスイッチ
- 電話主装置
- 監視カメラ
- 入退室管理設備
などが残っている場合があります。
電気を止める前に、IT担当者や保守会社へ停止・移設・撤去の完了を確認します。
特にサーバー等は、電源を突然失うのではなく、適切な停止手順が必要な機器があります。
セキュリティ設備が残っていないか確認する
社員の移転後も、明け渡しまで旧オフィスに什器や機器が残っている場合があります。
その期間に、
- 機械警備
- 監視カメラ
- 入退室管理
- 電気錠
などを使用するなら、電気停止との順序を確認します。
警備会社との契約終了日と電気停止日を別々に設定する場合もあります。
完了検査で設備を動かすなら電気を残す
原状回復工事が終わった後、貸主・管理会社による完了検査が行われることがあります。
その際に照明、空調、電気設備などを確認するなら、検査前に電気を止めると確認できなくなる可能性があります。
施工会社が「工事完了」と判断する日と、貸主側が「原状回復完了」と確認する日は同じとは限りません。
原状回復の完了検査まで含めて停止日を決めます。
オフィスでは電灯と動力が別契約になっていることがある
電気契約を確認するときは「電気の契約が一つ」と決めつけないようにします。
物件によっては、
- 電灯
- 動力
- その他設備用電源
など複数の契約が存在することがあります。
一つだけ停止手続きをして、別の契約が残ってしまうと、退去後も基本料金等が発生する可能性があります。
請求書や契約情報から、旧オフィスに紐づく契約を洗い出してください。
契約番号・お客さま番号を一覧にする
総務担当者が停止手続きをする場合は、次の情報を一覧にしておくと確認しやすくなります。
- 契約先の電力会社
- 契約名義
- お客さま番号
- 供給地点
- 契約種別
- 請求先
- 支払方法
- 停止希望日
複数フロアを借りている企業では、フロアや区画ごとに契約が分かれていないかも確認します。
高圧・特別高圧は通常の電気解約と分けて考える
大規模オフィスや一棟利用などでは、高圧・特別高圧の電気契約が関係する場合があります。
この場合、一般的な低圧契約の「引越しによる使用停止」と同じ手続きとは限りません。
法人向けの廃止申込、設備側の対応、電気主任技術者や工事会社との調整などが関係するケースがあります。
高圧・特別高圧の場合は、現在契約している電力会社へ早い段階で廃止手続きと必要期間を確認してください。
高圧契約では停止申込みを早めに確認する
低圧電気では比較的直前まで停止申込みを受け付ける事業者もありますが、高圧契約では同じ感覚で進めない方がよいでしょう。
必要な書類や処理期間が異なる可能性があるため、退去工程が決まった段階で契約先へ確認します。
特に、
- 停止希望日
- 廃止申込期限
- 必要書類
- 設備撤去の有無
- 現地作業の有無
- 立会いの要否
を確認してください。
ビルから電気代を請求されている場合は電力会社へ直接解約しないことがある
賃貸オフィスでは、借主が電力会社と直接契約せず、ビル側が電気を供給・検針し、賃料や諸経費と一緒に電気代を精算している物件があります。
この場合、借主が電力会社へ「解約」の連絡をするのではなく、管理会社・貸主側の退去手続きの中で最終検針・精算を行うことがあります。
まず、現在の電気料金を誰に支払っているか確認してください。
一括受電・子メーターの場合も管理会社へ確認する
オフィスビル全体で電気を受け、各テナントを子メーターで計量している場合もあります。
その場合は、
- 最終検針日
- 退去日のメーター確認
- 最終請求
- 電気設備の撤去範囲
などを管理会社へ確認します。
小売電気事業者のWebサイトから自己判断で使用停止を申し込む前に、契約・請求形態を確認することが重要です。
電気停止には立会いが必要か
一般的な電気の使用停止では、立会い不要としている電力会社があります。
ただし設備状況によって現地作業が必要となり、立会いを求められる場合があります。
また、高圧設備やビル独自の受電方式では別途調整が必要になる可能性があります。
「電気停止は必ず立会い不要」とは考えず、申込み時に確認してください。
停止日当日まで電気を使えるか確認する
電力会社によって停止日の扱いも確認します。
たとえば停止日当日中まで利用できる契約であれば、完了検査日を停止日に設定できる場合があります。
一方で、契約や設備によって扱いが異なる可能性があるため、施工会社が「午後まで必ず電源が必要」など具体的な条件を持っている場合は、停止時刻まで契約先へ確認します。
旧オフィスと新オフィスの電気は別々に管理する
オフィス移転では、旧オフィスの電気停止と新オフィスの電気開始を同時期に管理する必要があります。
しかし、日付は必ずしも同じではありません。
新オフィスでは、社員の入居前から、
- 内装工事
- 什器搬入
- ネットワーク構築
- PCセットアップ
- 空調確認
などで電気が必要になることがあります。
一方、旧オフィスも社員移転後に原状回復工事で電気を使います。
一定期間、旧・新の両方で電気契約が続くことを前提にスケジュールを組む方が実務的です。
オフィスの電気停止日は明け渡し日から逆算する
停止日を決めるときは、次の順番で逆算します。
- 物件の明け渡し日を確認する
- 退去立会い・完了検査日を確認する
- 原状回復完了日を確認する
- IT・OA設備撤去日を確認する
- 什器搬出日を確認する
- 電気を最後に必要とする日を確定する
- 契約先の停止申込期限を確認する
- 停止手続きを行う
オフィスの明け渡し手順と並行して管理すると漏れを防ぎやすくなります。
電気停止前のチェックリスト
- 契約している電力会社を確認した
- 管理会社から電気代を請求されていないか確認した
- 電灯・動力など複数契約がないか確認した
- 高圧・特別高圧か確認した
- サーバーを停止・移設した
- ネットワーク機器を撤去した
- 複合機等を移設・返却した
- 機械警備の終了日を確認した
- 原状回復工事で電気を使うか確認した
- 完了検査で電気設備を確認するか確認した
- 管理会社の最終検針方法を確認した
- 停止申込期限を確認した
- 立会いの要否を確認した
- 最終請求方法を確認した
オフィスの電気解約でよくある質問
社員が新オフィスへ移った日に電気を止めてもよいですか?
旧オフィスで原状回復、OA・IT撤去、清掃、設備確認などが残っているなら、まだ電気が必要な可能性があります。各業者へ確認してから停止日を決めてください。
原状回復工事中も電気は必要ですか?
工事内容によります。照明、電動工具、設備確認などで使用する場合があります。施工会社へ確認してください。
電灯と動力がある場合は一度の手続きで解約できますか?
契約先によります。複数契約がある場合、それぞれ停止申込みが必要となる事業者があります。契約番号を洗い出して確認してください。
高圧電力もWebから通常の引越し解約をすればよいですか?
通常の低圧契約と手続きが異なる場合があります。法人向けの廃止手続きや書類提出が必要なケースがあるため、契約中の電力会社へ確認してください。
電気停止に立会いは必要ですか?
一般的な使用停止は原則立会い不要としている電力会社がありますが、設備状況などによって立会いが必要になる場合があります。
ビルから電気代を請求されています。電力会社へ解約連絡しますか?
ビル側で一括供給・検針している可能性があります。管理会社へ契約方式と退去時の最終検針・停止手続きを確認してください。
電気は停止日の何時まで使えますか?
契約先の扱いを確認してください。停止日当日中まで利用できる電力会社もありますが、工事や検査で特定時刻まで電源が必要なら事前確認が必要です。
旧オフィスと新オフィスの電気料金が重なるのは問題ですか?
移転前後は、新オフィスの準備と旧オフィスの原状回復が並行するため、一定期間両方の電気契約が続くことがあります。無理に重複期間をゼロにすると移転・工事へ支障が出る可能性があります。
オフィスの電気は「業務終了日」ではなく「最後に電気を使う日」で止める
オフィス退去時の電気停止で重要なのは、社員がいつ移転するかだけではありません。
確認するのは、
- IT・OA設備の停止と撤去
- 什器搬出
- 原状回復工事
- 設備の動作確認
- 完了検査
- 明け渡し
までです。
さらに、電灯・動力など複数契約、高圧契約、ビル一括供給・管理会社精算の有無を確認してから停止手続きを進めます。
オフィス退去全体についてはオフィス移転・退去の進め方もあわせて確認してください。
退去日まで時間がない、電気停止と原状回復工程の順序が分からない、管理会社・施工会社との調整項目を整理したい場合は、お問い合わせから退去予定日、原状回復期間、オフィス規模などをお知らせください。
