飲食店を閉店するときは、店舗の賃貸借契約を解約して設備を撤去するだけではありません。
飲食店営業の許可を受けている店舗や、食品営業の届出をしている施設では、営業を廃止したことを所管する保健所等へ届け出る手続きがあります。
ただし、実際の様式、添付書類、提出方法などは自治体によって異なります。
閉店日が決まったら、営業許可書や届出内容を確認し、店舗所在地を所管する保健所の最新案内を確認して廃業手続きを進めます。
飲食店を閉店したら保健所への廃業届を確認する
食品衛生法に基づく営業許可または営業届出の対象となっている施設では、廃業した場合の届出が必要です。
東京都では、一般営業施設について、
- 営業を廃止した
- 営業所を移転した
- 営業者が変わった
場合に廃業の届出を案内しています。
東京都の案内では、その日から10日以内の提出とされています。
自治体によって様式や必要書類、受付方法が異なる場合があるため、実際には店舗所在地を所管する保健所の案内を確認してください。
営業許可を受けている飲食店では営業許可書も確認する
飲食店営業などの許可業種では、廃業届だけでなく営業許可書の提出・返納を求める自治体があります。
たとえば東京都の一般営業施設では、廃業時の必要書類として、
- 廃業届
- 営業許可書
を案内しています。
自治体によって「原本」を求めるなど取扱いが異なるため、手元の営業許可書を処分せず保管しておきます。
営業許可書を紛失している場合は先に保健所へ相談する
閉店準備を始めてから「営業許可書が見つからない」と気付くこともあります。
この場合も、許可書がないから廃業届を出せないと自己判断せず、所管保健所へ相談してください。
自治体によっては、許可書を紛失した場合の手続きを別途定めています。
閉店直前に探し始めるより、閉店日を決めた段階で営業許可関係の書類を確認しておく方がスムーズです。
「営業許可」と「営業届出」は区別して確認する
食品関係の営業には、営業許可が必要な業種と、営業届出の対象となる業種があります。
一般的な飲食店営業は営業許可の対象ですが、一つの事業所で複数の食品営業を行っている場合などは、許可・届出の状況を個別に確認する必要があります。
閉店時には、開業時にどの許可・届出を行ったかを一覧にして、それぞれ終了手続きが必要か確認します。
廃業届の提出期限は所管自治体の案内を確認する
東京都や複数の東京都内自治体では、食品営業の廃業届について「廃業後10日以内」と案内しています。
ただし、全国の記事としては、提出方法や添付書類まで含めてすべての自治体が完全に同じと考えない方が安全です。
確認する項目は、
- 提出期限
- 届出様式
- 営業許可書の扱い
- 本人確認書類等の有無
- 窓口・郵送・オンライン等の提出方法
です。
閉店日が決まったら廃業手続きを予定表へ入れる
飲食店閉店では、退去工事や厨房機器の搬出に意識が向きやすく、行政手続きが後回しになりがちです。
閉店工程表には、
- 最終営業日
- 食品営業の廃業日
- 保健所への届出期限
- 営業許可書の確認
- 届出担当者
を入れておくと漏れを防ぎやすくなります。
店舗移転は単なる住所変更として扱われない場合がある
現在の店舗を閉め、別の場所へ飲食店を移転する場合は注意が必要です。
東京都では、営業所を移転した場合、旧施設について廃業の届出を行い、移転先では新たに営業許可申請等を行うよう案内しています。
つまり、現在の営業許可の住所だけを書き換えてそのまま新店舗で営業できるとは限りません。
新店舗の営業許可は退去手続きとは別に準備する
移転の場合は、
- 旧店舗の営業終了
- 旧店舗の廃業手続き
- 新店舗の施設準備
- 新店舗で必要な営業許可申請・届出
- 必要な確認・検査等
- 新店舗で営業開始
という二つの施設の手続きを並行して進めることになります。
旧店舗の退去期限だけでなく、新店舗の営業開始予定からも逆算してください。
営業者が変わる場合も保健所への確認が必要
店舗自体は営業を続けるものの、運営会社や営業者が変わるケースもあります。
単純に営業許可書の名義を書き換えれば済むとは限りません。
営業者が変わる場合は、新しい営業者による許可申請等が必要になることがあります。
事業譲渡では地位承継が認められる場合がある
一方、事業譲渡、相続、法人の合併・分割などでは、一定の要件のもとで営業許可等の地位を承継できる場合があります。
店舗を第三者へ譲渡する予定なら、旧営業者が先に廃業手続きを完了させる前に、所管保健所へ相談する方がよいでしょう。
承継制度を利用できる案件で先に廃業処理を進めると、想定していた引継ぎ方法と合わなくなる可能性があります。
居抜き譲渡と営業許可の承継は同じ話ではない
厨房設備、内装、什器などを次のテナントへ居抜きで譲渡しても、営業許可まで自動的に引き継がれるわけではありません。
物件・造作の譲渡と、食品衛生上の営業許可・届出は分けて確認します。
後継テナントが同じ飲食店を営業する場合でも、営業者変更に関する手続きを所管保健所へ確認してください。
食品衛生責任者の資格そのものを「返納」するとは限らない
店舗には食品衛生責任者が置かれていますが、店舗の廃業と個人が保有する資格等の扱いは同じではありません。
「店舗を閉めるから食品衛生責任者の資格証も必ず返す」と自己判断せず、店舗に紐づく届出と個人の資格を分けて確認してください。
自治体独自の制度や資格が関係する場合は、所管保健所へ確認します。
ふぐ・生食用食肉などを扱っていた店舗は追加手続きを確認する
飲食店によっては、通常の飲食店営業許可以外の認証・届出等が関係している場合があります。
たとえば、ふぐを取り扱う施設など、自治体独自の認証制度が関係する業態があります。
開業時に取得した許可・認証・届出を確認し、通常の廃業届だけで手続きが完了するか所管窓口へ確認してください。
保健所の廃業届だけで「閉店手続き全部」が終わるわけではない
保健所への廃業届は、飲食店閉店に必要となる手続きの一つです。
店舗の状況によっては、ほかにも、
- 消防関係
- 酒類販売等に関する許認可
- 深夜営業等に関する届出
- 税務関係
- 社会保険・労働保険
- 看板・屋外広告物関係
などの確認が必要になる場合があります。
一つの「廃業届」ですべての行政手続きが連動して終了するわけではありません。
保健所への届出と店舗退去は並行して進める
行政手続きが終わるまで原状回復を始められない、というわけではありません。
一方で、営業許可書や施設情報を確認する前に事務書類を廃棄したり、厨房設備をすべて搬出してから許認可を調べ始めたりすると確認が難しくなることがあります。
閉店を決めた段階で行政手続きの棚卸しを行い、退去工事と並行して進めます。
飲食店閉店時の保健所手続きチェックリスト
- 現在取得している営業許可を確認した
- 営業届出の有無を確認した
- 営業許可書を確保した
- 所管する保健所を確認した
- 廃業届の様式を確認した
- 提出期限を確認した
- 必要な添付書類を確認した
- 提出方法を確認した
- 移転か完全閉店かを区別した
- 営業者変更の有無を確認した
- 事業譲渡・承継予定の有無を確認した
- その他の食品関係認証・届出を確認した
- 届出完了の記録を保存した
飲食店閉店時の保健所手続きでよくある質問
飲食店を閉店したら保健所への届出は必要ですか?
食品営業の許可または届出をしている施設を廃業する場合は、廃業の届出を確認してください。具体的な手続きは店舗所在地を所管する保健所等の案内に従います。
廃業届はいつまでに出しますか?
東京都や複数の東京都内自治体では、廃業後10日以内と案内しています。実際の期限は所管自治体の最新案内を確認してください。
営業許可書は返しますか?
許可営業について、廃業届と営業許可書の提出を求める自治体があります。原本の扱いも含めて所管保健所へ確認してください。
営業許可書を紛失した場合はどうしますか?
自治体によって代替手続きが定められている場合があります。廃業届を放置せず、所管保健所へ紛失したことを伝えて確認してください。
別の場所へ移転するだけでも廃業届が必要ですか?
東京都では営業所移転の場合、旧施設について廃業届を行い、移転先で新たな営業許可申請等を行うよう案内しています。自治体と業種に応じて事前に確認してください。
店舗を別会社へ売却する場合も廃業届ですか?
営業者変更では新たな許可等が必要となることがありますが、事業譲渡等では地位承継制度を利用できる場合があります。廃業届を先に提出する前に保健所へ相談してください。
営業届出だけの施設も廃業手続きが必要ですか?
食品衛生法上の営業届出を行っている施設についても、廃業時の届出制度があります。許可営業とは添付書類等が異なる場合があるため確認してください。
オンラインで廃業届を出せますか?
食品衛生申請等システムを利用した手続きに対応する場合がありますが、自治体や手続き内容によって受付方法が異なる可能性があります。所管自治体の案内を確認してください。
食品衛生責任者の資格も返納しますか?
店舗の営業廃止手続きと個人の資格等は分けて考えます。自治体独自制度もあるため、必要な手続きがあるか所管保健所へ確認してください。
閉店日が決まったら「許可書の確認」を退去準備の最初に入れる
飲食店閉店時の保健所手続きは、厨房を撤去した後に考えるものではありません。
閉店が決まった段階で、
- 営業許可・届出を確認する
- 営業許可書を確保する
- 所管保健所の廃業手続きを確認する
- 移転・譲渡・完全閉店を区別する
- 必要な廃業・承継等の手続きを行う
- 届出完了記録を保存する
という順番で整理します。
店舗閉店全体の流れは店舗閉店の進め方、退去までの工程は店舗の明け渡し手順、工事については飲食店の内装解体もあわせて確認してください。
行政手続き、設備撤去、原状回復、明け渡しまでの工程をまとめて整理したい場合は、お問い合わせから閉店予定日と物件の明け渡し日をお知らせください。
