店舗を閉店するとき、電気・ガス・水道を「最終営業日に全部止めればよい」と考えると、原状回復工事や清掃で困ることがあります。
営業は終わっていても、その後に在庫搬出、厨房機器撤去、内装解体、清掃、完了検査、退去立会いなどが残っているからです。
店舗のライフラインは、3つを同じ日に解約するのではなく、それぞれ「最後に必要となる作業」が終わる日から逆算して停止日を決めると整理しやすくなります。
店舗の電気・ガス・水道は閉店日に全部止めなくてよい
店舗の最終営業日と物件の明け渡し日は同じとは限りません。
たとえば3月31日に営業を終了し、4月1日から10日まで原状回復工事、11日に完了確認、12日に明け渡すのであれば、3月31日時点で電気や水道を止めると工事に支障が出る可能性があります。
一方、ガスは営業終了後に厨房機器を使わず、撤去工程にもガス供給が不要なら、電気・水道より早く止められる場合があります。
つまり、
- 電気
- ガス
- 水道
は別々に停止日を検討します。
最初に確認するのは「誰と契約しているか」
停止手続きの前に、各ライフラインの契約名義と請求元を確認してください。
店舗によっては、借主が電力会社・ガス会社・水道局と直接契約していない場合があります。
たとえば、
- ビルの一括受電
- 子メーターによる管理会社精算
- 水道料金を賃料・共益費と一緒に支払っている
- 商業施設側がガス設備を管理している
といったケースです。
この場合、借主が供給会社へ直接解約するのではなく、貸主・管理会社・施設運営者への届出になることがあります。
請求書、検針票、契約書、管理会社の退去案内から確認します。
店舗ライフラインの停止時期の考え方
| ライフライン | 停止時期を決める基準 |
|---|---|
| 電気 | 冷蔵冷凍・搬出・照明・工具・清掃・検査等で最後に電気を使う日 |
| ガス | 調理・給湯等を終了し、ガスを必要とする設備確認・撤去工程を確認した後 |
| 水道 | 清掃・手洗い・トイレ・設備撤去・原状回復等で最後に水を使う日 |
電気は最終営業日ではなく「最後に電気を使う作業」から逆算する
3つの中で、閉店後も最後まで必要になりやすいのが電気です。
営業終了後にも、
- 店内照明
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 電動工具
- 掃除機
- 空調
- 充電機器
- 工事機器
- セキュリティ設備
などで電気を使用する可能性があります。
そのため、「営業が終わったから電気も終了」とはせず、施工会社や管理会社へ原状回復期間中に電源が必要か確認してください。
冷蔵庫・冷凍庫がある店舗は先に中身を処理する
飲食店、食品販売店、コンビニ等では、閉店後も冷蔵・冷凍設備が稼働していることがあります。
電気を止める前に、
- 食品・在庫を搬出する
- 廃棄する物を処理する
- 冷蔵庫・冷凍庫を停止する
- 霜取り・排水を行う
- 庫内を清掃する
- 設備を買取・移設・撤去する
という順序を考えます。
電源を先に止めてしまうと、食品処理や庫内清掃が難しくなることがあります。
電気を使う原状回復工事が終わっているか確認する
店舗の原状回復では、内装解体だけでなく電気設備・空調・給排水などを扱うことがあります。
また、施工中には照明や電動工具等のため電力を必要とする場合があります。
そのため停止日前に、施工会社へ、
- 工事用電源が必要か
- 夜間工事で照明が必要か
- 設備の動作確認を行うか
- 空調・換気等の確認が残っているか
- 完了検査まで電気が必要か
を確認します。
原状回復全体については店舗閉店時の原状回復も確認してください。
電気停止前に完了検査まで考える
工事が終わった後、貸主・管理会社による完了確認が行われる物件があります。
その際に、
- 照明
- 電気設備
- 空調
- 換気
- その他残置設備
の動作確認が必要になる場合があります。
完了検査前に電気を止めると確認できない設備が出る可能性があるため、施工会社・管理会社へ確認してから停止日を確定します。
原状回復の完了検査も参考になります。
電気の停止に立会いが必要かは契約先を確認する
一般的な電気の使用停止では立会い不要の事業者もあります。
ただし、
- 高圧受電
- ビル一括受電
- 子メーター
- 特殊な設備
- 供給設備の撤去
などがある店舗では、通常の低圧契約と手続きが異なる可能性があります。
「電気だからWebで解約するだけ」と決めず、現在の契約先と管理会社へ確認してください。
ガスは営業終了後、比較的早く止められることがある
飲食店などでは、営業終了後にガスを使用する機会がなくなるケースがあります。
次の利用がすべて終わっていれば、電気・水道より早く閉栓できる可能性があります。
- 調理
- 給湯
- ガス暖房
- ガス機器の最終動作確認
ただし、厨房機器撤去やガス配管処理を予定している場合は、施工会社と閉栓の順序を確認してください。
厨房撤去については店舗の厨房撤去も参考になります。
ガスの停止とガス管撤去は同じ手続きとは限らない
ガス契約の使用停止は、通常、ガスメーターを閉止して供給を止める手続きです。
一方、建物解体や工事内容によってガス管そのものを撤去する場合は、通常の使用停止とは別の手続きが必要になることがあります。
店舗がスケルトン退去だからといって、借主や内装解体業者が自己判断でガス設備を処理しないよう注意してください。
貸主・管理会社・ガス事業者・施工会社の工事区分を確認します。
ガス停止で立会いが必要になる場合がある
ガスメーターへ作業員が自由に立ち入れない建物などでは、使用停止時に立会いを求められることがあります。
商業施設やオートロックの建物では、
- 誰が立会うか
- 施設側への入館申請が必要か
- メーター位置
- 閉栓希望日時
まで確認しておくとスムーズです。
水道は「最後の清掃」が終わるまで残すか確認する
店舗閉店後も水道は比較的長く必要になることがあります。
たとえば、
- 床・壁の清掃
- 厨房清掃
- グリストラップの清掃
- 什器搬出後の最終清掃
- 施工スタッフの手洗い
- トイレ
- 設備撤去・工事
などです。
閉店日に水道を止めてしまうと、その後の清掃や工事で水が必要になったときに困ります。
内装工事中に水を使うなら水道停止日を後ろへずらす
水道は、清掃だけでなく内装・設備工事で必要になる場合があります。
そのため、施工会社へ、
- 工事中に水道を使用するか
- 排水確認を行うか
- 最終清掃に水を使うか
- トイレをいつまで使用するか
を確認してください。
「営業では使わない」ことと「退去作業でも使わない」ことは別です。
電気・ガス・水道を同じ日に停止する必要はない
たとえば飲食店なら、次のようなスケジュールも考えられます。
| 日程 | 作業 | ライフライン |
|---|---|---|
| 3月31日 | 最終営業 | 電気・ガス・水道を使用 |
| 4月1〜2日 | 在庫整理・厨房機器処理 | 電気・水道を使用、ガスは必要性を確認 |
| 4月3日 | ガス機器関連作業完了 | ガス停止候補 |
| 4月4〜10日 | 原状回復工事 | 電気・水道を必要に応じ使用 |
| 4月11日 | 清掃・完了確認 | 電気・水道を使用 |
| 4月12日 | 明け渡し | 電気・水道停止候補 |
これは一例です。
実際には契約・業態・工事内容によって変わります。
閉店日からではなく明け渡し日から逆算する
ライフライン停止の予定を立てるときは、最終営業日から順番に考えるより、明け渡し日から逆算すると漏れを防ぎやすくなります。
- 正式な明け渡し日を確認する
- 退去立会い・完了検査日を確認する
- 最終清掃日を確認する
- 原状回復工事完了日を確認する
- 設備搬出日を確認する
- 各ライフラインを最後に使用する日を決める
- 各事業者の申込期限からさらに逆算する
店舗の明け渡し全体は店舗の明け渡し手順も確認してください。
停止手続きは停止日直前まで放置しない
使用停止の申込期限や受付可能日は事業者によって異なります。
また、月末、年度末、引越しシーズンなどは手続きが集中することがあります。
停止日は先でも、退去工程が固まった段階で早めに申込み方法を確認しておくと安全です。
特にガスは立会いが必要になるケースがあるため、希望日時があるなら余裕を持って確認します。
最終請求が終わるまで支払口座・カードを残す
店舗を明け渡した後に、最終の電気・ガス・水道料金が請求されることがあります。
法人の閉鎖・店舗専用口座の解約などを同時に進めている場合は、最終料金の決済が終わる前に銀行口座やクレジットカードを解約しないよう注意します。
停止申込時に、
- 最終請求日
- 最終請求方法
- 請求書の送付先
- 口座・カード決済日
を確認すると安心です。
停止後に原状回復工事で必要になった場合
ライフラインを早く止めすぎて、施工会社から「電気が必要」「水道が必要」と言われるケースは避けたいところです。
再開できる場合でも、
- 再契約
- 申込み
- 作業員訪問
- 立会い
- 再開までの日数
が発生する可能性があります。
工期が短い店舗退去では、数日の遅れでも明け渡し期限へ影響することがあります。
施工会社へ必要なライフラインを確認してから停止日を確定する方が安全です。
管理会社にも停止日を共有する
ビルや商業施設では、ライフラインが借主の直接契約であっても、停止日を管理会社へ伝えた方がよい場合があります。
特に、
- ガスメーターへの入館
- 電気設備の工事
- 水道設備の工事
- B工事
- 防災設備
- 館内セキュリティ
が関係する場合です。
借主と供給会社だけで進めず、建物側のルールも確認します。
店舗閉店時のライフライン停止チェックリスト
- 電気の契約名義・契約先を確認した
- ガスの契約名義・契約先を確認した
- 水道の契約名義・請求元を確認した
- 管理会社精算のライフラインがないか確認した
- 最終営業日を確定した
- 在庫搬出日を確定した
- 冷蔵・冷凍設備の停止日を決めた
- 厨房機器撤去日を確認した
- 原状回復工事で電気を使うか確認した
- 原状回復工事で水道を使うか確認した
- ガス設備撤去と閉栓の順序を確認した
- 清掃日を確定した
- 完了検査日を確認した
- 明け渡し日を確認した
- 各ライフラインの停止日を決めた
- 停止申込期限を確認した
- ガス立会いの要否を確認した
- 最終料金の請求方法を確認した
- 最終請求前に口座・カードを解約しないよう確認した
店舗の電気・ガス・水道解約でよくある質問
店舗の電気は最終営業日に解約すればよいですか?
必ずしもそうではありません。閉店後も原状回復工事、照明、冷蔵冷凍設備、清掃、設備確認などで電気を使う場合があります。最後に電気が必要となる工程を施工会社・管理会社へ確認してください。
原状回復工事中も電気は必要ですか?
工事内容によります。照明、電動工具、設備確認などで必要になる場合があります。工事会社へ事前確認してください。
電気・ガス・水道は全部同じ日に止めますか?
同じ日にそろえる必要はありません。それぞれ最後に必要となる日が異なる場合があります。
ガスはいつ止めるのがよいですか?
営業、給湯、ガス機器確認などでガスを使わなくなり、厨房機器撤去等との順序を確認した後が候補になります。閉栓日・立会い条件は契約中のガス事業者へ確認してください。
ガスの使用停止には立会いが必要ですか?
事業者やメーターの設置状況によります。作業員がガスメーターへ立ち入れない場合などに立会いが必要になることがあります。
水道は閉店日に止めてもよいですか?
閉店後に店舗清掃、原状回復、設備撤去、トイレ利用等で水を使うなら、それらが終わるまで使用できるよう停止日を調整した方がよいでしょう。
水道の停止申込みは何日前に行えばよいですか?
水道事業者によって異なります。たとえば東京都水道局では使用開始・中止について3〜4日前までの手続きを案内しています。所在地を管轄する水道事業者で確認してください。
水道料金を管理会社へ払っています。水道局へ解約連絡が必要ですか?
管理会社・貸主側で精算する契約なら、借主が直接水道局へ手続きしないケースがあります。請求元と賃貸借契約を確認してください。
電気停止の立会いは必要ですか?
一般的な使用停止では立会い不要の事業者がありますが、契約形態や設備によって異なります。一括受電、高圧、特殊設備などは管理会社・契約先へ確認してください。
停止後に工事会社から電気が必要と言われたら?
再開手続きが必要になる可能性があります。退去期限を遅らせないためにも、停止前に施工会社へ必要な電気・水道等を確認しておく方が安全です。
ライフラインは「閉店日」より「最後に使う日」で止める
店舗閉店時の電気・ガス・水道は、同じ日に一括して止めるものではありません。
確認する順序は、
- 明け渡し日を決める
- 原状回復・清掃・検査の日程を決める
- 各工程で必要なライフラインを確認する
- 電気・ガス・水道それぞれの最終利用日を決める
- 契約先・管理会社のルールに合わせて停止申込みをする
です。
特に電気・水道は、営業終了後も原状回復や清掃で必要になる可能性があります。
店舗閉店全体の流れは店舗閉店の進め方、明け渡しまでの工程は店舗の明け渡し手順もあわせて確認してください。
閉店日から明け渡しまでの日数が短い、ライフラインをいつ止めれば工事に影響しないか分からない、原状回復や設備撤去を含めて退去工程を整理したい場合は、お問い合わせから店舗業態、閉店日、明け渡し日、工事予定などをお知らせください。
